VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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一方の者達は




龍よ!人よ!生命達よ! 〜其の六〜

新大陸・ペンヘドラント大樹海地帯。複数の亜人種達が住まい、色竜因子によって恐竜の特色が反映されたモンスター達が闊歩し、弱肉強食のサバイバルが行われている一帯で有り。

 

開拓者達の活躍で樹海地帯には前線拠点と森人族(エルフ)達の故郷、或いはレベルキャップ解放施設・覚醒の祭壇が置かれたティアプレーテンとを繋ぐ道が出来上がった。

 

そして今、戦場へと続く道を駆けて向かう者達の大軍勢が、各々の目的の為に石畳で舗装された道路を突き進んでいる。

 

「冥府の鍵杖のAnimaliaよ!奴は、ブリブリニヮンワンは前線拠点に居るのだな!?」

「えぇ、そうよ!ジークヴルムが放った領域に入った以上、そう遠く無い内に接敵するわ!私達SF-Zooは自然を壊す緑竜ブロッケントリードを、貴女達は白竜ブライレイニェゴを駆除したい!そうでしょう!?」

「「うむ!」」

 

頭一つ所か普通の人間の二倍以上の背丈を持ち、大地を揺らして走る大きな人、武器と共に有りて武器と運命を共にする種族『巨人族(ギガント)』の一人、そして此の巨人族を率いる者……………『無双の双剣(モラ・ベガルタ)のディルナディア』と、其の妹の『無双の双剣(モラ・ベガルタ)のフィオネ』が、ディルナディアの肩に乗った動物狂いのAnimaliaの問いに同時に答えた。

 

そして他のSF-Zooの面々も後ろに続く巨人族の肩に乗り、走る事で襲い掛かる風に吹き飛ばされそうになりながらも、何とか獅噛み付いて踏ん張り。更には其の後ろに続くのは巨人族の勇士達だけに非ず。

 

「ペッパー殿に救われた大恩、今こそ我等の働きで報いる時ぞ!!」

「ドゥルガ殿、気合が入っておるな!」

「儂等も負けてはおれんぞ!鉱人族(ドワーフ)の鍛冶場で鍛えた力と技、照覧して見せよう!」

「世ヲ蝕ミシ竜ヨ!オォ、我等ガ父祖ヨ!我等ガ奮戦シカト御覧アレッ!!」

「ルガドドド・ル・ドドドド……オ前ハ元気ダナ」

「呵々!斯様ナ戦列ニ入リ進ムトナレバ高揚モ仕方アルマイテ!!」

「……なぁ拳闘鶏(デスペラード)、俺たちもこう盛り上がった方が良いのか?」

「此処で無駄な力を使う必要は無かろう。赤竜を討ち取り、同胞の仇を討ったペッパーに感謝を伝えねば、鳥人族(バーディアン)の名折れだ」

「我々にとっても彼の存在は無視出来ぬ故、な。…………京極(キョウアルティメット)殿よ、ペッパー殿は戦火の地に立っているのだろうか?」

「ペッパー御兄様ならきっと、色々目立ちまくりそうだけどね。でも断言して良い、彼は必ず其処に居るよ」

 

SF-Zooが猫妖精(ケット・シー)の国・キャッツェリアに向かい、砂漠を進む途中で出逢ってコミュニケーション(物理)の果てに友情を交わした蟲人族(バグマン)、バグズ・プライドを二人込みの勇士が総勢十六名。

 

赤竜ドゥーレッドハウルと(むさぼ)大赤依(だいせきい)を共に倒し、ペッパーに恩を返すべく火山から前線拠点へ進んでいた鉱人族が三十五名と、赤系竜人族(ドラゴニュート)が五十名に、巨人族の勇士達・オディヌ氏族含む六十名。

 

旅狼(ヴォルフガング)のメンバー、狐の獣人族(ビーストマン)改宗(コンバージョン)した京極が連れて来た象と狐と猫科の獣人族達、獅子心衆・狐火の会・豊象軍の各派閥二十一名の総勢六十三名と、更に一緒に来た鳥人族・拳翼愚連隊が総勢二十五名。

 

そしてプレイヤー含めて総勢四百五十名に迫る多種族の大軍勢が一つとなって、各々の目的を果たすべく龍と竜に人と亜人達の、生きとし生きる者達が命や矜持を掲げる戦場へと向かっていた…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノワルリンドの手に乗り、秋津茜(アキツアカネ)が飛翔する。ユニークシナリオの討伐対象、其れも新大陸側のプレイヤーからして一番ヘイトを買った存在と共に戦う姿は、多くのプレイヤーに衝撃を与え。

 

然してジークヴルムの手に乗って空を飛んだペッパーや、現在進行形で同じくユニークシナリオの討伐対象の一体たるエルドランザの頭の上に乗っかりながらも、放水攻撃に合わせた魔法攻撃で子竜を立て続けに倒すレーザーカジキも居た為に、大混乱とまではならなかった。

 

『さて、どうなるか……………む、貴様─────!』

『ふはははは!自ら傷を刻んだ虫には敏感なようだな、ジークヴルムッ!!』

「御久しぶりです!えーと………私の顔を傷物した借りを返しに来ました!ジークヴルムさん!」

『ほぅ、ほう!人よ、貴様ノワルリンドと手を組むか!エルドランザと手を組んだ人といい、やはり面白い!名を名乗るが良い!』

 

夜空を羽搏き、黄金龍王と漆黒の竜が幾度目の相対を果たし。其の手に乗って頭の上に移動した、秋津茜を見たジークヴルムが高らかに叫ぶ。

 

「秋津茜と言います!其れとエルドランザさんと組んでるのはレーザーカジキさんです!」

『秋津茜!お前は敵に対しても、ポンポン喋り過ぎだ!』

「えっ、でも戦う時ってこう………名乗る物じゃないんですか?」

『秋津茜、レーザーカジキか!其の名を確かに覚えよう!さぁノワルリンドよ、掛かって来るが良い!』

『言われんでも掛かってやるわァッ!!!』

「はい!全身全霊で挑みます!ノワルリンドさん!ペッパーさんからで、ジークヴルムさんは魔力攻撃を封じる力が有るそうです!」

『そうか、ならば確かめねばなるまい!』

「はいっ!」

 

ノワルリンドからして以前まで『腑抜け』と感じていたジークヴルムが、ペッパーという存在と出逢って何が有ったのかは知らないが、其の言動は以前よりも増してずっと()()()()している。

 

彼からしても既に()()()()()()と思われた黄金の龍王が、其の目に強き燈火を宿して戦う姿はまるで、己が確かに()()()()()()()()、あの日の龍王『其の物』だった。

 

『む…………其の短剣は。いや………『奴の意思』ではなかろうな』

 

ノワルリンドのタックルを往なし、其の隙を縫った秋津茜がジークヴルムに飛び乗った。そんな彼女に龍王の視線が向き、次の瞬間には彼女が握る『薄桃色の鮮やかな刃と黒く艷やかな黒い峰』、そして『桜の花弁をイメージした鍔が付いた刀』を見ていた。

 

「え?はい!此れは『兎花(とばな)(サクラ)】』です、御覚悟を!!!」

『ならば示せ!ノワルリンドと共に天を駆け、我が元へ辿り着きし人よ!貴様の輝きを見せてみよ!!!』

刃隠心得(はがくしこころえ)鎖縛帷子(さばくかたびら)】!!」

 

ジークヴルムを叩いた瞬間、黄金の巨体に鎖が這うかの如くエフェクトが走る。本来の帷子は、斬撃や刺突武器等による致命傷を避ける防具の役目を果たすが、此の忍術はジークヴルムを縛る為の魔法。

 

「ノワルリンドさん!ブッ飛ばしちゃって下さい!」

『ほぅ、秋津茜よ。貴様も死ぬぞ?』

「例え死んでも、また登ってくれば良いだけです!」

『死んねぇい!!!』

 

ジークヴルムに回避の隙を与えず、ノワルリンドの攻撃を届かせる。黒竜の口に漆黒のエネルギーが収束し、僅か数秒足らずで放たれた『黒竜火焔放射(ブラックドラゴンブレス)』が夜空を奔り、ジークヴルムへと迫る。

 

例え死を是としても勝利の為に戦う秋津茜の姿勢は、ジークヴルムのテンションを高めていき、龍王が持つ『始源を滅する力の一端』を開示させるに至らせた。

 

『良い!実に善いぞ!!ならば我も見せよう…………其の力の一つたる『輝ける龍王(トゥーパック=アマル)』を!!』

 

叫び、同時に頭部に掲げる四つの角が光り、次いで龍翼に複雑怪奇な光の模様が走り、そして最後は自分自身の身体が黄金の輝きを増した瞬間に、秋津茜の放った魔法とノワルリンドが放った黒焔が瞬く間に『砕け散った』。

 

『な…………!?!』

「コレって!?わあぁ!?」

『我が力の一つ、マナの具現の悉くを砕く『魔術殺しの輝き』!さぁ、我に如何にして傷を与えるか!秋津茜!ノワルリンドよッ!』

『成程、ペッパーなる虫が言った技がコレか!ならば接近戦よ!』

 

轟ッ!と風圧が襲い、秋津茜が空中に放り出される。魔法が駄目でもスキルならば使えるのではと考え、ヘルメスブートを起動すれば正常に働いたのを確認、空中に留まりつつ駆けてノワルリンドの背中に乗り込む。

 

魔法とスキルを封じる事が出来るジークヴルム相手に、ノワルリンドと心を通わせた狐面のくノ一装束の少女は、勇敢に立ち向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

笑みリ(えみり)ー!体裁整ったよー!!」

「先ずはパフォーマンスで話題性を確保する。ペッパーは確かに凄まじいネームバリューを持つけれど、其れを上回るだけの力を発揮すれば何の問題も無い……………!」

 

ジークヴルムがノワルリンドと、ブライレイニェゴがプレイヤー達と、ブロッケントリードがエルドランザに傷だらけ(スカー)と戦う中、前線拠点では今まさに『秘密兵器』が動き出さんとしていた。

 

「いやーしっかし、家具職人と大工の組み合わせが『こんな形で役立つ』とはねぇ………。思った以上にシャンフロの職業は奥が深いなぁ………」

「そっちは兎も角、此方は大工というより『所有者』が、ですけどね…………」

 

職業:家具職人……………文字通り『家具を作る』という存在理由があまりに『意味不明』な職業故に、シャンフロ世界のフレーバーの一つとして認識され、あまり考察の手が加わっていなかった職は、家具職人と同様の理由を持つ職業:大工と共に活用する事で、笑みリアはシャンフロという世界で『答え』を……………そして『到達点』を提示した。

 

其れは大工系列最上位職業:大棟梁と、家具職人系最上位職業:風水導師による職業の組み合わせから起きる『シナジー』であり。

 

設置系オブジェクトを作成し、様々な効果を発揮する『建設生産職』とでも言うべき二つの(ジョブ)と、数多のプレイヤーの協力と尽力によって作り上げられた此の『装骨天守スカルアヅチ』は言うなれば、其処に建つだけで開拓者の悉くに絶大な加護を齎す『神秘の石像(スタチュー)』として機能するのだ。

 

「敵対対象『緑竜ブロッケントリード』及び『ドラクルス・ディノサーベラス"傷だらけ(スカー)"』!強化対象『全プレイヤー及びNPC』……発動効果『地属性及び衝撃耐性と火炎耐性』……!」

「ひゃっほぅ!かっくい〜!!!」

「さぁ─────────起動せよ!スカルアヅチッッッッッッ!!」

 

開拓する為の『休息地』ではなく、開拓した『後』を守る為の拠点を、そして城としての『本来の在り様』。其れが笑みリアが示した、ノワルリンドと傷だらけを殺す為の『答え』。

 

新大陸で得られた竜骨と魚骨と獣骨を、基礎となる木材や石材も含め、数多の屍と骸を糧に建ちし、大いなる城が今宵『動いた』。

 

 

 






起動し、復讐の時


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