VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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強要された理不尽




龍よ!人よ!生命達よ! 〜其の四〜

「ヒロイックなロールプレイの強要…………本当ですか?!」

「Yes!さっき何処かのプレイヤーが、カバーリングに入って倒されたらブルーアイコンが出てたわ!」

「マジかジークヴルム………!クターニッドやウェザエモンみたいな事じゃないとは言え、ロールプレイを強いて来るってのは厄介だぞ…………!」

 

アージェンアウルが解き明かした、ジークヴルムが初手に繰り出した黄金色の重力圏の正体───────其れはリスポーン可能なプレイヤー達に英雄や英傑的行いを強要し、其れに沿わない行動をした者には復活後に罰を与えると言う、厄介極まり無い『戦闘空間』の構築であった。

 

何より此の重力圏はリュカオーンの刻傷を持つサンラクや、リュカオーンの愛呪を持つペッパーにすら付与された事から、如何なる方法を持ってしても『逃れられない』と判断出来るレベルには強大である。

 

「つまり………」

「賢く生きず、愚かに死ね、と」

「そういう事になる…………!ヒトミさん!ニーナさん!サイナさん!イクサさん!其々の契約者(マスター)と共に拡声器とマイクを使って、ジークヴルムさんのギミック内容を戦っているプレイヤー達に通達を!カローシスUQさん、サイガ-100さんは其々のターゲットと交戦中のプレイヤー達に伝え、出来る範囲で『味方のピンチを救う行動』を取ってください!其れだけでもヒロイックロールプレイになります!」

 

ペッパーが今在る物、ロールプレイで簡単ながらも出来る事を皆に伝え、其れを聞いたプレイヤーが一斉に動き出す。

 

「ヒトミさん!」

「了解:御武運を」

「スゥゥ……………皆さーーーーーーーん!!ジークヴルムさんが放った黄金のドームはーーーーー!味方のピンチを救う様なロールプレイを強要してくる、そういう空間でーーーーーーーーす!!!」

 

声を張り上げ、マイクと拡声器によって増強された声が戦場に木霊し、他のプレイヤー達がペッパーが叫んでいると気付く。

 

「ジークヴルムさんが放った黄金のドームはーーーーー!味方のピンチを救う様なロールプレイを強要してくる、そういう空間でーーーーーーーーす!!!」

 

アイトゥイルとディアレを抱えてノワが頭に乗せながら、ヒトミと共に夜空を駆けては声を放って情報を共有し、征服人形と契約したプレイヤー達も乗じる形で声を上げた事で、戦場に生きるプレイヤー達も互いに隙を埋め合い、其々の死角を補助し合う戦い方に切り替え始めたのだ。

 

「よし!アイトゥイル、ディアレさん、ノワ、ヒトミさん!俺達は子竜を倒しつつ、白竜を叩きます!」

「はいさ!」

「解った!」

『ワゥ!』

了解(ラジャー):思いっ切り行くとしましょう」

 

空中から戦場に降り立ち、二羽のヴォーパルバニーが其々の得物を、一機の征服人形がマイクと拡声器から武器に切り替え、ペッパーもまた左右の手首に一体化したインベントリアを操作し、普段の装備から一気に切り替える。

 

纏うは『ギラッギラに輝く黄金のスーツ一式』、星明かりと月光に照らされて光を帯び、プレイヤー宝石匠(ジュエラー)・ラピスの手により金晶独蠍(ゴールディ·スコーピオン)の素材達を糸へ変え、布に変えて織られた超逸品と呼ぶに相応しい一式装備を其の身に着付け。

 

両足にはウェポニア所属の鍛冶師『タイニー・アルティック』が、ウェポニア内で行われたらしい『武器デザイン決めの闘争』の果てに権利を勝ち得て作った、トレイノル・センチピード・グスタフとドーラの甲殻に脚を使った『籠脚(ガンドレッグ)』を胸を張って渡し。

 

左手に持つはウェポニア所属の鍛冶師『ジョット』なるプレイヤーが、同じくウェポニア内で行われた武器デザイン決めの闘争で、殴り合いやらの果てに権利を勝ち取り、己に出せる鍛冶の業や(ヘキ)の全てを込めて『トレイノル・センチピード・ドーラの炉心酒臓』を用いて作ったという、武器の重さは大剣級ながらも、武器種は片手剣の『チグハグ』さと、何故か『特撮武器っぽさ』を抱かずには居られない其れを握り、右手にはスティック状の…………ジョット曰く『此の武器のリミッターを解放する為の鍵』らしきガジェットを持つ。

 

立て続けに封雲の撃鉄(タイタントリガー)(スペリオル)を起動から真っ白い雲を更に鎧として纏い、意識を読み取った雲が巨大な両腕を作り出して、インベントリアより顕現させるは、ペッパー・天津気(アマツキ)の全長を頭一つ上回る長さと、其の鉄棒の先端には歴戦の迷宮牛人を討ち取った際に手にした角を、研ぎに研ぎて研ぎ澄まし鋭く鋭利な槍の穂先としても役割を果たせるだけの状態で接続した、『巨大で分厚い両刃の斧(ラブリュス)』を持つ。

 

「ラピスさんが製作した『ゴルドステラ・スーツシリーズ』に、ウェポニアのタイニー・アルティックさん作の『ボーリングストライカー』、ジョットさん作『エンジリング・ブレード』!そしてシナリオクリアでアーテクレイブレイカーが大斧武器に派生した『歴積重大戦斧(グレイドネス・グァルックス)』!!他にもまだまだ有るし、暴れますかぁ!!!」

「ペッパーはん!来るのさ!」

「ペッパーさん、横の敵は任せてくれ!」

「援護:アイトゥイルとディアレの護衛は任せてくれ」

「解りました!ノワ!」

『ワン!』

 

味方の援護に支えられ、()()()()で子竜を斬り倒し、回転斬りの最中に右手に持ったガジェットに自身の魔力(MP)を一気に注ぎ込み、左手を軽くスナップする事で開いたエンジリング・ブレードの『ガジェット装填部』に挿し込んで、再びスナップと共に閉じる事でエンジンに火が点き、武器は()()()()に入る。

 

寄り来る子竜はボーリングストライカーで蹴り叩けば、ギャリギャリと荒削る様にして砕き、総合計『十一発の多段ヒットによって』、子竜がポリゴンと化して消滅して行った。

 

契約者(マスター)、前から子竜!其れも巨人型だ!」

「よし、仏陀斬ってやるッッッッッッッ!」

 

此のエンジリング・ブレード、持ち手に在る『トリガー』を押す事で『エンジン音のSEがけたたましく鳴る』のだが、一回・二回・三回押す毎に一速・二速・三速とギアが上がっていく様に、刃の振動と破壊力が上がる特性が有る。

 

其の度にMPを装填したガジェットからエネルギーが注入され、充填されたMPが多ければ多い程に威力が高めに高まっていくんだと、そう製作者のジョットは誇らしげにドヤ顔を噛ましたのだ。

 

そして最高潮とも言える五速、つまりは五回トリガーを押し込んだ上で進路上の子竜達を叩っ斬り、巨人型の子竜を脳天唐竹割りに持ち込めば『十八回のダメージ判定に混じって黒紫色の毒エフェクトが発生』し、多段ヒットによって巨人型の子竜が真っ二つに裂け、ポリゴンと化して消滅する。

 

「いや、どっちもえっぐ…………。ボーリングストライカーはMPを常に消費するが消費速度によって多段ヒットの回数と適応間隔が短くなっていき、食い縛り発動を真っ向から捩じ伏せつつの『猛毒付与確率を高めて』、エンジリング・ブレードは動かす燃料のガジェットを装填する必要が有るのと、プレイヤーのMPでガジェットの燃料を補充しないといけない代わりに、敵に当たれば『最大五十回連続斬撃ダメージと猛毒状態判定』を叩き付けるって言ってたが………多段ヒット武器も此処まで来たか」

 

ゴルドステラ・スーツシリーズにより、加速を続けるボーリングストライカーのエネルギーチャージと、ガジェットにチャージして先程まで底を付いたMPがもう既に『MAXまで回復していた』。

 

というのも此の装備、ラピスの説明で一部位毎に斬撃攻撃への耐性以外にMPのリジェネ効果が有り、一式全てを装備している今なら大体五分、更に月光が出ているなら能力は強化されて約一分程度で『純魔法職プレイヤーのMPをMAXにする程のリジェネ速度』を持っている。

 

一式装備中は其処にボーナスとして『MP任意使用で装備耐久値の回復効果』が働くらしく、下手な攻撃では全くダメージが入らない上に壊れない所か、物理や衝撃属性攻撃以外ではプレイヤーも大丈夫という中々凄まじい能力を持っており、ラピスによればメイド服製作を生業とする『エリュシオン・オートクチュール』との()()をした際に得たノウハウを、自分なりのやり方で此の装備に組み込んだのだと言う。

 

スナップからガジェットを取り出し、MPを補給し再び装填。トリガーを押す度にエンジンの如く雄叫びを上げ、震え上がる剣身を重厚な大戦斧と共に思うが儘に振るい、他のプレイヤーが子竜に襲われている所をバッサバッサと斬り斃して助けつつ、仲間と共に白竜を狙う。

 

『───ゥゥウ……』

「……………ん?」

 

そんな時、戦場に響くは声─────────夜空に響きて、黒い『闇』が凄まじい勢い動き、まるで月まで届かんばかりに凄まじい勢いで『加速する』。果たして其の存在の()()を視覚として捉える事が出来た者は、果たして此の戦場で何人居たのだろうか?

 

『ジークヴルムゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!』

『ぬぐぉ!?漸く来たようだな、ノワルリンドよッ……………!!』

『貴様を倒し、我こそが真なる竜王と証明する!』

 

ブロッケントリードが、傷だらけ(スカー)が、エルドランザが、ブライレイニェゴが。そしてジークヴルムが集った戦場にて、真打登場とばかりに最終到着したノワルリンドが、ジークヴルムに対し大質量のタックルをブチ噛まし。

 

「え、私が号令ですか?!えーと………!其れじゃあ、よーいドン!!!」

 

同時刻、戦場の一角から黒いくノ一装束を着付けて狐の御面を頭に乗せた青髪の少女『秋津茜(アキツアカネ)』が、一羽の侍装束のヴォーパルバニーの『シークルゥ』と共に、頭や腕に腰や足と各々の思う場所に『黒い布を巻いた』数百体の黒い蜥蜴人族(リザードマン)竜人族(ドラゴニュート)を引き連れて、此の戦線へとやって来たのである。

 

 

 






混沌は加速する


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