VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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反撃開始




暴れ狂えば大災害、其れが百花繚乱なれば

「潰れなさぁい、報道ヘリと警察部隊ーーーーー!!!」

 

第二ラウンド、先のラウンドで随分暴れた影響で出現した特殊オブジェクト『報道ヘリコプター』、其れを第一ラウンドで設置した罠種子(トラップシード)で絡め取り、ユグドライアがブン殴って病院に激突。

同じく罠種子で拘束した警官隊のパトカー達の真上にヘリを落とし、病院へ飛び込んだユグドライアを追ってDr.サンダルフォンも突入する。

 

病院の壁に激突からの轟音と共に操縦士とキャスター達を乗せたまま墜落し、パトカーと警官達を巻き込んで諸々爆発した事で悲鳴がケイオースシティに木霊して、今迄以上の衝撃を受けた事で()()()()と誤認した火災報知機が鳴り響き、スプリンクラーが作動。

病院内に水がシャワーの如く降り注いで、ユグドライアとDr.サンダルフォン、そして病院内の廊下や病室を濡らしていく。

 

「第二ラウンドに入ってから、やる事が随分『滅茶苦茶』じゃないか、Nu2meg………!」

「おおおあああ!行くわよ、Dr.サンダルフォン!!」

「ッ、な──────!?」

 

鈍足なユグドライアが突然180度回頭から、水に濡れた廊下を滑走して接近。『巨大化した木の腕』でDr.サンダルフォンを引っ掛けての崩しから、超必殺技(ウルト)『グリーン・グラウンド・ゼロ』を零距離で使って、廊下と天井諸共Dr.サンダルフォンを吹き飛ばす。

 

『ユグドライアの腕がいきなり巨大化したぁ!?』

『ユグドライアはマッドドクターに拉致された女性が、植物の因子を植え付けられて改造されたヴィランキャラです。あのキャラの脚は『木の根の役割』を持っており、仮に『水を吸う事で部位を成長させられる』ならば辻褄が合います………!』

『な、成程!此れもシャンフロエンジンだからこそ出来る技という訳ですね!』

『そして何より、此の状況はルーカス選手にとって()()と言えます…………!』

 

画面内で巻き起こる戦いに実況のエイト、解説の絢斗(あやと)が状況を述べる中、巨大スクリーンに映るルーカスのDr.サンダルフォンは、随分『苦しそうな表情』をしていた。

 

第一ラウンドでユグドライアが捉えた病院の入院患者、見舞いに来た市民に医者達は既に避難した事で、此の病院は蛻の殻と言える状態だが、施設自体は今も『稼働し続けている』。其れ故に衝撃を与えれば火災報知機も鳴り、スプリンクラーも作動する──────そして此のスプリンクラーの作動こそが、ルーカスがDr.サンダルフォンを()()()場合の『攻略作戦』の一つだった。

 

「確か『Dr.サンダルフォンは携帯を用いて超能力を使う設定上、常に片手が塞がった状態で戦い続けなくてはならない。そして携帯を手から弾き落とされると、キャラパワーは幾分が落ちるので落とされない様に意識する必要が有り』…………ってA-Z君が言ってたけど、此れは中々『嫌らしいねぇ』?顔隠しさんや」

「いやいや、じゃあ『病院内で擬似的な雨天状態の中、携帯を故障させない&手放させない立ち回りの強要と、強化されたユグドライアとのマッチングのサンドイッチにしよう』って、作戦立案した張本人が其れを言いますかぁ???」

 

『勝利の鍵は、場所と仕様を知る事』。

 

名前隠し(天音 永遠)のアドバイスと実戦でコテンパンにやられたNu2meg(夏目 恵)は今ばかりは此のアドバイスに感謝しながらも、第一ラウンドの逆襲とばかりにDr.サンダルフォン(ルーカス・ガルシア)をスプリンクラーが降り注ぐ屋内から逃さない。

 

『ルーカス選手、病院内から逃げ出せない!Nu2meg選手が病院から逃さない!!第一ラウンドとは真逆の状況だぁーーーーー!!!』

『ユグドライアの特性とDr.サンダルフォンの特性を加味し、スプリンクラーというオブジェクトを存分に利用した屋内戦術。水で携帯電話が故障し得るリスクが付き纏う中で、ルーカス選手もよく凌いでいますが………。如何せんフィールドの状況が悪い、此れは………!』

『あーーーー!!ユグドライアの攻撃がサンダルフォンの携帯を叩き落とし………!木の腕が巻き付いて叩き付けが決まったーーーーー!!?』

 

ユグドライアに優位な状況を作れはしたが、ゲージ消費技が封じられた中でも反撃してきたDr.サンダルフォンによって、少なく無いダメージを負いながらも、最後は巨大化した腕で掴まえからの叩き付けのコンボ攻撃でDr.サンダルフォンの体力を削り切り、残り時間一分弱で『KO勝ち』を茂木取った。

 

『第二ラウンドは八分五十七秒の戦いの末、Nu2meg選手の勝利!自身のキャラの得意とする盤面での戦いに、ルーカス選手を乗せる形となりました!』

『以前から彼女自身のカウンター戦略は磨きが掛かっていましたが、此の戦いを通じて更に鋭くなっています。ただ相手はルーカス選手、先程のラウンドは勝ちを譲ったとも考えられる動きでしたね…………』

 

相手を研究して強くなる、自分と同じタイプのプロゲーマーだからこそ、Nu2megには解る。第二ラウンドでのルーカスの動きは確かに、自分にラウンドを『取らせる様な動き』で有った事──────即ち第三ラウンドは此方の戦略等も把握して、逆襲してくる可能性が高いという事だ。

 

(だからこそ、第一ラウンドで把握した『アレ』が必要になる………!)

 

『一度見せた戦い方は、超一流のプロ相手に二度三度は通用しない』──────思考深度がイカれたレトロゲーマーが語った、昔の自分に思いっ切り当て嵌まった『弱点』をほんの少しだけ意識し。

 

ユグドライアの持つ特色に、ケイオースシティに存在するオブジェクト、外道組とレトロゲーマーからのアドバイスに指南を受けた彼女が、第三ラウンドでも暴れまくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三ラウンド開始。ヴィランキャラに与えられた三十秒の準備時間(ヴィラニックタイム)中に其のオブジェクトが在る場所へ辿り着くべく、ユグドライアはターザンアクションの如く迅速に移動していた。

 

(第一と第二のラウンドで屋内戦闘をしたのは、外に在るアレの存在をルーカスに悟らせない事。けどスプリンクラーってヒントは見せたから、気付いてる事も加味しておこう…………!)

 

目星は在る、目標は見付けた、後は盛大にやるだけだ。

 

「私はユグドライア………!私はユグドライア………!此の身に刻まれた怒りを、ぶつけてやる!」

 

そう言って大通りに在る其れを──────ギャラクシアレーベルでは『看板キャラ』となっているヒーローキャラにして、ヴィラン連中の嫌がらせで大きな被害を被る運命を背負った者『ハイドロハンズ』が作中でも己の力としている(オブジェクト)……………『消火栓』を次から次へと見付け次第、片っ端からブッ壊す。

 

圧縮された水が噴出して、激流と共に溢れ出して濡れるアスファルト、張り巡らせた木の根の脚より新鮮な水を吸い上げ、ヴィラニックゲージが()()()に増える。

 

「オイオイオイオイ、マジかよ!?」

「あら遅いわね、Dr.サンダルフォン?特設ステージの準備は終えちゃったわよ?」

「どうやら俺は、君の事を甘く見過ぎていたらしい──────だから此処からは油断無く、本気で君を倒しに行く」

「……………上等よ」

 

水が滴り、水溜りが生まれ、ユグドライアが地を蹴り攻め、Dr.サンダルフォンが近くの消火栓をゲージ技で硬質化させ、自分の距離に持ち込むべく突撃したのである…………。

 

 

 






切札は水


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