VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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彼女の役割




惡の華、正義の華、されど等しく輝く華

「ヒーローが人質取られて動けないとか世話無いわねー!そんなんだから何時まで経っても『プレイボーイ』なんじゃないのー!!?」

「ぐっ、悪意を感じる言い方だなオイ…………!」

「私の盾になれ〜!其れ、隙有りッッッ!!」

「ぐぬっ!?」

 

原作のDr.サンダルフォンの()()Nu2meg(ナツメグ)は述べているだけに過ぎないが、ルーカスの此迄の人生と行動に大体『合致』している事も有ってか、彼のメンタルに少なくないダメージが入る。

 

そして引きながらに設置した嫌がらせの罠種子(トラップシード)が起動し、回避の後隙からガードされる事も加味した偏差攻撃でダメージが加わり、捉えていた老人を放り投げた事で天井に貼り付けて置いた罠種子が起動から、老人を宙吊りにして捉え。

 

其れをキャッチしようとしたDr.サンダルフォンは空振りから、人質を解放してフリーになったユグドライアの左腕がフックの軌道で草臥れ医者の脇腹を小突き、捉えていた別の患者を左腕で壁から引き剥がしつつ、再び病院内をドタドタと走る。

 

(相手を揺さぶりつつ、此方はあまり()を見せない!戦いの中で()()を張っておく!そして何よりも!自分が一番強く、意識出来る()()を戦い毎に設定する事!)

 

恵はA-Zと名前隠し、顔隠しから『頭脳派プレイヤーや他のゲーマーとの戦いの極意』と称して、幾つかのアドバイスを受け取っていた。

 

其の一つが『駆け引きに置ける姿勢』で、相手が頭脳派の場合に自分がどう立ち回るか、自分の本当の狙いを敵に『悟らせない』事が有り、名前隠し曰く『自分が望む本命を通したくば、先ずは其処に通ずる幾つかの線を張るべし』という物。

 

今回のタスクたる『慧が到着するまでの時間稼ぎ』という点を遵守しつつ、如何にして『ルーカスに八つ当たりをするか』という目標にスポットを当てる事で、出来る限り『高い集中力』を維持する。

 

「ママァァァァァァ〜!」

「ごめんねぇ、泣かないでー!じゃなくて!……ピーピー喚くんじゃないよ、ガキ共ぉ………!!」

「わぁあああああん!?!」

「ぴぇえええええ〜ん?!!」

「良心が、良心が痛いッ…………!」

 

シャンフロシステムを搭載したが故に、リアリティが高まった子供の泣き声が病院の廊下に木霊し、Nu2megのメンタルにスリップダメージが入り続ける。

 

元々善性寄りの性格をしている彼女にとって、ヴィランキャラで残虐性を押し出したロールプレイに少なからず抵抗は有るし、昔から堂々と人前で演技をする事が恥ずかしく、あまり好きでは無かった事も有ってか、其の演技には『恥じらいと躊躇』が残っていた。

 

「ヴィランキャラに成り切れてない、65点って所かな」

「老人や子供を人質にして、逃げた先にもストックを用意してた。70点だな」

 

設置技を駆使してヒーローの足止め、ヴィラニックゲージの残量に自身の体力を流し目で確認から老人を解放、其のまま置き去りにしつつ、追ってきたヒーローを目視で確認。彼女は一階の受付まで続く吹き抜けから飛び出し、背中を地面に向けたまま空中に己の身を置く。

 

「アッハッハッハ!さぁ、子供達が潰れても良いのかしらー!?」

「わぁあああああ!?!」

「きゃあああああ!?!」

「ひぅえええええ!?!」

「ッ………ヒーローってのは、つくづく『守るモンが多い』!」

 

そう毒付いたルーカスはヒロイックゲージを消費、Dr.サンダルフォンが様々な超能力を使用する際に使う『携帯電話』で、規定番号を打ち込んだ事により超必殺技(ウルト)着信(アライバル):巨いなる軀体(サンダルフォン)』が発動し、電撃を帯びた翼が背中に生えて一定時間キャラクターの性能が強化。

 

吹き抜けの壁を駆けて跳躍し、ユグドライアが落下してから僅か一秒足らずで追い付き、強化済みの腕力で植物で覆った腕の外装を力付くで引き剥がし、子供達を解放したのだ。

 

「私は逃げるけど、アンタは脚でも挫いてな!」

「っ、空中に誘い出しが狙いか!」

「アデュー!罠種子!」

「チィッ…………!!!」

 

落ちる先の壁に罠種子を放ち、言霊で起動して伸びた蔓を掴んでぶら下がり、子供達を抱えて地面に着地したDr.サンダルフォンが足の痺れに苦しむ様子を見下ろして、自身も攻勢に転じる。

 

此のギャラクシアヒーローズ:カオスというゲーム、ヒーローキャラとヴィランキャラは其々の陣営に応じた行動を行う事、相手にダメージを与えたり受けたりする事でゲージを貯められるのだが、其れとは別に『特定の条件を満たす事』でゲージボーナスを得る事が可能だ。

 

ヒーローキャラのミーティアスなら、敵の脅威や攻撃から市民や警察が『やられる前に救い出す』、ヴィランキャラのPSY(サイ)ボーグ・ロードならば、自身が超能力で操る飛び道具を用いて『連続で被害や実害を出す』が条件に有る。

 

Dr.サンダルフォンの場合は『病院の患者や医者に見舞いに来た市民を守る事』が、ヒロイックゲージのボーナスを得られる条件なのだが、当然を見捨てればヒロイックゲージ上昇に大きなデバフが掛かり、病院というバトルフィールドではロールプレイ次第で其の上昇数値は『勝敗を左右する』程。

 

「そらっ!」

「おっと、やらせないぜ………!」

(ッ、()()してきた!)

 

『相手が頭脳派や理詰めを得意とするならば、敵の動きと言葉の変化を機敏にキャッチする。読まれているなら敢えて相手のペースに乗せられ、情報の流出を阻止するべし』──────そうA-Zは言っていた。

 

子供を狙った攻撃が防がれ、Dr.サンダルフォン(ルーカス)からの反撃を食らうユグドライア(Nu2meg)だが、三つ有るラウンドの一つを落とす作戦の中で、自身のヴィラニックゲージの残量と超必殺技を使う場面を加味し、ラウンド残り時間が一分を切った中でも使用せずに『温存』を選択。

 

敢えてヒーローの攻撃を受けながら病院から外に出つつ、第二ラウンドに備えた罠種子を適度にバラ撒き、最後はDr.サンダルフォンの攻撃に『踊らされる形』で体力が削り取られ、システムにより『WINNER! Dr.サンダルフォン』と現実世界では会場中央に吊られた、全面対応の巨大スクリーンに堂々と表示された。

 

『第一ラウンドは超必殺技を使いながらも、ルーカス選手が取ったーーーーー!Dr.サンダルフォンのコントロールも良かったですね、浅間(あさま)さん!』

『えぇ。ですがNu2meg選手は後半に備え、第一ラウンドで病院以外の場所に罠種子の設置と、ゲージをほぼMAX状態まで温存しています。ヴィラン側が後半になる程に不利になるシステム上、此の判断が吉と出るか凶と出るか…………』

(大丈夫!ちゃんと出来てるわよ、Nu2meg!次のラウンドは絶対に取りに行く!)

 

一ラウンドの制限時間ギリギリまで戦い抜き、Nu2megは『やるべきタスク』と『温存した切札』を加味して、第二ラウンドに向けて気合を入れ直したのだった…………。

 

 






破れかぶれでも


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