VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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可憐に咲け

※不謹慎判定食らいそうなので、次回も一日御休みします




彼女の劇場に上がったが最期、貴様は逃げる事叶わず

「派手にパフォーマンスしたけど、やっぱり此の付近から市民(NPC)は『避難して』消えてるよね」

 

ヴィランキャラ・クロックファイアはゲージ獲得や嫌がらせ手段として用いるプリティー・BB(ベアー・ボム)は、設置上限数の中で如何に効率良く、そして如何に派手に扱えるかが、ギャラクシアヒーローズシリーズに置けるクロックファイア使いの『永遠の課題』とされている。

 

バーストでは上限数三個という、控え目に言って『爆弾は強いが他はあまり強く無いヴィランキャラ』・『爆弾がダメージソースの八割五分』・『如何に爆弾をカウンターで当てるかの繊細な技術が必須』というのが、クロックファイア使用者達が抱いた評価だった。

 

だがカオスはバーストには無かった『リアルタイムシミュレーション要素』と『シャンフロエンジンによるNPCの自由度』が与えられた事で、クロックファイアの総合評価は今此の瞬間も跳ね上がり続けている。

 

其れこそ前作からのクロックファイア使い達は新たなタスクとして、名前隠しが起こした惨劇から『勝利の為にモラルを捨て切れるか』といった、リアリティが高めに高まった市民相手に爆弾になる事を強要出来るか等を、此のエキシビションマッチを通じて突き付けられた。

 

「やっと見付けたぞ、クロックファイア!」

「おっとぉ、()()()()()で現場到着は予想外だなぁ?!」

 

ヒーローキャラのハイドロハンズはギャラクシアレーベルに置ける神、或いは傍観者、はたまた大体コイツのせい枠に属する『ギャラクセウス』よりパワーを与えられ、其の結果『水を操る能力』を獲得している。

 

原作でも其の力を利用して、消火栓の水を用いた消火及び救助活動や、頭のネジが外れたイカれたヴィランとの戦いを繰り広げているが、其の中でも『水を用いたド派手なアクション』がハイドロハンズ最大の魅力で花形と言っても過言では無い。

 

アレックスが取った行動はシャンフロエンジンによる拡張された能力と、バースト時代から最高峰のハイドロハンズ使いとしての技術に、原作を読んだ事からなる『コレをやってみたい』という想いからなる(モノ)であり、機動力が御世辞にも高いとは言えないハイドロハンズのスピードを、ある程度にはなるが『解決した一手』なのだ。

 

「さっきのラウンドでやられた分を含めて、チップをレイズして返そう!クロックファイア!」

「御断りだよ、ハイドロハンズ君!」

 

ノリノリでロールプレイしつつ、水流を操りながらのサーフィンと共に回り込んだハイドロハンズが、消火ホースから高圧放水を放ってクロックファイアにダメージを与える。

 

(此の動き、遠距離恋愛(アレックス)は『サーフィン』か『スケボー』はやってる臭い…………。爆弾で空中に逃げるのは悪手、なら建物を利用しつつ、此方は()()を進める!)

 

水流に押し流されども背中から窓ガラスを破り、濡れた衣服も其のままに建物から建物へと爆弾で風穴を開け、着々と目的を果たすべく動き回るクロックファイアと、水流サーフィンという新たな戦略を披露して三次元的機動でヴィランを倒さんと追跡するハイドロハンズ。

 

水流と轟音がケイオースシティに響き、事態は混乱の一途を辿り続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アレックス選手、水流サーフィンという驚きの方法でクロックファイアを追い詰めています!解説の絢斗(あやと)さんとA-Zさんは、此のラウンドをどう見ますか!』

『ハイドロハンズはマーキングした消火栓を起動する事で、超必殺技(ウルト)やゲージ技の威力が大きく変動するヒーローキャラです。其の特性上ハイドロハンズはケイオースシティを移動し続けなくてはならず、消火活動をするにしてもヴィランと戦闘するにしても、消火栓の位置を把握しなくてはいけません』

『…………えっと補足しますと、シャンフロシステムによって『水流の威力』は、『ハイドロハンズが居る位置と消火栓の場所』が関係しています。其の水の発生地点から離れれば離れる程に、水流の威力は低下を余儀なくされるので、ハイドロハンズは可能な限り多くの消火栓をマーキング、其の場所でヴィランキャラを留める事が鍵になります』

 

取り敢えず思った事が有る──────何がどうしてこうなった。

 

普通に理解り易くなる様に話していたら、解説役に抜擢されて、プロゲーマーと隣り合って解説している此の状況、神の意思か何かが見えない場所で働いているのか?

 

『シャンフロについて詳しい様で』

『まぁ、はい……。シャンフロをプレイしてますし、消防系のでホースの長さが鍵を握るゲームをやった事が有りますので』

 

此れでA-Z=ペッパーと情報が繋がるとは思わないが、其れは其れとして巨大スクリーンに映るクロックファイアは、ハイドロハンズの放水攻撃でダメージを食らいながらも、粛々と淡々と己の目的を完遂するべく第一ラウンドで市民にくっ付けた爆弾の爆破処理を続ける。

 

『…………やはり少し『おかしい』ですね、クロックファイアの挙動が』

『…………気付きましたか、絢斗さんも』

『えっ、どういう事でしょうか!?』

 

二人が気付いた事、其れはクロックファイアがハイドロハンズから逃走中、道中で市民に付けた爆弾を爆破させて処理をしつつ、新しい爆弾を次々と『配置している事』だ。

 

此れが()()()()()、そんな行動をした所でクロックファイア側にメリットは皆無、寧ろ自分の持ち味を潰す悪手にしか見えない。

 

『配置したベアーボムを爆破処理しながら、名前隠し選手は新しい爆弾を配置し続けているんです。アレックス選手は其れに気付いてますが、自らそんな行動に出ている事は解せない様子ですね』

『た、確かに…………先程から爆破させては配置する、此の行動を繰り返し、あ!アレックス選手が追い付いた!放水攻撃、とNo Name選手!自爆で後ろに飛んで、威力を殺しました!ダメージは抑えた模様!』

 

水でびしょ濡れで体力も残り一割と、誰の目からも明らかにミスをし続けている様にしか見えない、クロックファイアの奇怪な行動の数々。此の会場に集まった観客や世界中で観ている観戦者の、果たして何人が『其の真意に気付けたか』。

 

顔隠しとA-Zは、彼女が其れだけの行動を取る理由を、彼女が『刹那主義者の黒幕魔王』だと知るが故に、其の行動は全てが第三ラウンドに置ける『下準備』の為と悟り、A-Zに至っては彼女が爆破し続けていた物から『何を仕出かすか』の大方に気付いた。

 

そして最後には………………

 

 

 

「漸く最後のピースが揃った。此れで私の『全ての準備が完了した』よん、ハイドロハンズ君………?」

「クロックファイア………!」

「た、助け──────」

「其れでは第三ラウンド………『最高のフィナーレ』を御楽しみに。なんちゃって☆」

 

スクリーンの中では、ズタボロビショビショのクロックファイアが不敵な笑みを浮かべつつも、今出せる有りっ丈の爆弾を放出し。逃げ遅れていたNPC諸共、自ら盛大に『自爆』による自主退場を行い、八分に及んだ逃走&爆弾処理の第二ラウンドがハイドロハンズの勝利に終わる。

 

『何とNo Name選手、自らBB自爆で自主退場だ?!アレックス選手が第二ラウンドを取りました!』

『意地でもアレックス選手の手では倒されない、そんな決意を秘めたNo Name選手の自爆でしたね………』

『全ての準備…………おそらく彼女は第一と第二ラウンドで色々と爆破していましたが、はてさて何を狙っているのやら』

 

自爆で消える刹那、もう既に『派手にやらかさんばかりの笑顔』を浮かべた恋人の姿が、A-Zには確りと見えていた。

 

だからこそ解る事が有る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の第三ラウンドは先ず間違い無く『一瞬』で、勝者と敗者が決定すると。

 

 






最高のショー


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