一方其の頃
AnimaliaとSF-Zooが連れて来た亜人種NPCの戦闘参加比率が白竜7:緑竜3の状況下の中で、傷だらけに加えて多数の有象無象を相手取ってダメージを受けど、未だに健在な緑竜ブロッケントリード。
多くのプレイヤーやNPCが削りに削れども、足裏から………正確には『木の根の様な茨の如き毛』からエネルギーを吸い上げて体力やマナを回復し、ステータスを強化するという所謂『耐久型のレイドボス』だ。
そして地面のマナを吸い上げて『砂漠化』を起こしたり、マナを地面に放出して『底無し沼からの硬質化で生き埋め』、地面を叩き上げて『大地を突き上げ吹き飛ばす』といった、高耐久かつ広範囲かつ大影響を与える厄介極まる相手だった。
『トットリィィイイイ!!!』
「カローシスさん、流石にブロッケントリードタフ過ぎませんか!?」
「コレ本当に倒せるんですかね?!」
「ぶっつけ本番で耐久相手の攻略戦…………良いね滾ってきた!レーザーカジキ君、エルドランザ!ブロッケントリードの背中に在る植物やら岩やらを吹き飛ばしてくれ!アレが奴の
「はい!エルドランザさんッ!」
『レーザーカジキよ、援護せい!』
久方振りの強敵にカローシスUQは笑顔を浮かべつつも、魔法剣士系列最上位職業:
だが其れ以上に相手の再生力の方が速い、スカルアヅチのバフを受けども魔法はプレイヤーやNPCが持つMPに依存する上に、相手が回復して此方は回復出来ないという状況と、傷だらけとエルドランザの援護有りながら二体の竜・プレイヤー・NPCの数百人を相手取って、未だに『致命傷の一つも与えられない状態』が何より厄介なのだ。
「エルドランザさん。僕は
『……………貴様、
「はい。まだ『とっておき』は残してありますから」
レーザーカジキはエルドランザと共に戦場に現れて以降、青い竜を思わせる装備と龍頭に刃が付いた長杖の様な長銃で、エルドランザのレベリングに付き合った報酬として貰った素材をビィラックに持ち込んで密かに作っていた物。
正式名称『
白竜が繰り出す子竜や緑竜の茨触手に、戦闘開始から此処まで『火→水→風→土の属性順にクリティカルを出し続けて来た事』で、ある能力を繰り出す為の条件を『クリアした段階』まで至ったのが大きく、此の戦局に風穴を穿つ一手を打ち込まんとしているのだ。
『………………で有るなら、妾もまた動くとしよう。レーザーカジキよ、準備せい』
「はい!精一杯やらせていただきます…………あ、姉さ、じゃなくてAnimaliaさんにオイカッツォさん!」
「久方振りね、レーザーカジキさん。貴方も目を離したら随分凄い事をしてたのね…………」
「此れがエルドランザなのか…………」
頭を地に下ろし、エルドランザの頭からレーザーカジキが降り立ち。錫杖の柄尻を地面に刺せば、此方に自分の姉たるAnimaliaとSF-Zooのメンバー、オイカッツォとアージェンアウルを中心とした他プレイヤーが走って来るのが見えた。
『何じゃ其の虫等は?』
「エルドランザさん。僕の姉のAnimaliaさんと、同じクランのオイカッツォさんです!」
「よろしく。貴方がレーザーカジキさんと手を組んでるエルドランザで、私達の味方……………で良いのね?」
『妾と此奴を邪魔せんならば、我が牙を向けはせんわ』
「OK、其れだけ聞ければ充分だ」
「SF-Zoo、他プレイヤーからブロッケントリードの情報は聞いたわね!奴のマナ吸収を阻害しに掛かるわ!」
「「「「「「ラジャー!!!」」」」」」
「園長、エルドランザのスクショ撮って良いっすかー!」
「後で全員と共有するなら許可するッッッッッッ!」
「ヨッシャアアアアアア!!!」
動物相手に捕縛を行うデバフ部隊・デバフやタンクを補助するバッファー部隊・後衛職を補助して守り抜くタンク五人衆に、新しく動物と触れ合う名目で構築したAnimalia含む『デバフばら撒くモンク部隊』の四部隊に変化した、動物狂いの動物園軍団が雄叫びて動き出さんとした直後。
ブロッケントリードに当たっていた全てのプレイヤー達に、システムウィンドウによって白竜ブライレイニェゴの『現在の状態』が報告される事になったのである。
『白竜ブライレイニェゴの肉体が、生命の危機に裏返る』
『
「何だこれ!?」
「発狂モードか?!」
「ブライレイニェゴが追い詰められてるのか…………!」
「エルドランザさん!ブライレイニェゴが災害状態になったらしいのですけど、何か知りませんか!」
他のプレイヤーでは外方やら向かれると考え、レーザーカジキが率先して聞きに行けば、好感度からかエルドランザは随分と素直に答えた。
『災害状態………気狂いめ、追い詰められて『奥義』を使いよったか。俗に言う『奥の手』じゃな、其れを使うとは奴は『後先考えんくなった』とも取れるの』
「成程、後一息って事ですね………!」
災害状態が色竜の奥の手と知っているAnimaliaとSF-Zooのタンク五人衆、そしてオイカッツォは兎も角として、其れを知らない者達からすればエルドランザやブロッケントリード、更にはノワルリンドにも同様の技が有ると理解するには充分な情報。
今の時点でさえタフな上にリジェネ搭載という状況に、一部のプレイヤーが『コイツ本当に倒せるのか?』という、一種の敗北的な疑問を抱いてしまい、其れは結果的にモチベーションの低下や戦う意欲を削ぐ事に他ならず、白竜の方面に戦力の更なる流出を齎しかねない事態であった。
「…………………ん?何だアレ?」
そんな中、オイカッツォが夜空に昇る一筋の光を見た。
其れは黄金の輝きを宿して、天へと高く昇り。
八つの輝く翼を広げ、其の威光を示すが如く。
己という存在を、世界に知ら示さんとする雄叫びが戦場へと轟いた。
「うぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぁぁあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
プレイヤーは、NPCは、竜達は、生きとし生きる全ての命達は、其れを見て。
其の声の主がペッパーである事を理解した者達、そして彼が身に纏う
果てに全プレイヤーが口に出したのは『『『『『ペッパーさぁ……………』』』』』という、共通の言葉であったのだった。
轟く咆哮