VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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其の時の外側の者達




百折不撓のポタージュ 〜流星の反撃〜

『決まったーーーー!第一ラウンドをアメリア・サリヴァン選手が駆る、カースドプリズンが取ったーーーー!』

『A-Z選手もかなりの機動で奮戦しましたが、やはりカースドプリズンの装甲破壊に苦心していましたね。カースドプリズンが取り込んだオブジェクトは多少では有りますが、耐久や性能が強化される仕様になっています』

『ですがあのスピード、アメリア選手が対応に苦心する辺り、A-Z選手の強烈な加速………アレはA-Z選手の秘策なのでしょうか?』

『そうだと思います。ただ第一ラウンドで二回しか見せなかったのは、彼自身が二回だけ繰り出せるのか、はたまたそうでないのかが気になりますね』

 

アメリア・サリヴァンとA-Zによる先鋒戦、第一ラウンドを八分半戦いながらも倒された結果を見届け、実況進行役の笹原(ささはら) エイトと解説の浅間(あさま) 絢斗(あやと)が言葉を述べる。

 

「二回だけとは言え、極まったシルヴィアの速度に匹敵してたよなアレ………」

「アメリアが目で追えなかった辺り、あの挙動を数十回繰り出せたらヤバいでしょ」

「やっぱ重量キャラの扱いが上手いわ、アメリア」

 

観客達がどよめく中、爆薬分隊側の控え席でモニターを見上げる三人……………顔隠しと名前隠しに恵は、呼吸を忘れていたかの様に息を吐く。

 

「──────で、どう思うよ?我等が軍師、名前隠し殿と夏目(ナツメ)氏」

「アメリアちゃんの扱うカースドプリズン………低火力キャラだと何十回も攻撃当てて、漸く切り崩せるレベルって感じかな。アレを倒す場合『普通の方法』じゃ駄目だね」

「彼女のカースドプリズンは何回も映像で観たけれど、此迄で一番に近いキレって感じがするわ………」

 

シルヴィアを相手に重量キャラを使い、アメリカの格ゲーマーで実質No.2まで上り詰めた者が扱う、カースドプリズンの実力。其れを見せ付けられても尚、名前隠しには一つだけハッキリと解る事が有る。

 

「ただ…………A-Z君はまだ『ギア』が掛かり切って無い。第一ラウンド、ロールプレイを絡めてアメリアちゃんとぶつかったのは何も『時間稼ぎ』だけが理由じゃないね」

「…………と、言うと?」

「A-Zってゲーマーはカッツォと同じ理詰め型に見えて、実際は相手の挙動やらを知れば知る程に、リアルタイムで強さが研ぎ澄まされてく『キメラ型のプレイヤー』なんだよな」

「…………つまり?」

「メグちゃん、確り見ててね」

「夏目氏、目を離さない方が良い」

 

梓の、ペッパーの強さを知るが故に、顔隠しと名前隠しは確信を以て言い切れる。

 

次のラウンド、奴が持つ異質な強さが全米二位に牙を剥く事になると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(時間にして八分四十秒弱………か。ロールプレイを絡めれば十か二十秒は稼げたろうに、まだまだ甘いな俺も)

 

第一ラウンドを落とす事は承知の上で挑み、アメリアが操るカースドプリズン相手に試せる事を試し、彼女の挙動を知見して記憶の中に在る様々な格ゲーやアクションゲームを掘り起こして。

 

第二ラウンド開始までのカウントダウンが始まる中、類似しているキャラの挙動を幅広く精査していき……………軈て一人該当するキャラに行き着いた。

 

(………レトロ3Dアクションゲーム『スカイディストピアの四面ボスキャラ』だ。重量かつ高耐久で此方の挙動を学習から殴って来る、速度重視のパラメーターで挑むと漏れ無く()()()()を強いられる………確か『キュリオス・レバトン』だったな)

 

此のキャラは『神気を集めて能力値を上げる』・『集めた神気を消費して聖なる衣を自分の周りに展開する』・『主人公を操るプレイヤーの挙動を学習してウィークポイントを突いてくる』・『必殺技がプレイヤーのステータスを()()()超強化』。

 

カースドプリズンの特色や八分半戦ったアメリア・サリヴァンと遠からず、されども近しい匂いを感じたA-Zは其の時の主人公のパラメーターの記憶を引き出しては、情報と記憶を結び付けての戦略構築を行い、短時間ながらも戦略は骨組みに血肉を纏いながら、確固たる形へと変わり始める。

 

(だが、此れはあくまで『信じ切らない』。過信し過ぎれば『足元を掬われる』。傲るな、忘れるな、俺は何時だって『挑戦者(チャレンジャー)』だという事を…………!)

 

全米二位だろうとも全力で挑む事、全力で時間稼ぎをする事、やるべき事と成すべきタスクを確認し、第二ラウンド開幕とヴィラニックタイム開始を告げる音が鳴る。

 

深呼吸で精神のブレを押さえ、三十秒経過によるヴィラニックタイム終了と同時、前のラウンドで貯めたヒロイックゲージを使いながら、ケイオースシティの空を駆け走ってカースドプリズンの暴れによる爆発と轟音が鳴る現場に現着。

 

其処にはズタボロの『警察官達』、逃げ惑う市民やダウンしている『報道キャスター』を御米様抱っこで安全圏に連れ置いて速攻で戻ってみれば、煙が上がる『車販売店』からのっそのっそと、ミーティアスの宿敵・カースドプリズンが出て来て。

 

下半身に『四台のモンスターバギーのエンジンと外装』を纏い、両腕は『モンスターバイクの前後のタイヤ』、背中には『バイクのエンジン二基』を取り込み。

 

全身の装甲に『大型車の外装』を組み込んだ『高出力重装甲のケンタウロス』というべき姿で、此方を『圧倒的なパワーを押し付けて叩き潰しに来た』と、正直言えば一番()()()()()()()カスタマイズでラウンドを奪いに来たと解る。

 

「おいおい随分着込んだな、カースドプリズン。そんなに自分の姿を晒すのが嫌なのかい?」

「…………ハッ、お前の動きはもう見切った。『コレ』がお前を倒す、カースドプリズンの姿だ」

「…………そうかい。俺も随分と小さく見られたもんだ──────なッ!!!」

 

加速、加速、加速し跳躍。建物の壁を蹴り、跳弾の如く跳ね回り、カースドプリズンに触るか否かの、ギリギリの境界線を走り抜け、ブン殴りに──────「見えてんだよ。お前の速度は()()見切った」

 

カースドプリズンの目が赤い光を残し、線香の細い煙が尾を引く様に動き、完璧というタイミングに合わされた。

 

迫る大質量の剛腕が、蒼黒き流星を叩き潰さんと迫り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────()()()()()()()()()()?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は、がっ!?ぐおぁ!?」

 

完璧に捉えた筈のミーティアスが、カースドプリズンの目の前で『更に加速した』其の瞬間。

 

下半身に武装した外装を『蹴り砕かれた』事で、カースドプリズンのバランスが崩れた刹那、己の背中に取り付けたエンジンの一つを『踏み曲げられた』事を襲った衝撃で理解し。

 

見上げた先に空を舞い、鋭利な眼光を持って見下ろすミーティアスの姿が在ったのだった。

 

 

 






逆襲開始



スカイディストピア

3Dアクションゲームのレトロゲームであり、天使族の中でも最強にして最優の天使と謳われる主人公が嫉妬深い同胞によって操られた恋人に裏切られ、翼を斬り落とされて神界から戦火満ちる世紀末の地上へ追放されて、神界に復讐を果たす為に生きるという内容。

アクションゲームながらレベルアップ要素、手にしたパラメーターの振り分けによる挙動の変化、限られたポイントの使い方に着けられる武器の種類の把握、そして主人公の状況によるステージ攻略チャートの組み立て直し等、周回を重ねる度にゲームに置ける最適解が解らなくなってくる、所謂『噛む程に味が変化して更に奥深くなっていくスルメゲーム』。

特筆すべき点として『特化振り』でも『バランス振り』でも、あらゆる可能性から正解を導き出す事が可能な点、ユーザーの中でも『無限の可能性を探る事が大好きな連中にはオススメ』やら『やる事が多過ぎるせいでタスク消費表持たんとやってられん』の賛否両論の意見が有る。

梓的に見ると『頭を使うがシステムを理解する度に新しい自分を見付けられる良ゲー』という認識を持つ。



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