続く戦い
「あはははは!良いね、凄く良いよカースドプリズン!」
「力込めてぶん投げたってのに、ピンピンしやがってなぁ!!」
第二ラウンド開始から五分が経過でカースドプリズンが残り一割を切り、ミーティアスが四割という状況の中で流星のラッシュが炸裂する。ガンドレッドが吹き飛び、足腰周りの装甲が蹴り砕かれ、其れでも尚も止まらない流星の閃光と残影を前にしながら、ダメージ覚悟でカースドプリズンは反撃を入れる。
「おっとと!」
「チィッ…………!」
繰り出した拳に足を乗せ、加速からの跳び蹴りを首を傾け致命傷を避ける。其処からの蹴りが繋がってダメージが入るが、元よりノーダメと被弾ゼロ攻略は出来ないと割り切っているので、此の程度は『必要経費』だ。
「まだ終わらねぇ!!」
「そうこなくっちゃ!!」
掴む前にミーティアスが離れた、残ったガンドレッドを剥がしてデッドボールじみた投げを以て、砲丸投げの要領で弁慶の泣き所を狙う。
ミーティアスがスターロードを切った、空中を走って迫って来る姿が随分
カフェインもかなり燃えた、後残り一ラウンド分を全力点火で持ち堪えられるか否か、だが解かる事が一つ有る─────────其れは次のラウンドで『絶対に
「ライオットブラッドは容量を守って摂取!ごわーーーーーーーーーー!?!」
「何で其処でエナドリの話!?」
ミーティアスの爪先蹴りとカースドプリズンの拳のクロスカウンターが交錯し、拳が顔面を僅かに掠ってダメージを受けたミーティアスと、仮面の下の鼻っ柱へ諸に爪先蹴りが直撃し体力を0となったカースドプリズン。
ヴィランの巨体が力を失い、ケイオースシティのアスファルトに青天井を向いて倒れた事により、第二ラウンドはミーティアスが奪い取ってイーブンに持ち込んだのだった。
『第二ラウンドはシルヴィ選手が、絶対王者としての意地と貫禄を見せ付け、ラウンドを奪い返しました!此れで互いに一対一へ縺れ込み、両者譲らぬ大接戦です!』
『顔隠し選手も対抗してましたが、ギアを上げ続けているシルヴィ選手相手には後一歩届きませんでしたね。しかしあれだけの重量を加味してシルヴィ選手相手に反撃を取れる辺り、本当に凄まじいセンスを感じました』
『彼の強さの秘訣は、ライオットブラッドなんでしょうかね…………?第一ラウンドに続いて第二ラウンドでも此れだけの集中力を維持し続ける事は、そう簡単では無いのですけれども………』
実況も解説も、シルヴィを相手に大立ち回りを繰り広げる顔隠しに唖然となり、観客もまた其の凄まじいまでの戦いっぷりに驚愕し、そして同時に訪れるかもしれない…………そんな歴史的瞬間を目撃するべく、固唾を呑んで見守っていた。
「ねぇ、カッツォさんや。もしサンラク君がシルヴィちゃんに勝っちゃったら、我々どーしよっか?」
「総合成績で勝ってる俺が実質最強になる」
「「んな訳無いでしょ」」
「だよね〜。…………でも正直言うと『今のアイツ』はシルヴィ相手に昂ってるっていうか、かなり『楽しそう』なんだよな」
「解るよ、其の気持ち。下手に邪魔したくないってヤツでしょ?」
「そうそう。アイツはカースドプリズンで、シルヴィのミーティアス相手に『先制してラウンドを取った』。誰にも出来なかった事をやったって事実をアイツは世界中の前で証明してみせた。勝つにせよ負けるにせよ、此処から先は俺達でも予想出来ない光景が待ってる」
どっちに結果が転ぼうと、取り敢えず奴は煽ってやるのが外道仲間の間柄なので、何と煽ってやるかと名前隠しと慧はニヤ付いて考えを張り巡らせてゆく。
『リアルカースドプリズン………顔隠し、か』
『先に称号持ってかれたにしちゃあ、随分楽しそうな顔してるじゃねーか。アメリア?』
『当たり前だ。A-Zや顔隠しに、此の世界にゃあ知らなかった強い奴等が居たって事、オレもまだまだ成長出来るって事も知れた。………A-Zにリベンジする為にも、もっと強くなる』
『俺も万全のA-Zと一度読み合いをしてみてぇな。ヤツの読みはプロの中の上澄みにも通じるレベルだろう』
『オイオイ、もしかしてA-Zをスカウトでもするつもりか?』
『楽しくなりそうだねぇ♪』
スターレインの面々もアメリアも、名も知られていなかった凄まじいプレイヤー達が日本には居た事、そんな強者達とのリベンジに燃える者、自陣に引き入れられないかと画策する者、第三ラウンドの果てに決まる此の戦いの結末を見守り。
「さぁて、第三ラウンドか………。カッツォのヤロー、此れでもまだ来なかったら、最高級焼肉を最高級焼肉食べ放題にバージョンアップさせてやらァ…………!」
ある者は焼肉を掛けて。
「顔隠し、初見で此処まで追い詰められたのは初めてだよ。だからこそ負けられない、リアルミーティアスとしてリアルカースドプリズンに勝つ!」
ある者は矜持を掛けて。
「んじゃ、最終ラウンド…………!」
「其れじゃあ、最終ラウンド…………!」
『『テンションフルMAXで行こうか!!』』
そして─────────運命の第三ラウンドが始まった。
「白バイのエンジン、部品のガンドレッド、足腰と肩にタイヤ、後はアレが来りゃ…………ヨシ来たァ!!!」
白バイ隊と警官隊をブッ飛ばしてオブジェクトを取り込み、第一と第二ラウンドの戦いを通じてリアルミーティアス相手に有効となる物資を身体に纏い、上空を音を立てて飛ぶ『報道ヘリ』を睨むヴィランは、直後に街の空を駆ける流星の足音を聞く。
「さぁ決着を付けよう!
「此方の邪魔すんじゃねぇよ、夢見がちなエセヒーロー様が!ヒーローならヒーローらしく、人命救助に勤しんでろ!!!」
トラックを壊して取り出したガトリングガン、初期武器だが報道ヘリ程度なら墜とす事は造作も無い。雄叫び放たれた弾丸の暴風雨がヘリを直撃し、機体が黒煙を上げながら回転して墜落する。
「カースドプリズンらしくなって来たね、顔隠し!でもまだ甘い!カースドプリズンなら、もっともっと『傲慢にならなくちゃ』ね!」
「原作準拠?知るか、んなもん!勝手に言ってろ!此処は『ゲーム』だ!俺は俺の『やりたい様にやるだけだ』!」
空中で旋回からスターロードを駆けてキャスター・カメラマン・操縦士を一秒足らずで救い出すミーティアスと、撃墜と同時にガトリングガンを放り出して脚のタイヤとエンジンを蒸し、両手を広げてアスファルトの道と建物の壁をフルスロットルで駆け走るカースドプリズン。
「更に武装する気だね!させないよ!」
「ヴィランだろうがヒーローだろうが、変身や変形に合体中の攻撃は御法度だろうが!」
建物に突っ込み、半分壁にめり込んで止まったヘリを目指して走るカースドプリズンに追い付くミーティアスに、カースドプリズンのガンドレッドが放たれるが、其れを軽く躱しての巨腕を利用したダンサーキックが直撃する。
ただ体勢を傾けて空中で身体を僅かに逸らすだけ、そんな単純な所作でさえも大振りの攻撃を回避し、其処から反撃と連撃へ繋いでいくのが彼女の特色。謂わば『攻防一体』に等しいキャラコントロールが極まりに極まった結果、シルヴィアの動きは『キレッキレ』と言っても過言では無い。
「君の動きはだいぶ馴れたから、此処からはどんどんいくよ!」
「チィッ………!」
彼女の最大の強みは『先読みに近い反射神経』でも無く、リアルミーティアスと呼ばれる程の『完璧なキャラコントロール』でも無い。
彼女の強さ…………其れは百に迫る連戦を行なっても尚、一切劣化する事が無い疲れ知らずの。無尽蔵に等しい『
つまり彼女を倒し切る方法の一つは『スタミナ勝負による持久戦』では無く、如何に速く彼女から『勝利をもぎ取るかの徒競走』でも有るという事。
ならばやる事は一つのみ、彼女の知らない『己』を叩き付け続ける事で生まれる、ほんの僅かなリズムの隙間を的確に穿って『ほつれ』を作り、其のほつれを繋いで『決定的な隙を作る』のだ。
「攻防一体ね……其奴ぁ良いな!」
蹴りの連撃による決して安くないダメージを負い続けながらも、コラテラルダメージと割り切ったカースドプリズンが肩と足と腰に付けたタイヤで時計回りの回転を掛け、己の巨体とミーティアスの身体を建物の壁から弾き飛ばす。
「此の程度………!」
「もういっちょ
エンジンが駆動しマフラーから煙が上がる。ガンドレッド装備で伸ばした片腕と、突発的な初速を限界まで引き伸ばし、流星が空に逃げ去る前の一瞬の隙を捉えて鷲掴み。
「
掴み捕まえたミーティアスを遠心力に加えて軌道修正と、最速の投げによる叩き付けと共に、建物の壁にめり込んだヘリコプターに力任せにぶつけて爆砕するのだった。
もう一つの大波