戦場に煌めく輝きよ
『ふははははは!見事、見事ッ!!凄まじき輝きよ、我が目を灼かんばかりの炎熱よ!我が目を眩まさんばかりの宝輝よ!我が魂を震わせし重厚なる一撃達よ!!はははははは、ははははははははははははははははははははは!!!』
星彩る大輪の月が浮かぶ夜空で黄金が、ジークヴルムが笑う。其の笑いは人を嘲り嗤う物では断じて無く、人の勇気と光輝を讃え、称賛する純粋な喜びからなる笑い声である。
『良いぞ、実に良い!英傑とは一つの炎にして諸人を惹き付け導く者だ!貴様等の火を導に、動き出しし英傑たらんとする者達の其の姿こそが、此の戦いに置いての何よりの証明ぞ!!ふはははははは、ふはははははははははははははは!!!』
ジークヴルムは英雄が、英傑が好きだ。其れは困難の中に置いても、絶望を知っても尚も立ち上がり、前を向いて進める者達であり、そして悠き嘗ての日に父親から聞かされた英雄譚が始まりだった。
『おぉ………人よ、英傑よ!汝等は何れ『
「でしたら其の胸、全力で御借りします!」
ノワルリンドの肉薄、空中に在る僅かな暗闇に乗じて
其の狙いは…………
「此処です!」
『ほぅ、我が『逆鱗』を狙う気か秋津茜よ!!』
そして彼女には今、心強い味方が居る。
「ノワルリンドさん!」
『死んねぇい!』
『ぐぬぉ!?ええぃ、小癪!』
『ごぁっ!?』
「ノワルリンドさんッ!」
秋津茜が観測手となり、ノワルリンドにジークヴルムの逆鱗の位置を報せる。金色の逆鱗に漆黒の爪が突き立てられるも、ジークヴルムの拳がノワルリンドの鳩尾に入り、立て続けに鞭の如く撓らせた尻尾で脇腹を叩いて体勢を崩す。
「魔法が駄目でもスキルで、スキルが駄目でも他の武器で!何度だって!」
シャンフロに置ける忍者とは魔法職、其れ故に今のジークヴルムが発動中の『
だが此の輝ける龍王には弱点が有り、此れを発動中はスキル無効化能力の『
何より秋津茜は『諦めない』、何度落とされようが絶対に辿り着く。其の途中で幾度と倒されようが、彼女は挑戦する事を『止めはしない』。
「行くよ、朱雀!」
『了解シマシタ』
「青龍、行ける?」
『御了解ッ!』
『ぐおっ!?』
「わわわぁああああああ……………っ、あれ?」
突如として背中に襲い掛かった二つの衝撃に、ジークヴルムが仰け反った反動で空中に放り出された秋津茜を、体勢を立て直したノワルリンドがキャッチする。
そして一匹の黒竜と一人の忍者少女の前に、赤い機巧の翼を持った炎を燃やす紅色の天使と、青い機巧の毛並みを靡かせる蒼の竜人の、二つの機人が並び立っていた。
「朱雀さんに青龍さん!」
『何だ此の羽虫達は!?』
「秋津茜、無事?」
「援護に来たけど大丈夫?秋津茜さん」
「ルストさん、モルドさん!ノワルリンドさん、御二人は味方です!」
片や熱波を放ち飛翔する
「秋津茜、ノワルリンド。私達二人で援護するから、ジークヴルムを地上に落として。其の方が色々やりやすくなる」
「其れから二人…………二人?えっと、リーダーのペッパーから言伝を預かってる。……………『ブロッケントリードかブライレイニェゴの何方かが発狂モードに入ったら、此方もギアを上げるのと
「ペッパーさんから?」
『何?』
ペッパーが言う切札、其れが一体何なのかは解らないが、状況を打開する為の一手を用いるらしい。其れを伝えたルストは朱雀の持つ火葬の刃・
「ボスらしくて良いけど、圏外で踏ん反り返ってる奴は嫌われる」
『クックックッ…………!成程、遠き日に『墓守の英雄』が用いたという四獣か。良い、良いぞ、全員纏めて掛かって来い!』
「自慢じゃないけど、今の私は…………私
『来いッ!』
キラリと光る赤と青、赤い鳥が夜空を飛び、青い龍は其の行く手を阻む壁を貫く槍と成る。
「ルスト、三秒後狙撃」
「了解」
『おぉぉ!』
要約と要点、其の僅かな言葉によるやり取り
雄々しき龍の爪牙を躱して、ネフホロで培い続けて血肉とした『高速空中殺法』でジークヴルムの殺意の嵐を掻い潜りつつ、赤い翼に炎を乗せて黄金覇龍の頭上に輝く『角』に連続で斬撃を入れながら、時折モルドによる空中疾走からの狙撃が入る。
「硬い、モルド」
「OK」
『ぬぅ、やりおる!貴様
「……………悪い気分じゃない。十分で叩き落とす」
「ルスト。ジークヴルムの魔法無効含めた能力は、多分全部『角』が関係してると見て間違い無い」
「解った。ノワルリンドが攻撃を叩き込める様に、此方で仕掛ける」
輝くエフェクトがジークヴルムの頭上に在る角より発されているのを見つつ、モルドとの軽い作戦会議を経て改めて動き出すルスト。そして其れに乗じて秋津茜とノワルリンドもまた、ジークヴルムを空中から地面に叩き落とすべく行動を開始したのであった…………。
強く、強く、眩しく