加熱する戦い
天覇のジークヴルムと黒竜ノワルリンドが地上にバトルフィールドを移し、数多くのプレイヤーや亜人種NPCが相対していた其の頃。緑竜ブロッケントリードと戦っていた者達は、先程以上の大苦戦を強いられていた。
『ゴォォおおオオオオオオァアアアアアア!!!潰す、潰す!絶対に潰すぅぅう!!!トットリィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!』
「マジ何なんだよブロッケントリードぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!」
「マジでヤバイってコレー!?」
「わぁあああ??!」
「アレ何!!?戦艦か何か!!?」
「フルバーストだぁぁぁアアア!?!」
ディープスローターの持つ
完全凍結によって緑竜も此れで何とかなると思ったプレイヤー達を裏切り嗤う様に、ブロッケントリードが凍結を内側からブチ破って復帰し。システムウインドウによって突入した
此の輪廻独裁は自身を中心として、半径5kmの範囲内に存在する『全ての緑の色竜因子に汚染された個体』から体力と魔力を一斉に徴収して自身に加算し、其の徴収分を糧とした『スーパーアーマーやリジェネに成長や活性へ転換する』という、唯でさえリジェネをデフォルトで搭載するブロッケントリードを、更に厄介にさせる状態で。
そして此れは当然ながらプレイヤーやNPCにモンスターにも適用され、活性化の影響で背中に残されている植物達が『超異常活性化』し、其処から蔦をビームの如く伸ばして貫き、木の葉をカッターとして飛ばす姿は、さながら全砲門と機銃を一斉に乱射する戦艦に似ていたのだ。
「
「御覧の通り、未だピンピンしてるよカローシスさん!とはいえ、流石にダメージ負い過ぎててヤバいかも!」
「傷だらけにはまだ『奥の手』が有る!奴のダメージエフェクトが『黒に変色したら』、僕達も一気に畳み掛けるっ!」
其の視線の先には、木の葉の斬撃や木の根による刺突に晒されども、緑の波濤を真正面からブチ抜き肉薄してブロッケントリードに噛み付く、ボロボロの姿のドラクルス・ディノサーベラス"
自らの身体を水と化して、ディープスローターが凍らせたフィールドの冷気を吸い込んでレーザーカジキの風魔法と、ディープスローターの雷魔法に乗せて放つ、色竜の一体たる青竜エルドランザとバフを掛けるSF-Zooや午後十字軍のメンバー達の姿が在った。
何より傷だらけにボコボコにされ、そして其の奥の手を知っているからこそ、カローシスは落ち着きつつ指示を飛ばす。
「傷だらけは追い込まれると、傷から出るエフェクトが黒に変わる!おそらくダメージに起因した物だけど、其の状態になってからのコイツは『滅茶苦茶強くなった』!おそらく追い込まれれば追い込まれる程、傷だらけは更に強くなっていく特性を持ってる!!ポーション回復援護は控えめに、自分達の回復にリソースを回してくれ!!」
『『『ゴルアアアアアアアア!!!』』』
『五月蝿いぞ、此の竜風情がぁあああアアアアアアアアア!!!』
「ふぉぉお!?!」
巨大な木の葉が飛び、木の根が暴れて乱れ狂う。カローシスは伸びた根を避けれど、傷だらけや他プレイヤーに亜人種達は殴られ、エルドランザも少なからずダメージを受ける。
『こんの、良い加減に…………くたばらんか老いぼれぇ!!』
『ぐぬぉぉおおッッッ!?!』
エルドランザが海岸線に近い海水を集めて身体に取り込み、口より放った激流砲撃がブロッケントリードに直撃する。巨大かつ鈍重なブロッケントリードは此れを避けられず、傷口に塩をブチ込まれた痛みに表情を歪めながらも、後ろ足で身体を支え起こし。
『
『ぐぉあ!?』
「エルドランザさん!」
『気にするな!妾とて、そう容易くは沈まんわッ!!』
『ぐぬぁ!…………ごの、高慢ちきガボボボボ!?!』
ブロッケントリードが前両足で地面を叩き付け、隆起した大地がプレイヤーや亜人種NPCに傷だらけとエルドランザを吹き飛ばす。
背中から地面に叩き付けられる者、海へと吹っ飛ばされる者、爆風に転がされて土ペロさせられる者と分かれながらも、エルドランザは転がされながらも体勢を立て直すや再び激流砲撃をブロッケントリードの顔面目掛けて集中放水を行い。
そんな状況の中で、此れ迄ダメージを負いに負い続けて来た傷だらけ、其の身体から吹き出すダメージエフェクトの数々が、傷だらけが満身創痍に近しい事を告げながらも、其の赤いエフェクトが数拍を置いて『真っ黒へと変色』し。
『『『ゴロォオァアアアアアアアア!!!』』』
『ぐぉあぁあアアアアアアア!!?!ま、前足を、儂の前足をよくもぉオオオオオオ!!?』
三ツ首の亜竜が吠え、己の身体に刻まれた傷を誇示し、力とし、そして最後に勝つのは自分だと、一挙一動で周囲を激震させながら突撃し、三つの顎でブロッケントリードの右前足に噛み付きて、力任せに引き千切ったのだ。
「今だ、いけいけいけーーーーーーー!!!」
「押し込め、此処が正念場だッッッ!!!」
「うぉおおおおおおおおおおおお!!!」
傷だらけの噛み千切りによって、漸く見えた一筋の勝機の光。此処で決める、決めて見せると、プレイヤー達に亜人種NPC達も、持ち得る最大火力を残されたスキルに魔力から搾り出して、一撃一撃に込めて叩き込む。
『ぐぉああああ…………!こんの…………、儂はまだ終われん!………終われぬのだッ!!』
「な、逃走!?」
「ヤベーぞ、逃げられる!!」
片足を失えど、自分に傷を負わせたトットリ・ザ・シマーネを殺せねど、自らの生存を優先して逃走という答えを選択したブロッケントリードが、脇目も振らずに失った片足を再生させて一目散に戦場を離脱せんとして。
『いいや、貴様は此処で終わりじゃ老害よ!!!』
「僕達が、勝ちますッッッ!!!」
其処で響くは半身を水化したエルドランザの頭に乗って、其の手に
「
引金は引かれ、レーザーカジキに絶大極まる衝撃が伸し掛かる中、戴瀑武の銃口から放たれた一発の弾丸。
透視化スキルによって目視したブロッケントリードの体内構造に存在する、竜の心臓部と思わしき『丸い核』に飛距離と弾速を乗せし、貫通力に特化した魔法カテゴリーで水属性の【ハイドロ・ブラスター】が付与された『回転弾』が戦場を貫いて。
『ごぶ、ぉあ…………!?』
ブロッケントリードの背より体内を撃ち、色竜が共通して持つ急所たる核の『一部』を貫いた事で、逃走せんとしたブロッケントリードの四肢と巨体が震え、口からダメージエフェクトを零しながらに倒れ……………
『─────────ぐ………ぬぁ!』
「ッ!」
『ちぃッ、仕留められとらん!』
無かった。限界一歩手前で踏み止まって、再び逃げんとしたブロッケントリード。しかし其の逃走劇を前に、立ち塞がった者が居た。
「オオオオオオオオオオオオオオオッッッ!」
『なっ!?』
オイカッツォだった。
決戦フェーズ開始前、ペッパーから渡された特殊戦術機竜ドラゴメンと専用のパワードスーツを其の身に纏い、ブロッケントリードとの戦いでも前衛職ながら茨触手を掻い潜ってダメージを与えていた
パワードスーツの解除と共に両手には赤黒い籠手を装着し、既に右拳は拳気の輝きが灯りて『七色の炎を燃やしており』。
「赤に青、黄色に緑、紫合わせて光と闇、此処に示すは虹の
今の自分が出せる『最高火力』、ドラゴメンのブーストを乗せて空を駆け、インナー姿になりながらも羞恥心を此の刹那は拭い払って、ブロッケントリードの眉間に七色のオーラが渦巻きし拳が直撃する。
「…………が…………ぁあっ………─────────』
駄目押しの一発と、追加の爆発に衝撃。もたついた身体が地面に倒れて、長く生きた緑の老竜は軈てピクリとも動かくなり。
『現時刻を持ちまして、『緑竜ブロッケントリード』の討伐を確認致しました。ラストアタッカーは『オイカッツォ』様です』
ブロッケントリード撃破のアナウンスが、ユニークシナリオに参加した全ての生命達へと轟き、響き報せたのであった。
緑竜、落つ