パーティーの後には
「えー………其れでは!カッツォ君の援軍要請でGGC御疲れ様でしたという訳で…………カンパーイ!」
『おつかれー!!!』
名前隠しの音頭を以て、其々注文したドリンク入りのコップやジョッキが音を鳴らす。
GGC二日目の打ち上げパーティーを程々に楽しみ、ホテルからチェックアウトしたA-Z・名前隠し・顔隠し・慧・恵のコスプレ三人含む五人組は、都内の某所に在る居酒屋にて二次会を開いていた。
「は〜、漸く仮面を外せたよー♪」
「俺も同じだね」
「にしても居酒屋たぁ、話が違うじゃねーか」
「一言も焼肉や寿司にフルコースにするって言ってないぞ。お前等が勝手に盛り上がっただけだ」
「詐欺の常套手段だ!」
「ズリーぞ畜生!」
「流石外道、やる事がえげつない」
名前隠しの仮面とA-Zの頭装備類を置いて、永遠と梓は素顔を見せ合いながら隣同士に座り、対面は慧をサンドイッチにする形でカボチャ頭のヘルメットを着けた楽郎と恵が座っている。最近は電子パッドで注文すれば店員が料理を作って、席まで届けてくれるので便利な時代になった物だ。
永遠は焼酎と枝豆、楽郎は焼き鳥、慧はもつ鍋、恵はフライドポテトと野菜スティック、梓は揚げ出し豆腐と揚げ茄子を注文、暫くすれば店員が料理を運んで来てくれた。
「ねぇ私…………ネットで『不慣れな感じで踏まれたい』とか、あと『辿々しい言葉遣いで罵られたい』って言われてるんだけど………」
「ロールプレイとして割り切った方が良いと思うよ。俺なんてA-Zの名前がネットに拡散されて、何時の間にか撮られてたゲーセンのプレイ映像とか『えげつない再生回数』記録したし」
某チューブ映像でも最大再生回数は『数千から数万』程度だったのが、此処数時間で『数百万から数千万越え』になっている。下手すればシルヴィア・ゴールドバーグ以上の影響力を持つアメリア・サリヴァンを倒したのが、A-Zのコスプレした偽者では無い本人であるという事実は、やはり想像以上の話題性を秘めている。
「マジ?…………うわマジだ」
「別のゲーセン探しも検討しなきゃだな」
彼処のゲーセンは穴場というか隠れ家的スポットで、A-Zを一目見ようと客が大挙して来るだろう。近年のゲーセン事情を考えれば、売り上げ増大や新規獲得にリピーター追加と、少なからず採算は取れるはずなので設備投資や従業員の待遇等の事に使って欲しいと願いたい。
「レッツ、タノモー!!」
『二人だ、良いか?』
と、ワイワイ飲み食いしている店内に聞こえた『声』に、五人の身体がビクン!と跳ねた。何せ其の声の主を五人は『知っている』上に、其の足音が『此方へと向かって歩いて来ている』のも事実であり。
「ハァイ、ケーイ〜???」
『さっきぶりだな、アンタ達』
「ぐ、ぐっどいぶにんぐ…………で良いのか???」
「大丈夫、合ってるよ」
シルヴィア・ゴールドバーグ&アメリア・サリヴァンの御来店&同席という、まさかの緊急事態であった。
全米一位と全米二位の来店、そして居酒屋で同席。
二人にバッチリと素顔を見られて頭を抱えた梓と、そんな事は気にすんなとばかりに二人とビールで乾杯した永遠に、ジットリした視線をシルヴィアに向ける恵を見て、取り敢えず逃げようとした慧と楽郎を道連れに引っ捕まえて、席に座らせるというカオスが起き。
『おぅ、AZ。お前まさかとは思うが『シャンフロのペッパー』か?』
「っぉブッ!?い、いきなり何ですかアメリアさん………???」
『そだよー、アメリア〜』
「シルヴィアさん!?」
『ほぉーん………いや何、随分と顔が似てたからな』
改めて御疲れ様でしたの音頭で乾杯となり、開口一番にアメリアが梓へと、ドストレートな質問をブチ込んできた。
猛禽類の鷹や鷲の雌は自分が孵化した雛を殺した烏を絶対に忘れる事無く、探し出して復讐する執念を持ち合わせているというらしいが、どうやら自分が烏という立ち位置に置かれている様だ。
「オゥオゥ、ペッパー君よぉ?海外にすら名前が知れ渡ってるタァ、随分有名人になりましたなー?」
「アメリアを倒したのは事実だから、自分が普通じゃないって確り自覚すると良いよ」
「別のコスプレ衣装で出場すれば良かった………」
「そんな事も有るよ、あーくん。あ、そうだ。気になってたんだけど、シルヴィちゃんとアメリアちゃんは此れからどーするの?」
顔バレで壮絶に頭を抱えながらに強炭酸コーラをヤケクソ気味に注文し、テーブルに頭を付いて埋める梓にまぁまぁと、飼い猫の頭を撫で撫でする様に永遠が撫でながら、彼女はシルヴィアとアメリアに『今後の予定』を問い掛けた。
「ワタシ、長期バカンス中だから、シバラク日本にステイかな。ケイとも色々チャレンジしたいしネ!」
『私は『新しい目標』が出来たし、日本の神ゲーってヤツに触れた。一度アメリカに戻るが、近い内にまた日本に来るつもりでいる』
自分を倒すというのがアメリアの目標だとするなら、壮絶に『嫌な予感』………即ち『自宅突撃』して来そうな気がする。多分此れに勘付いたら永遠や百が『引越』を提案して、引越業者を手配して自分の側に置くor同居させる大義名分を存分に振るいそうな気がしてならない。
と、楽郎が『妹が永遠のサインを欲しがってたから』と色紙を渡して来て、其れを見た梓も慧に『自分の弟が君の大ファンだからサイン貰える?』と、手荷物から色紙を複数枚取り出して、シルヴィアとアメリアにも同様に色紙を出し、二人にも『ゲーマーとして二人から直々にサインを頂きたい』と御願いすると、二人は快くOKの慧は怪しいと見つめるもまぁ良いかと、手慣れたペン捌きでスラスラと色紙にサインを記載。
其れからテレビ電話を通じて、楽郎の妹である『
そうして全米一位と二位を加えた七人の男女による二次会は、盛況の最中に幕を閉じて。皆が其々の新しい未来へと出発するのであった………………。
夜は更けていく