VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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叩き付けられた流星は




悪鬼羅刹のオーガサムライ 〜フロー・トゥ・ランペイジ〜

良い(Good)凄く良い(Very Good)

 

其れがオオシケなる最速最短の挙動を用いた、第二ラウンドのダイハロウとも異なる凄まじい『投げ技』を食らい。報道ヘリに叩き付けられながらも、空中で回転を行なって着地したミーティアス、シルヴィア・ゴールドバーグが抱いた感想だった。

 

作者にリアルミーティアスと公認され、観衆にも認知されて呼ばれてから此迄幾度と無く、カースドプリズン使いと彼女は戦い続けて来た。アメリアやチームメイトにもカースドプリズン使いは居た、ロールプレイや強さも良い線を行った者も確かに存在はしていたのも事実。

 

だが彼等彼女等は『後一歩足らない』、どうしても『届かない』。期待しても探しても現れなかった『リアルカースドプリズン』は─────────、此の大舞台にて彗星の如く現れ、自分を相手に第一ラウンドを持って行ったのである。

 

「漸く手に入れたぜ、俺様のメインウェポォォオオオオオオオンッ!!」

 

ヘリのローターが地面に突き刺さり、カースドプリズンが降りて来る。煙を払い除けて刺さったローターを剣の様に掴み、ヘリのフロントとエンジンを取り込んだ姿は、まるで『JAPANESE SAMURAI』の如く。

 

彼の…………顔隠しの最高のポテンシャルを発揮する為の『形態』だと、シルヴィアは一目で確信したのだ。

 

「やっと見付けたよ。リアルカースドプリズン」

 

両手にローターを逆手に持ち、交錯させて構えるカースドプリズンを前に、手に力が籠もる。自分は、リアルミーティアスは、彼のリアルカースドプリズンを打倒して、初めて本物として輝けるのだから。

 

()()()君を倒す!」

「勝手にほざいてろ、お前の知らないカースドプリズンを見せてやる!シルヴィア・ゴールドバーグ!」

 

ヒーローとヴィラン、原典(コミック)の宿敵同士、ゲームという世界の中で己の存在を懸けた戦いが、更なる熱を帯びる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラオラオラァ!」

「甘い甘い、其れくらいじゃ当たらない………って、あぶっ?!」

 

アスファルトをなぞって虚空を薙ぎ、ヘリとバイクと残存カフェインの三重ブーストを得たカースドプリズンが、握りしローターブレードと共に躍動する。

 

重ね連ねた線による攻撃で暴れ、持ち方を瞬時に切り替えながらの射程距離の変更を絡め、連撃を掻い潜りて迫るミーティアスを相手取り、剣撃が死ぬ超至近距離(インファイト)圏内へ近付けさせない。

 

「やっぱこういうのは、手に馴染んだスタイルが一番良い!」

 

シャンフロ・コスモバスター・幕末・スペクリ、そして数多のクソゲーや良ゲー等々(etc)……………乱数の女神に唾を吐かれ、バグや仕様に泣かされ助けられ、ゲームの中で世界を救い、或いは世界を滅ぼす過程で培った技術を血肉とし、モチベーションの炉心に焚べて業火の如く燃やす。

 

「良い動きだけど、君の動きも『だいぶ馴れた』!もっと本気で来てよ、カースドプリズンッ!」

「うごぉ!?」

 

武芸者(サムライ)が振るう大太刀(ローターブレード)に乗る曲芸師の様に、ミーティアスが一気に距離を詰めて一撃をカースドプリズンの顔面に噛まし、まるでスライムが地面にヌルリと沈み込む移動から、取り込み脚に着けたタイヤの片方を蹴り飛ばす。

 

「元より必要経費だ、もう片方もくれてやらァ!」

「そんなんじゃ当たらないよ!」

 

ミーティアスの動きが淀みは無くなり、必要最低限の動きで双刃の挙動に付いて来ている。どうやら動きに馴れたというのは本当な様で、此のまま長引かせるのは得策では無い。

 

「機動力も()った!さぁ、どうする!?」

「んじゃ、こんなんはどうだ?!」

 

接近するミーティアスに対し、カースドプリズンが取った行動はもう片方の脚タイヤをパージしてミーティアスへ飛ばし、其の隙間を利用して両手に握るローターブレードを、自分に纏った鎧に───────否『タイヤが在る部位に刺し込んだ』。

 

左手のローターブレードは逆手に持ちつつ、右の腰に在るタイヤの下に、右手のローターブレードは持ち方は其のままだが左肩のタイヤに差し、左足を前に出して右足を後ろに置くという、随分とチグハグな立ち方の印象を抱く。

 

だがそんな印象の中に響くは、バイクとヘリのエンジンの音だけでは無く。回転を起こしたタイヤが擦り切れる様に響き、ローターブレードを押し出して…………カースドプリズンの左手が操作する顔隠しにも気付かない程、『ほんの僅かに動いたのだ』。

 

((今ッ!!!))

 

ミーティアスが動き、カースドプリズンの左逆手のローターブレードがタイヤと鎧を吹き飛ばしながら放たれ、僅かな刹那にカースドプリズンが左手から得物を『手放した』。

 

「ッ!?」

 

振り抜くと見方に対し、手放すという選択の提示。シルヴィが跳躍した事で、其の先読みじみた驚異的な反射神経とミーティアスの完璧なキャラコントロールに生じる、ほんの少しの小さな『ほつれ』を顔隠しは漸く見付けた。

 

相手は天才だろうと怪物だろうと、自分と同じ()()だ。ミスに差し込め、此処だ、此の一瞬に選択を相手に提示しろ。集中しろ、思考を回せ、読みのリズムを切り崩す、其の為の行動を相手より早く取れ。

 

カフェインがニトロの如く燃え、己の思考が真界観測眼(クォンタムゲイズ)でも使ったかの様に引き伸ばされる中、顔隠しは選択肢を───────カースドプリズンの()()()()凶星引力(フォビドゥン・グラビティ)』を左手から離れ飛ぶローターブレードに叩き付ける。

 

「なッ…………!?」

「前後同時攻撃を食らった経験(コト)は有るか、ゼンイチッッッ!」

 

左肩のタイヤと装甲を吹き飛ばして、タイヤによる速度とエンジン達のブーストを乗せた抜刀居合、ゲージ技による飛ばしたローターブレードを引き寄せての『疑似的な高速挟撃』!

 

名付けて─────────!

 

「カースドプリズン式・影送(エイソウ):断風(タチカゼ)!!!」

「ッぐ!?」

「オイオイ嘘だろ、マジかよ!?!」

 

ゲージ技とタイヤ加速によるローターブレードの前後挟撃強襲に、シルヴィアは両足の同時出しでゲージ技で引き寄せたローターブレードを蹴り弾き。

 

其の勢いで前方のローターブレードへ自ら距離を詰めて当たりに行って腕を十字に交差させてぶつかる事で、低耐久のミーティアスの体力減少を可能な限り『抑え込んだのだ』。

 

「隙有りィ!!」

「こんのぉ!!」

 

まさか此の技を防がれるとは思わなかったが、シルヴィも前後同時挟撃という想像以上の一撃を前にダメージ覚悟であった様で、痺れを帯びた両腕に覆面の下の表情と視線が、彼女の『苦悶』を隠せずにいるらしい。

 

相手が体勢を立て直す前に、残り二本のローターをゲージ技で引き寄せ、手中に収めて斬り掛かる。前後同時挟撃による揺さぶりで、相手が『少なくない影響を受けた』と確信しながらも、シルヴィが直ぐに立て直しに来ると念頭に置いて、顔隠しは怒濤攻めを展開していく。

 

ミーティアスが残存体力は今の一撃で四割を切り、カースドプリズンは五割弱という状況で、第三ラウンドの経過時間はまだ三分という、観戦者達の息付く間をも与えない激動が、更に勢いを増して襲い掛からんとしている……………。

 

 

 

 

 

 






刹那を突く


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