VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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第三ラウンド開幕




神算鬼謀のヴィアンド 〜ヒーローとヴィランの心意気〜

A-Z…………否、AZが操るミーティアスは時間経過と共に強くなり、其処に戦う者の動作等や無意識の癖を戦略に組み込む事で、リアルタイムで進化していくエイリアンじみた存在というのが、アメリア・サリヴァンが第二ラウンドの戦闘を経て抱いたAZというゲーマーの『強さ』だった。

 

「奴に勝つには高機動と高馬力、後は昨日の練習で見付けた『アレ』が絶対必須…………!」

 

初期配置のトラックをブッ壊し中からガトリングガンを接収、第一第二のラウンドで『被害状況が引き継がれて』いる中、カースドプリズンを制圧せんと出撃して来た『白バイ隊を含む警官隊』に、ガトリングガンとトラックの瓦礫達をブッ放して制圧。

 

白バイの前輪を四つ、エンジン丸ごと両脚に取り込み機動力を補強、パトカーのエンジンや外装で上半身と比べて貧弱に見える下半身を武装、上半身は肩周りにバイクのエンジンで動き出しの補助を狙って取り込み。

 

同時に街の空を駆けるミーティアスの足音と、上空を飛ぶ『報道ヘリコプター』のプロペラ音が、ケイオースシティに鳴り響く。

 

其のミーティアスの手には、何故か『マンホールの蓋』を持っており、アメリアは此の時点で『此方がヘリコプターを撃墜して取り込もうとしている可能性を想定していた』と気付き、奴の思考深度の底の知れなさに仮面の下で獰猛な笑みと、鋭利な視線を益々深め。

 

「俺が来たッッッ!カースドプリズン!」

「来たか、ミーティアス!取り敢えず此れでも食らってろ!」

 

ガトリングが猛びて火を噴く、射線に割り込みサーフボードで波を乗りこなすサーファーの如く、マンホールの蓋で押し寄せる銃弾の雨からヘリに乗るキャスターや操縦士を守るが、弾丸は後方部分に直撃しバランスを崩して墜落する。

 

「うわあああああ!?」

「きゃあああああ!?」

「市民を助けて守る、ヴィランを倒す………。両方やらなきゃならないのが、ヒーローの辛い所だぜ………!」

 

マンホールの蓋を蹴り飛ばし、スターロードを起動。乗っていたキャスターや操縦士にカメラマンを助けた直後、バイクのエンジン音と共にマフラーから煙を噴出し、カースドプリズンが突っ込んできた。

 

視界の端にはマンホールの蓋が減り込み、フレームが歪んで使い物にならなくなったガトリングガンが転がっている。

 

「オラオラオラオラ退けェッ!!!」

「選択を強いるとはやるね、良いぜ『ヘリはくれてやる』!」

 

戦いとは常に取捨選択の連続だ。其れがプロともなれば、其の選択が命取りになる事も解っている。だからこそ──────自分はミーティアスとして、何よりヒーローとして、自分が誇れる選択を取る事こそが最善手と、A-Zは信じているのだ。

 

屋上まで虚空を駆け上がり、同時に見たのはカースドプリズンが墜落するヘリコプターを地面に叩きつける瞬間。砂塵の帷を開いた中より現れるは、ヘリのエンジンと外装を取り込んだ事で、空いていたパズルのピースが埋まって一つの絵となる様に、臨戦態勢を整えた宿敵の姿。

 

「あ、ありがとう…………」

「気にしないで。其れと一つ『頼みたい事』が有る」

「頼みたい事………?」

「其れは……………という事です。出来ますか?」

「わ、解った!任せてくれ!」

「頼みます!」

 

ヒーローにとって『勝利の鍵』となる()()()を仕掛け、三角飛びの要領でミーティアスが建物の外壁を蹴りて迫り、エンジンをフルスロットルに点火したカースドプリズンと、幾度目にもなる激突と共に再開された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元々カースドプリズンは鈍重かつ高火力なヴィランキャラであり、ギャラクシアヒーローズシリーズでもゼノセルグスと並ぶ、ヴィランキャラとしては『バチバチの戦闘タイプ』なステータスだ。

 

ゼノセルグスは自身が『見つめた物の性質を得られる』特殊能力が有るが、一つの特性しか得る事が出来ない。カースドプリズンは破壊を経由する必要こそ有るが、バイクやヘリコプターのエンジンを取り込む事で積載上限を底上げし、カスタマイズ次第で『あらゆる状況に対応可能』という利点を持つ。

 

そして今のカースドプリズンはバイクとヘリコプターのエンジンを手に入れ、タイヤと装甲による補強を加えた事で『よりタフ』に、更には『より速く』なったと言っても過言では無い。武装中のカースドプリズンは使い手次第で『化ける』、其れが全米二位(アメリア)程ともなれば其の動きは『超一流』と断言出来る。

 

だからといって、ヴィランの横暴をヒーローは見逃さない、見過ごさない。街に脅威を齎し、平穏を破壊する者を、ヒーローは決して許しはしない。何時の時代も悪は栄えた試しは無く、ヒーローはヴィランが倒されるのが『世界の常識』なのだ。

 

「叩き潰すッ!」

「負けっかぁ!」

 

当たれば大ダメージ不可避の中、攻撃を避けつつ装甲を削り、制限時間以内にミーティアスの体力より下回らせるか、全損へと追い込ませるという厳しい戦い。

 

下手な選択は其のままカースドプリズンにターンを渡し、最悪体力は全損という結果に成り得てしまう、殆どミスが許されない極限の集中を要求され続ける、レトロゲーで幾度目も体験し、苦い挫折を味わい、されども乗り越えた感覚を感じるA-Z。

 

パワーとスピードを兼ね備え、此方の繰り出す攻撃や受け流し(パリィ)の隙すら潰さんとする、此迄のカースドプリズンの勢いを更新するアメリアの底力と本気の出力を前に、ミーティアスもまた嘗て無い集中で敵の動きを見定め、脳内思考とリソースをフルスロットルで回し、豪速の攻撃を掻い潜り続けて着々とダメージを与える。

 

「ハッ、笑えねぇ!オマエ、()()()()()()()()()()!ミーティアス!」

「其の割には随分()()()()()()()だな、カースドプリズン!」

「なら、こうだッ!」

「どぉう!?」

 

取り込んだタイヤとエンジンの連動、自身の三半規管に大ダメージを与えかねない凄まじい回転(スピン)を絡め、アメリアがA-Zの読みに対抗するべく『即興』で生み出した変速挙動が軌道を描き、カースドプリズンの拳がミーティアスの顔面に突き刺さる。

 

「ッ、オラァ!」

「がっ!?」

 

唯でさえ重く、馬力と出力を高めたカースドプリズンの打撃を食らえば、体力は一気に減らされる。

 

低耐久かつ高機動キャラによく有りがちな『御約束』に、A-Zはアメリアがやった回転を同じく用いながらも、まるで『自身へのダメージを軽減するかの様な受け流しの形で利用して』、カースドプリズンとの距離を詰めて拳を叩き付けて反撃した。

 

アメリアは確信する………此の男を相手取り制圧するには、奴の読み以上のパワーとスピードをぶつける必要が有ると。即ちカースドプリズンが持つ『超必殺技(ウルト)を切るタイミング』こそが、此のラウンドの──────引いては此の戦いの『勝敗其の物』に直結する事だという事に。

 

そしてA-Zもまた、カースドプリズンの超必殺技に備えてヒロイックゲージの消費を抑えながらも、全力で迎撃に当たり続けてゲージを高め続けていくのだった。

 

 

 






底力は正悪共に有る


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