集った3つの要素よ、1つに重なり甦れ
兎御殿の中には、二つの鍛冶場がある。
1つはペッパーが何時も世話になっている、名匠ビィラックが仕事場としている、何時も掃除が施された綺麗な鍛冶場であり。もう1つは兎御殿の地下に在る、年季が入った歴戦の工房に等しい、こじんまりとした鍛冶場だ。
ペッパーが先生と呼ぶ、ヴォーパルバニーの大頭・ヴァイスアッシュの鍛冶場は後者に辺り、石造りの螺旋階段を下った先に、其れは在った。
「オヤジにペッパー、アイトゥイルじゃけ。此処に来るなんて珍しいの」
箒と塵取りを使い、せっせこ床掃除をしていたビィラックが此方に気付く。
「おぅ、ビィラック。何時も掃除してくれてよぉ、あんがとうな」
「!……オ、オヤジがちゃんと掃除すればエエだけじゃけ!」
褒められて嬉しいのだろう、言葉は荒いが耳がピコピコ動いている。ビィラック、諸バレだ。其れは其れとして可愛い。
「ビィラック。ペッパーから預かっとった、籠脚を除いたレディアントシリーズ一式と、機構を持ってきちょくれ。此処で3つを束ねて、元の姿に甦らせる」
其の言葉を聞き、ビィラックは眼を輝かせ「わ、解ったけ!直ぐに持ってくるの!!」と言い、猛スピードで走っていき。ヴァイスアッシュはペッパーから受け取った、
「ペッパー。嘗て蒼空を夢見た、一人の人間の夢ェ。おめぇさんに、其の続きを『託す』ぜ」
「………はいっ!先生!」
託された願いに応えられるように、ペッパーは覚悟を決めてヴァイスアッシュに返事をし。少しの間を空けてビィラックが、レディアントシリーズ一式と
「じゃあ、始めるかい。此処に揃った3つの要素、1つに束ねて甦らん」
そうしてヴァイスアッシュは、肩に掛けた上着を払い、着物の右肩と、右腕の可動域を広げるように、着物を脱ぐ。まるで昔々の時代劇で、桜の刺青をした代官が其れを罪人に見せるようにしていたシーンの様に。
胴装備たるレディアント・アーセナルの胸部に、頂星煌炉心を埋め込み、接続と感度の調節を行い。レディアントシリーズの
其の眼には唯強く、そして鍛冶師としての使命を宿していた。
「凄い……」
彼の手際や道具の使い方は超一流を超え、神の領域に居るように見える。道具の使い方や手際とそうだが、まるで『解っている』かのように、レディアントシリーズ達を組み立てている様な、もしくはレディアントシリーズがヴァイスアッシュに向け、順序を示しているかのように見えて。
ビィラック、アイトゥイルが見守る中、ヴァイスアッシュは黙々と、然れども動じる事も無く、己の御業を以て成すべき事を成していく。
そうして…………
「おぅし、出来たぜ」
そう言ってヴァイスアッシュが見せたのは、ゲーム内の防具屋でよく有る防具立てに、ズラリと立て掛けられたレディアントシリーズ装備一式の姿。
白と空色の明るい色彩を主体にしながらも、青天の霹靂たる雷をモチーフにした、金色の装飾が全体を引き締め、アクセントを産み出す。
昔の映画のSFパワードスーツの形状と似通っては居るが、腰装備のレディアント・オルサーグの背面には、龍の尻尾と思われる物が見えている。
「これが、レディアントシリーズの本来の姿…ですか?」
「有ってるが、少し違うな。おめぇさんがコイツを全身に纏って、脚のクラリオンの上に、籠脚たるソルレイアを装備してェ、こう言いやぁ起きるぜ。『
ヴァイスアッシュが甦らせた、神代の時代に示された蒼空を飛ぶ為の答え。ペッパーは彼に深々と感謝と共に頭を下げ、現在の装備を解除してレディアントシリーズを1つずつ、其の身体に纏っていく。
そうして全身に神代の叡智を纏い、ペッパーは己の胸に納められている頂星煌炉心に手を当てる。
「レディアントシリーズ………いや。一式完全装備状態の時は、お前の名前は真名に変わるんだったな。
改めて…よろしくな?
覚醒の合い言葉を受けて、頂星煌炉心が唸りを上げて、強く青い光を室内に放つ。
アーセナルに収まる胸部のコアを、装着者の肩を護る装甲や、腰装備のオルサーグのサイドアーマーに水晶の防壁が展開され、龍の尻尾を思わせていたユニットはエネルギーが伝達された事で、本物の龍尾の様に成り。
頭装備たるレディアント・ヘルメイトには光が灯り、フルフェイスヘルメットとしての機能を発現、水晶で構築された三本の角が生えた事により、人の姿ながらドラゴンの様な龍面の顔へ変わる。
各部も機構が展開して、白い翼状のモジュールが現れて、極めつけはアーセナルの背面に展開される、金色に煌めく『エナジーウイング』。片側につき三枚の両方合わせて六枚の翼が展開され、触らずともウイングからは、膨大なエネルギーの波動を感じられた。
そして何より凄いのは、甲虫双皇との戦いで
「なにこれすごい」
もう一回言う、なにこれすごい。いやいや、滅茶苦茶格好良いんだが?中世から未来にタイムワープしたようで……うん、もう一回言うわ。なにこれすごい。
語彙力?奴なら死んだよ……。
「はっはっは!随分馴染んでるじゃあねぇかよぅ、ペッパー。アイツの生き写しに見えるぜ?」
ビィラックとアイトゥイルが、何時の間に持ってきた大きな鏡を自分の前に持ってくる。確かに頭装備の形や龍面だったり、角が三本とか身体のカラーリングとか差異は有るが、ヴァイスアッシュの言う通りジークヴルムを模倣しただけあり、似通った部分も多い。
「えっと…其れじゃあ耐久力はどのくらい上がったの…………ふぁ?」
ステータス画面を開いた其の時、ペッパーは衝撃のあまり絶句する。
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PN:ペッパー
レベル:40
メイン
サブ
体力 15 魔力 10
スタミナ 90
筋力 85 敏捷 95
器用 45 技量 70
耐久 70013(FCB+15000) 幸運 25
FCB:無限飛翔・?????・レーザー砲撃
残りポイント:0
装備
左:無し
右:リュカオーンの
両脚:レディアント・ソルレイア(耐久力+5000)
頭:レディアント・ヘルメイト(耐久力+10000)
胴:レディアント・アーセナル(耐久力+20000)
腰:レディアント・オルサーグ(耐久力+10000)
脚:レディアント・クラリオン(耐久力+10000)
アクセサリー
・鎖帷子(耐久力+10)
・旅人のマント(耐久力+2)
・
所持金:1,029,000マーニ
致命極技
・
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致命武技
・
・
・
・
・
スキル
・サイスオブスラッシュ
・
・レペルカウンター
・ブーメランスロー
・アルゼイドエッジ
・メイアスワーク
・ボルベルグストライク
・グラシャラスインパクト
・ストレングス・スマッシャー レベル5
・オーバートップビート
・インファイト レベル4
・七艘跳び
・スケートフット
・ジェットアタック
・十字斬 レベル3
・バリストライダー
・アクタスダッシュ レベル6
・ステックピース レベル4
・握擊 レベル3
・投擲 レベル4
・クライムキック レベル7
・首断ち レベル5
・ムーンジャンパー
・ボディパージ レベル5
・ライフオブチェンジ
・ストレートフィスト
・背面蹴り レベル4
・トリスフリップ
・フルズシュート レベル5
・オプレッションキック レベル3
・
・
・
・挑発 レベル1
・
・
・
・
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(防御力インフレしてるぅぅぅぅぅぅぅぅ!?え、ま、はぁああああああ?!?耐久7万!?!7000じゃなくて?!?…………ええぇ…………???
しかもFCBって何?ヤバい機能有るんだが?滅茶苦茶ヤバくないですか????)
神代の叡智が詰まったトンデモユニーク遺機装に、ペッパーは頭が痛くなってきた。と、そんな彼にビィラックがこんな事を言ってきた。
「ペッパー。ワリャが
『他の鍛冶師にも匿名で
悪戯っ娘の様に笑ったビィラックに、ペッパーがフルフェイスヘルメットの下で唖然とする中。彼の前には、クエストクリアを告げる、リザルト画面が表示された。
『兎の国の神匠は嘗ての夢を甦らせた』
『兎の国の名匠は新たな武器を産み出した』
『勇者は蒼天への願いと夢を紡いだ』
『称号【夢を紡ぐ者】が【夢の継承者】に変化しました』
『称号【
『称号【新武具の開拓者】を獲得しました』
『特殊クエスト【颶風を其の身に、嵐を纏いて】をクリアしました』
『産まれた技術がフロンティア中に広まった』
『武器カテゴリー【
『シャングリラ・フロンティアの各街の武器屋にて、武器カテゴリー【
『クエスト【風雷の挑戦状:強者よ、双皇樹に来たれ】が受注出来るようになりました』
『特殊クエスト【想いの御手は、境界線を超えて】を受注しますか? 【Yes】or【No】』
『特殊クエストEX【七星の皇鎧よ、我が元に集え】を受注しますか?【Yes】or【No】』
(籠脚が新しく追加されたり、レディアントシリーズがとんでもない代物なのは判明した、其れならまだ良いんだ………。此の『特殊クエストEX』ってナニ?アレか?レディアントシリーズみたくユニークモンスターを模した、
唯でさえ空を飛翔出来るし、天覇のジークヴルムをモチーフにした一式装備っていう、ヤバい代物が手元に在るのに、此れ以上の爆弾を抱えさせるつもりですか?鬼か?鬼なのか???此のクエスト作った製作者は悪鬼羅刹の類いなの?????)
リザルト画面を見たペッパーは、頭を抱えながらダラダラと思いの丈を流し続ける。
彼のシャンフロライフは、またしても平穏は縁遠き物となり、不発の爆弾は積み重ねられていく。
然して、勇者に天へ舞い上がる、神代の願いは紡がれた。そして……世界が動く時は、もう直ぐ其所に迫りつつ在った………。
此処に夢は甦り、クエストは進行する
天覇のジークヴルムを模したユニーク
光輝へと昇る金龍王装が持つ機能は『ほぼ無制限に空を舞う』事と『━━━━━━━━』、そして頂星煌炉心を用いて繰り出す、天覇の足元にも及ばずとも強力な『レーザー砲撃』を可能とする。
モチーフは『シャドウバース』のレジェンドフォロワーで、アニメ:シャドウバースFの主人公・天竜ライトの切り札『レーヴァテインドラゴン』が、ドラゴウェポンを使わず、進化先をチョイスせずに進化した姿。