スカルアヅチの力
ノワルリンドと
新大陸にやって来た
先ず前提として風水導師が齎す効果は、風水導師が設置した家具の総数・質・配置場所に応じて高まり、最上位職まで至った者の手で組み立てられた家具達は、生産職の最上位たる匠を名乗る事を許された者達に匹敵する程の質を持ち、相応の数と其れを配置するスペースを手にすれば効果は相対的に跳ね上がる事を意味し、其れが城レベルの建物を立てて一部屋一部屋を最高級に仕上げれば、語らずとも理解し得るだけの出力を出せる。
そして建物に用いたリソースの総量は、風水導師が齎す全体効果の影響力・効果範囲・効果の質へと其のまま『直結』し、其れがスカルアヅチ程の巨大建造物ともなれば。風水導師が齎すバフ範囲は『ジークヴルムが繰り出した黄金の重力圏全域にまで届く』程の、凄まじい効力を発揮するのだ。
「うおっ!?」
「何、バフ!?」
「ぐあ…………って、アレ?」
『なんじゃと!?』
ブロッケントリードの地鳴らしと、隆起した大地からなる衝撃にプレイヤーが吹き飛び。しかしながらダメージの赤いポリゴンを撒き散らし、上空から地面に叩き落されながらも、其の身が崩壊する事は無く。
「此れ、笑みリアさんの作ったスカルアヅチのバフ効果だ!此処等辺のプレイヤー達全員、ブロッケントリードと戦ってるプレイヤーを対象に地属性攻撃耐性と衝撃耐性が付与されてる!」
「マジか、やべーなスカルアヅチ…………!」
「ヨッシャ、反撃じゃー!!」
「マンディーズ、遅れを取るな!」
『『『『『『『イェアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』』』』』』』
『『『グォォァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』』』
ポーションやマナポーションを飲み干して体勢を立て直し、武器を持ったプレイヤーやNPCが反撃に転じる。スキルと魔法が次々と点火し、生命達の身体より輝く光景はまるで、夜空に輝く無数の星々の様で有り。傷だらけをブロッケントリードにぶつけつつも、緑竜の供給元たる茨の触手達に次々と攻撃を叩き込む。
『猪口才なぁ……………!!!
だが竜達の中でも最も長く生きている緑竜もまた、唯々無抵抗で黙ったまま殺られてやる等と『軟な事』では断じてしない。巨体を後脚だけで支えて上半身を持ち上げ、重力に従って巨躯を支える二つの前脚を地面に叩き付けた、次の瞬間。
踏み鳴らした地面は凄まじい勢いで隆起し、大陸プレート同士がぶつかり合って現実世界の最高峰の山『エベレスト』を構築した様な現象と共に、スカルアヅチのバフを受けたプレイヤーやNPCに暴れ回ってダメージを加えまくる傷だらけを、均しく纏めて吹き飛ばしてしまう。
此の一撃を前に軽量級や中量級の一部のプレイヤー達が倒され、体力に振り込んだり重量級のプレイヤーは何とか生き延びれたが、其れでも陣形は大きく崩れた。
(スカルアヅチの強大な
傷だらけはタフな様で直ぐに復帰するや、ブロッケントリードに噛み付きに行くのを見たカローシスは周りを見渡し、そしてクランリーダーとして『一つの決断』を下す。
「レーザーカジキ君!青竜エルドランザ!」
其の声が戦場に響き、プレイヤーやNPCの視線がレーザーカジキとエルドランザの方へと集まる。そんなカローシスの声に、一人と一匹もまた此方に気付いた。
「頼む!僕達と共にブロッケントリードを倒す為、貴方達の力を貸して欲しい!そしてプレイヤーの皆!傷だらけの討伐は一度取り止め、対ブロッケントリードの戦力として組み込みたい!もし戦いの後で傷だらけに何が起こっても、僕が責任を取る!!!」
猫の手を借りたい様に、今は傷だらけを討伐するのでは無く一戦力として組み込む事。そしてレーザーカジキやエルドランザに大きな借りを作る事になれども、此処でブロッケントリードを打倒する事こそが自分達の成すべき事と、そう理解したが故の発言で。
数瞬の静寂、其の果てに口を開けたのは…………レーザーカジキだった。
「エルドランザさん…………、皆さんを助けましょう!!」
『なっ、妾の狙いは端からジークヴルム唯一つだぞ!其れを貴様も解っておろう!?』
「此処で皆さんを助ければ、エルドランザさんが海を統べる為に力を貸してくれるかも知れません!」
『レーザーカジキ……………』
「其れに、今のジークヴルムさんは高い所に居て降りて来てません。彼は英雄的な行いをした人や竜を『高く評価』するらしいので、もし此処でエルドランザさんが皆を助けたならば、ジークヴルムさんは貴女と戦う可能性を作り出せる…………筈です!」
プレイヤー達を通じ、レーザーカジキが至ったユニークシナリオの攻略法と、其れに応じた立ち回りの答えを前に、エルドランザは頭に乗っかった小さな魔術師を見上げ、暫し悩んだ後に彼女が出した答えは…………………
『………………配下のワガママを聞いてやるのも、覇者たらん者の務め。戦いが終わった後に、美味い魚を馳走せい!』
覇者となる為に、其の威光を泳げぬ虫達へと示す事だった。
「はいっ!皆さーん、戦いが終わったらお魚さんをエルドランザさんに納めて下さいとの事でーす!」
「解った、約束しよう!!皆、其れで良いか!!」
「「「「「「「「「おおおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」」」」」」」」」
一同が雄叫び気合を入れ直し、レーザーカジキの風属性攻撃魔法と、エルドランザが水流砲撃で隆起し山となった岩塊に風穴を開ける。傷だらけがブロッケントリードとぶつかり合い、爆炎と大地が揺れ動く中で遠き樹海より『無数に動く影』をエルドランザと、エルドランザの頭の上に乗っていたレーザーカジキが気付いて。
「白竜ブライレイニェゴ、緑竜ブロッケントリード!!貴方達は自然を、動物を破壊する存在……!であれば、私の拳で打ち砕くのみ!!!」
「ペッパー殿ぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!我等が英雄よ、ドゥーレッドハウル打倒の大恩を今返しに参った!!!」
「偉大ナル先祖ヨ!バグス・プライド二誓イテ、我等ノ戦イヲ御覧アレッ!!!」
「ブロッケントリード!同胞が世話になった借りを、返しに来たぞ!!」
「ブライレイニェゴ、我らから逃げ切れると思うな!貴様の首を断つは我ら巨人族! 英傑オディヌとドルダナの意思を受け継ぐ、我らオディヌ氏族が!此の
「同じく!
樹海より来たるは多種多様なる亜人と、其の者達と共に駆けて来たプレイヤー達、目的は異なれど竜の災禍に抗わんとする総勢四百五十名を越える大軍勢が、今此処に現着。
竜災大戦は更なる混沌の様相を呈し、そして輝ける英傑達は躍動する。
援軍来たれり