VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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戦いの先


※次回、日時と描写的に不謹慎判定食らいそうなので一日御休みします





彼女の戦い、魔王の始動

結論から言えば、恵はルーカスとの試合に策を講じてフィールドを整え、ほぼギリギリの状況だったが何とか勝てた。

 

互いにゲージ技の消費と殴り合い、足技すらも絡めた読み合い、最後はクロスカウンターの交錯の中、水溜りによる滑りと腕部を成長させてズームパンチを繰り出したユグドライアが、Dr.サンダルフォンの顔面を捉えた事によりKOを奪い取ったのである。

 

「何とか勝てたわ…………」

「やぁやぁメグちゃん、スケコマシ相手に勝利おめでとう。大健闘だったね〜♪」

「第三ラウンド、ユグドライアのゲージ技をルーカスの足止めじゃなくて、バトルフィールドから逃さない為に使ったのも中々に痺れたぜ」

「御疲れ様、恵さん」

 

爆薬分隊(ニトロスクワッド)の出場メンバー、外道二人に脳のリソースが回復したレトロゲーマーが声を掛け、彼女の健闘を称え。そんな中で恵は自身の掌を見ながら、身体の内側で広がる『不思議な感覚』を覚えていた。

 

「何だろう…………皆に色々教わったから、かな。ユグドライアの使い方や戦術が『理解出来た』気がする。もっと色々な事を試したい、試してみたい………!」

夏目(ナツメ)氏?」

「メグちゃん?」

「……………『スイッチ』が入った感じだな」

 

歯車がカチリと嵌り噛み合う様に、自分の新しい可能性を見出した様に、彼女は今迄燻り続けていた己の殻を破り、新たな段階へ昇華しようとしている。

 

ルーカス相手に二十三分の激闘を、五分の休憩を挟んだ後に彼女はスターレインのマッチョマンの一人、アレックス・テイラーと。──────ギャラクシアシリーズの中のヒーローキャラ・ハイドロハンズで、バースト時代の全シーズンを通じ『トップ10を落とさなかった男』との試合に向かった。

 

「ねぇねぇ、A-Z君に顔隠し君。ぶっちゃけメグちゃんはアレックス…………『遠距離恋愛』相手に勝てそう?」

「多分無理臭い」

「ヴィランキャラを選べばワンチャン、ハイドロハンズだとノーチャン…………あ、ハイドロハンズ選んだ」

「此れは…………。うん、私も準備した方が良いかもね」

 

アメリアを倒したオリジナルコーデコスプレイヤー、ルーカス相手に健闘した日本のプロゲーマー。そんな相手に手を抜けないと、世界最高峰のハイドロハンズ使いは、己が最も使い慣れて、最も使い熟してきた相棒を選択したのである…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめん、負けちゃった…………」

「いや、流石にしゃーないって。遠距離恋愛さん、一番使い慣れたガチキャラで叩きに来た訳だし」

「第一と第二ラウンドを時間一杯使って、ハイドロハンズの消防署(職場)消火栓(力の源)を潰しまくったの、私はヴィランらしくて良かったよん」

「総合計時間四十八分、ナイスファイト」

 

結果だけ見れば、恵はアレックスに負けた。

 

終始ヴィランキャラに徹し、ハイドロハンズの強みであり弱点のオブジェクト破壊等を行い、徹底して嫌がらせを続けた彼女だったが、遠距離恋愛…………もとい『飛び道具として水流を利用する事に長けた』ハイドロハンズにより、上半身や顔面を徹底して狙い続けられた事で、脚からの水分補給が出来ずに『ストレート負け』を喫したのだ。

 

其れでも彼女のロールプレイは確かに『ユグドライア』として、混沌と電脳の都市(ケイオースシティ)の中で暴威となって示され、アレックスのガチキャラ相手に戦った経験値は今後の彼女の成長に繋がるだろう。

 

「俺と恵さんが稼いだ時間は、休憩時間含めて『百分越え』。思った以上に頑張ってるな」

「ただ相手もギアが入ったし、ペンシ……名前隠しが負けたら俺の番だから、そろそろ『コイツ』を飲むわ」

「カッツォ君が渡したエナドリかぁ。遠距離恋愛の次はいよいよシルヴィちゃんの出番な訳なんだけど…………多分私じゃ『十分稼げるかどうか』、だろうね」

 

A-ZとNu2megの二人の活躍と粘りにより、K到着までの最短時間『百五十分』まで着々と稼げている。其れでもアレックスを越えた先、待っているのは全米最強のプロ格ゲーマーたるリアルミーティアスこと『シルヴィア・ゴールドバーグ』。

 

自分自身の事を解っているからこそ、自分に出来る時間稼ぎを行う為に、顔隠しは依頼主から渡された『ライオット・ブラッド・トゥナイト(米国産)』の缶を開けて、南瓜頭のヘルメットの口部分を開いて流し込み、名前隠しは己の出番が回って来たとステージに上がりて、電脳の世界にダイブする。

 

『大盛況と大番狂わせで進行する、ギャラクシアヒーローズ:カオスのエキシビションマッチ第五試合ッ!アレックス選手は引き続き『ハイドロハンズ』!対する名前隠し(No Name)選手は…………『クロックファイア』!ギャラクシアレーベル・ハイドロハンドの主人公ヒーロー対、最大激突回数を誇るヴィランの原作対決だーーーーーー!』

『クロックファイアは設置技をメインとするヴィランキャラで、ゲージを消費して設置を行うユグドライアとは異なり、ゲージを消費せずに設置が出来ます。またユグドライアが『近距離カウンタータイプ』に対して、クロックファイアは『能動的に動き回るアタッカータイプ』との事です。ハイドロハンズ使いのアレックス選手にとって、クロックファイアは負けられない相手でしょう』

 

『やっぱり其れを選んだか』と、A-Zは片目のみを開いて再び目を閉じて、脳のリソースを着々と回復していく。

 

名前隠し(天音 永遠)の性格と本性、そして本質を知っても尚、彼女と『恋人』として契りを結んだ男は、此の後に起きる『惨劇』が架空の都市と観戦者全てを、恐怖と絶望と戦慄の坩堝のドン底に沈める事を予見しており、そして彼の予想は『漏れ無く当たる事』となる。

 

自分の持つ『悪辣さ』を最大限に発揮出来るキャラクター、NPCやシステムを含めて高い『自由度』を持つゲーム性、其の両方を手にした場合に置ける彼女の実力は、サンラクやカッツォに自分を含めて『上回る』。

 

朱色の燕尾服にシルクハット、桃色のショートヘアに一部が赤髪、設定では『自ら抉り出した左眼に自身で埋め込んだという紅玉の宝石を義眼にした』という、奇妙な格好の女性。

 

宝石の魔力に魅入られ、自作の爆弾で平穏が破壊される光景を見るのが大好きな『快楽第一のサイコボマー』、ハイドロハンズのヴィランキャラでも屈指の『イカれ野郎』であり、時限式爆弾プリティー・ベアーボム………バースト時代では『BB』と呼ばれた其れを用い、原作では主人公のハイドロハンドが勤務する消防署を爆破して、読者に絶望を齎した。

 

そんなヴィランのキャラクター性と、人が花火の様に弾けて消える様を『たーまやー』と言って見送れる、外道達からも『ド畜生』と言わ占める女が、其の性能と実力を遺憾無く、余す事無く発揮した場合、其のゲームが一体どうなるか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

答えは今に示される。

 

 






始まるは惨劇


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