VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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緑と恐と青が出て





龍よ!人よ!生命達よ! 〜其の三〜

「やぁ、待たせて済まない。……………何やら凄い事になってるけど?」

「カローシスさん。取り敢えず落ち着いて聞いて下さい…………ブロッケントリードと傷だらけ(スカー)にエルドランザが現れたんですけど、エルドランザは旅狼のレーザーカジキ君が味方にしたらしく、此方に危害は加え無い様に御願いしているとの事です」

 

ログインして宿屋から出て来たカローシスUQは視界に見えている光景に戦慄(ドン引き)し、ログインに気付いた老鬼(ロウキ)からの説明で更に戦慄しながらも、直ぐに冷静さを取り戻す。

 

「……………要するにエルドランザは味方で、ブロッケントリードと傷だらけが敵って認識で良い?」

「序でに、エルドランザはジークヴルムを狙っているとの事で、今ペンシルゴンや家のメンバーが魚人族やスペリオルアビス、他クランにも話を通しに行ってます」

「解った。イン中の午後十字軍メンバーやインしていないメンバーにも、エルドランザは狙わない様に通達してくれ。出来れば援護する様にと」

「了解です、寂斬(ジャクザン)さんに伝えつつ前線に行きます」

 

老鬼はそう言い、サイガ-100達がブロッケントリードと傷だらけの二手に分かれて対処する指示を飛ばし、プレイヤー達が其々に狙いを絞って分担していく様を見つつ、一団へと合流する。

 

「今ログインしたよ。随分と混沌としているね」

「やぁやぁ、カロちゃん。御覧の通り状況は混沌一直線だよ、楽しくなって来たねぇ?」

「お前にとってはだろう、全く…………午後十字軍は何方を狙う?傷だらけか、緑竜か」

「緑竜の情報が欲しいね。傷だらけは此方で情報色々集めたから、何とか対処出来そうでは有るけど」

「成程……………」

「団長!団長!大変だ!!」

「ペンシルゴン!ヤベーぞ、また問題発生した!」

「敵が来た」

 

そんな中、慌てた様子でやって来たのは黒剣のサブリーダーで弓の勇者武器・聖弓フェイルノートの所持者たる草餅と、旅狼のメンバー・オイカッツォと、規格外特殊強化装甲【艷羽】を着たルストが来て。

 

「どうした、草餅。何が有った?」

「カッツォ君、どったの?」

「ルスト、どうしたの?」

「『アリみたいなチビドラゴン』が大量にやって来た!」

「ペンシルゴン、()()が来た!」

「見た目は『デカい女王蟻』、ぶら、ブラ?ブラニャンコロリン?が来た」

 

 

 

 

 

 

『成る程、確かに此処は良い場所です…………。少々拓けているのは気に食わない上に、『高慢ちき』に『老害』が先んじた事ですが………。えぇ、私()の『新しい住処』とするには丁度良い』

 

 

 

 

 

 

三人のプレイヤーが危機を報せた刹那、低い声だが高い声という、矛盾した感想を此の場に居る命達に抱かせる、そんな奇妙な声が戦場に響く。

 

同時に樹海の隙間を縫いて現れるは、数え出したらキリが無いレベルの物量を誇りし、六つの足を生やして腹部と頭部が胸部と比べて異様に大きい、まさに『蟻』と言える小さな竜種達が白い津波の如くやって来て。

 

そして其の小さな蟻の様な竜達の中心地には、凄まじい勢いで産み出し増やしまくる、小さな蟻の竜を何倍にも大きくし、巨大な腹部をより肥大化させてドラゴンの上半身を歪に付け。

 

何十本もの脚を以て腹部を支え、其の背中に在る玉葱状の突起から何十匹の()竜達を戦場へ送り出す様は、正しく『女王蟻』であり、同時に『巨大な工場』と言い換えられる存在─────────『白竜ブライレイニェゴ』の襲来だった。

 

『高慢の青臭い匂いに、子狂いの白々しい匂い、其の上煩い竜の匂いがぁ…………潰してやろうか!!』

『高慢ちきに老害が、私達の安寧を邪魔する気か…………!我が子達よ、彼奴等を殺してしまいなさい!』

『勝手に争っていろ、老害と子狂いめ!』

『『『グォラァアアアアアアアアア!!!』』』

 

白竜が此の場に居る全ての存在を蹂躙せんと小竜達を動かし、緑竜が白竜と青竜を潰さんと動き、青竜は関係無いとしながらも、絡まれるのは御免とばかりに海水を放射して子竜を押し流し、傷だらけは目の前に映る子竜達やプレイヤー達を潰さんと咆哮しながら走り出し、戦場は四つ巴の大混乱に陥る。

 

「混沌過ぎる…………!だがチャンスだ、クランリーダー達を集めてくれ!戦線を構築する!」

「自分も協力しよう、ペンシルゴンさんも良いかい?」

「カッツォ君、サンラク君とルストちゃんとモルド君に連絡入れて、あーくんを大至急呼んで来て!」

「解った!兎に角、撃破目標絞んないとキツ過ぎるよコレッ!!」

 

オイカッツォがベヒーモスかリヴァイアサンで手に入れたらしき無線機器を取り出して走り、其れに入れ替わる形でやって来たのは、グラップラー系列の前衛アタッカー的な見た目のグラマラス体型の金髪碧眼高身長のアバターと、其れに見合った装備を纏ったプレイヤー『アージェンアウル』で。

 

「グッドイブニング〜、名前隠し(ノーネーム)〜?一目見てピンッ!ってキたヨ♪」

「げぇっ、よりにもよってアナタかぁ…………!」

 

ペンシルゴンは知っている。此の世界では『初めまして』なアージェンアウル…………元素記号やラテン語に置き換えれば、銀と金で有る為に彼女が『シルヴィア・ゴールドバーグ』だと見抜いた。

 

「で?顔隠し(ノーフェイス)とA-Zは何処なのかしら?二人共、此の戦いに参加してるんでしょう?」

「まぁね。()()あーくんは各戦線を飛び回りながら、情報を掻き集めてると思うよ。家の鉄砲玉は確実に色々やってるよ、多分其の内暴れ出すんじゃないかな?」

 

独占欲を出しながらに答えた事で、サイガ-100の視線がペンシルゴンの背中に幾重にも突き刺さる。其れから数分後、ペッパーがリュカオーンの分け身のノワと、ヴォーパルバニーのディアレにアイトゥイルを抱えながら、契約した征服人形のカルネ=103と共に空を駆け走り戻って来た。

 

其の後ろにはオイカッツォやサンラクに、ルストモルドコンビと緋鹿毛楯無(ひかげたてなし)に跨ったサイガ-0、そしてペッパーとサンラク達に気付いて、共に前線拠点に押し寄せた沢山のプレイヤー達も一緒だった。

 

「ペンシルゴン、オイカッツォ達から話は聞いた!緑竜は茨を破壊しないとリジェネしそうなのと、白竜は小竜を繰り出す『群体型モンスター』疑惑有りで、黒き死に捧ぐ嘆き(レクィエスカト·イン·パーケ)暴血赤依骸冠(ブロード=クロゥネ)持ちで対処が必須!傷だらけは頭三つのヘイトが常に切り替わるから、何かに絞り込ませないと不確定要素に成り兼ねない!」

「相変わらず御丁寧な解説だねぇ、あーくんや!スローター能力持ちの武器防具所持者を中心に白竜、緑竜はリジェネ以上のダメージ総数で殴り倒しに行くよ!後、傷だらけは場合によっちゃ緑竜にぶつけるつもりで!」

「あ、其れとカローシスさんにはコレ渡しておきます!質問は決戦フェーズ終了後で!」

 

ペッパーの齎した情報に、ペンシルゴン・サイガ-100・カローシスUQを中心としたジークヴルム打倒派閥の他クランリーダー達によって、プレイヤー達へと情報は拡散と共有が伝播して。ペッパーから譲渡申請が飛ばされ、受理したカローシスUQは渡された其れに唖然となった。

 

そして時刻は午後九時丁度、()()の登場はまるで『時間が定められていた』かの様に。真実は『決戦フェーズ中に色竜が三体以上出現している』という条件を満たしていた事で、遂に『其れ』は戦場へと現れた。

 

 

 

『おぉ、人よ………勇者よ………英傑よ!今宵こそが其の輝きを示す日と知れ…………!』

 

 

 

其の力強くも、天と地の果てまでも届く程に高らかに響き。其の実はシステムによって、あらゆる声よりも優先された事で前線拠点に居る全てのプレイヤーに、そして緑と青と白に傷だらけを含めた竜達に届き、其の全てが頭上に広がる夜空を見る。

 

黒い漆黒の夜空に昇る金色の月、否…………其の月と月光を背に受け、王冠の如き四角の角を掲げし四翼の翼羽撃かせる、天に浮かぶ黄金の龍王が─────────七つの最強種(ユニークモンスター)の一柱たる『天覇のジークヴルム』が其処に居た。

 

『我が名はジークヴルム………!神代の守護者にして、世界を灼く存在(モノ)!来たる災禍にて勇者を、英傑を待ちし者!人の巣立ちにて、()()()()を以て立ち塞がりし、厚く高き壁なり………!!さぁ、人よ、勇者よ、英傑よ!示せ、示せ、証明せよ!煌めくが如き英傑の行いを!戦禍の中に光る唯一つの輝きを!!』

 

言霊の一つ一つが覇気を、魂を乗せた『強さ』を含み。四翼に纏う黄金の輝きが、ユニークモンスター特有の強者に出逢ったと感じる絶対的な『圧力』が、燃え盛る火焔の如く力を増していく。

 

『我が律は今、此の時より地を覆い、万象を圧し潰す!英傑には喝采を………愚者には罰を………!此れ即ち『龍法律(ノトーリアス)』…………!!!』

 

唯でさえ巨大なジークヴルムの飛翔を支える翼が、其の大きさを更に広げて限界まで伸ばしたかの様に。夜の空に浮かび飛ぶジークヴルムを発生源として広がった黄金の光が満ち、其れは軈て『薄いドーム状の形』を構築して前線拠点を、薙ぎ倒された樹海は愚か前線拠点に面した海をも覆い。

 

悪性増大重力圏(バッド・インクリース・グラビティ)!!!』

 

瞬間ドーム内に入っていたプレイヤーにNPC達に、真上から『巨大な圧力が伸し掛かった』……………が、其れも一瞬の出来事で、其れ以外には『何も起こっていない』。

 

「な、何だ今の?!」

「デバフ!?バフ!?どっち!?」

「ジークヴルムのエンカウントは出てたけど………」

「ステータスには何か変化………ん?」

 

一先ず自分に起きた事を確認せんと、ステータス画面を開いたプレイヤー達は其処で『ある項目』を見付ける。

 

「何コレ?『特殊状態:B.I.G.2』…………?」

 

バッド・インクリース・グラビティの其々の頭文字を取って『B.I.G』としたのは解る。だが其の後ろに在る『2』という数字が一体何を意味するのかは解らない。

 

と、そんな此方の事情なんぞ知ったこっちゃないとばかりに、前線拠点の外側では混沌と化した戦場では小竜の津波が襲い掛かり、傷だらけの大暴れにプレイヤー達の悲鳴が上がる。

 

そしてプレイヤー達が吹っ飛ばされたり、群がられて死んで、ポリゴンが崩壊し………………其れ等の場所達には『赤い上向きの矢印のアイコン』と『青い下向きの矢印のアイコン』がバラバラに出現しており。

 

赤い方は『180から一秒毎に一つずつカウントを減らしていき』、青い方は『15のカウントダウンを兼ねたアイコン』が有り。そして十五秒経過と同時に青い矢印が在った場所で『プレイヤー達が次々とリスポーンする』という、にわかに信じ難い光景を目視し。

 

そんな地獄絵図の中、プレイヤーの一部が『味方を庇って』デスした瞬間に、青の矢印が付与されたのを見た事でリアルミーティアスとまで称された、シルヴィア・ゴールドバーグ(アージェンアウル)はジークヴルムによって付与された『B.I.G.2が齎すギミックの内容』を気付くに至ったのだ。

 

()()()()()()!」

「えっ!?何て!?」

「皆、コレ、ロールプレイ!ヒロイックじゃないアクションしたら、プレイヤーに『バッドステやリスポン時間』が変わるんだわ!」

 

アージェンアウルが気付いたギミック。

 

其れは天覇のジークヴルムが望みし、勇者や英傑の到来を願う事。

 

其れはプレイヤー達に対し、英雄譚に出て来る勇猛なる者の行いを()()()─────────謂わば『ロールプレイの強要』だったのだ。

 

 

 

 






龍王が課すは第一試練


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