再び日常は訪れて
熱狂と興奮と大盛況のGGCから二日の時間が過ぎた。
日時は8/27で、天覇のジークヴルムとの決戦まで今日を入れて五日間という状況で、午前からのシフトで入ったコンビニバイトを終えて、帰宅途中のスーパーや青果・精肉・鮮魚の店をハシゴして品質と価格を考えた商品を購入する。
「今日休んで、8/28でラピスさんにイムロンさん、SOHO-ZONEさん達ウェポニアに製作依頼した作品達を受け取ったり…………他には数日前にリヴァイアサンで作った『アレ』も、ヒトミさん用にチューニングしなくちゃな」
残された時間も僅かだが、精一杯やれる事をやり切る所存で気合いを入れてアパートへ…………と、彼の視線の先に一台のトラックに自分の部屋のドア前に数人の配達員、更に『巨大な段ボールに梱包された巨大な箱』が。一体何だと取り敢えず近付いてみると、此方に気付いた配達員の一人が話し掛けて来た。
「あ、どうも。此方のアパートに御住まいの『
「えっ、アッ、ハイ。というか本人です」
「あぁ、良かった。御留守だったらどうしようかと思っていましたから」
「成程………じゃあ受け取ります」
「あ、物凄く大きい上に重たいので、我々で御部屋に運ばせて頂きますから大丈夫ですよ」
デカい上に重い物?と疑問符を浮かべ、首を傾げた梓は此の箱の中身は一体何なのかと、配達員に対して質問する。
「あの、コレは一体…………?」
「えっと…………此方、五条 梓様宛の『UCE.チェア型フルダイブVRシステム Pro』ですね。其れも最新型で業務用、もしかして何か景品でも当たりましたか?」
ホテルグランドスプリームで世話になり、全米二位のアメリア・サリヴァンとの決闘でも大いに役立った、アレと同じ物が届いた。………………まさかとは思うが、内容によっては彼に色々と
「因みに送り主は何方からでしょうか………?」
「送り主は『
「えっと………まぁ。あ、鍵開けますので……窓から少し離れた場所に置いて下さい。ハイ………」
部屋の鍵を開けて、受け取り用の指紋認証システムに右手人差し指を翳しつつ、細かい位置取りを配達員に伝え。梱包が取り払われて姿を見せるは、金持ちかつトッププロゲーマーくらいの限られた者にしか所有を許されない様な、ピッカピカの新品VRシステムが其処に在り。
確り観察して見れば、チェアの背凭れや機材の横側の端に電脳大隊のロゴ、右側面にはレトロゲーマー・A-Zのコスプレをしたギャラクシーブレイダーズの男女主人公達のプリントにクレストローズカンパニーのロゴ。
左側面にはギャラクシアコミックレーベル:ミーティアスの主人公の青年サラリーマンのパトリック・ヒューズ&変身したヒーローのミーティアスに、A-Zというサインペイントがデカデカと貼られ、後ろにはネフホロの開発元らしいブラックドールのロゴも付いていた。
そして此のVRシステムチェアと共に届いた二つの小包を開くと、片方には『
「なぁにこれぇ……………」
どう考えても『世界に一点物』の気配がビンビン漂うそんな逸品と、ネフホロとギャラブレを宣伝したのが原因かと睨みつつも、兎にも角にもコレを送り付けてきた慧に、梓は『オハナシ』をするべくスクショを撮ってEメールアプリを使ったやり取りを開始する。
件名:何これ
差出人:A-Z
宛先:ブシカッツォ
本文:何これ新手のドッキリ?
【画像】
【画像】
【画像】
件名:Re:何これ
差出人:ブシカッツォ
宛先:A-Z
本文:どうやらちゃんと届いたみたいだね。其れ
件名:Re:Re:何これ
差出人:A-Z
宛先:ブシカッツォ
本文:タダより怖い物は此の世の中には無いんだよなぁ…………。でさ、ミーティアスのデザインやらサインに、クレストローズカンパニーとブラックドールのロゴ、まさかとは思うけど本物???
件名:おきづきになられましたか………
差出人:ブシカッツォ
宛先:A-Z
本文:まぁ、先行投資って奴だろうね。…………其れとやっぱ気付くか、お前なら。原作者直筆のミーティアスとサイン付き、オマケにお前がギャラクシーブレイダーズやネフィリムホロウの宣伝をしたからか、其の開発元の二社がロゴを付けてきたんだよね。
件名:Re:おきづきになられましたか………
差出人:A-Z
宛先:ブシカッツォ
本文:エキシビションマッチ終わって打ち上げパーティーから二日しか経ってないんだけど、各陣営の対応あまりにも迅速過ぎない???
件名:Re:Re:おきづきになられましたか………
差出人:ブシカッツォ
宛先:A-Z
本文:そりゃお前、アメリア相手にエクストララウンドまで縺れ込んで最後には勝利した奴が、自社のゲームを高らかに全世界に発信すりゃ、結末は大体決まってるでしょ。其れにミーティアスの作者、A-Zを名指しして『もう一人のリアルミーティアス』なんて言ってたし、リアルミーティアスのシルヴィからも太鼓判押されてるぞ?
件名:マジカヨ
差出人:A-Z
宛先:ブシカッツォ
本文:………………………………ま?え、ハイ??
件名:Re:マジカヨ
差出人:ブシカッツォ
宛先:A-Z
本文:マジだよ。原作者から公認されたってだけでも栄誉なのに、シルヴィからも認められたってのは其れだけ凄い事をしたって事だ。誇って良いんだぜ?
件名:Re:Re:マジカヨ
差出人:A-Z
宛先:ブシカッツォ
本文:誇らないし驕らないよ。今回はシャンフロシステムを利用して、アメリアさんがゲームにまだ慣れていないって弱みを突いた勝利な所が有るから、もっともっと強くなる。
何時かシルヴィアさんやアメリアさん含めて、プロゲーマーから挑戦状を叩きつけられても、ちゃんと良い試合が出来る様になりたいからね。無論ブシカッツォからもね。またシルヴィ攻略の練習相手が必要なら言ってくれ。予定を鑑みて日時用意するから。
件名:Re:Re:Re:マジカヨ
差出人:ブシカッツォ
宛先:A-Z
本文:……………あんがと、一応礼は言っておく
件名:ジークヴルムとの決戦
差出人:A-Z
宛先:ブシカッツォ
本文:まぁ其れは其れとして、だ。8/31にシャンフロでジークヴルムのユニークシナリオの決戦フェーズが来るとの事なので、後でチャットを含めてクランメンバーで話し合いをしよう。エルドランザやノワルリンド含めた、現在の色竜達の状況も把握したい。
件名:Re:ジークヴルムとの決戦
差出人:ブシカッツォ
宛先:A-Z
本文:いよいよかぁ…………大規模レイドらしいし、ワクワクするな
「ふぅ…………まぁ色々有ったが、エキシビションマッチの報酬のフレンチフルコースにも劣らない、凄い物をくれたって所には感謝しないとな」
Eメールアプリを閉じ、業務用VRシステムチェアに座って想いを馳せる。
此れでハッキリと解った事が一つ有る─────────其れは数日後に確実に訪れる、ジークヴルムとの決戦フェーズを前に『フルスペックを発揮する最高の切札』を、自分は手に入れたという揺るがぬ確かな事実だった。
報酬はプレイ環境のアップデート