報せは響く
『クハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!フハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!おぉ、見事!見事!見事ッ!貴様等は白竜だけで無く、緑竜をも討ち果たしてみせたか!フハハハ、フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!』
幾百のプレイヤーに亜人種NPCの怒濤の攻撃を放ち、ジークヴルムが晒される中で響いた緑竜ブロッケントリードの撃破アナウンス。
最も長く生きて座を守っていた緑竜、地面よりマナを吸い上げ、己が腹を満たせる様に樹海の環境を作り変えてきた老竜が、
『素晴らしい、実に素晴らしい!貴様等は我の『想定以上』の強さを得た!其の身に力を付けて来た!例え誰かが切り拓きし道であっても、己の頭で思考し、行動し、そして導き出した『答え』は、こうして今の『証明』に至らせた!フハハハハハハハハハハハハハハハ!!!』
『死んねぇい!』
『おおおおおお!?!良い、良いぞ、ノワルリンド!貴様も全身全霊で挑め!開拓者よ!亜人種達よ!貴様等が持ちし光輝、其の眩く輝かしき答えを我に……………否─────────
『グオォオオ!?!』
ノワルリンドのタックルを受け止め、ジークヴルムが反撃のラリアットを叩き込んでダウンを取る。其の隙間を縫ってスキル無効の『
「頭を狙え!」
「角に届かないんだけどー!?」
「やっぱ高い位置に有るから、攻撃が当たりにくい…………!」
『クハハハハハ!そう簡単に角は取らせてやらんよ!!『
「魔法が消えた!?」
「スキル組頼んだ!」
「タンク動くぞ、ジークヴルムを押し込めーーーーー!」
「ドラゴンライドじゃああぁあああ!!」
『させんわ!』
スキル無効から魔法無効に切り替わり、マジックアタッカー組からスキルアタッカー組へとバトンが繋がる。背に乗らんとした者に戦術機から飛び降りて来た者と多々居たが、ジークヴルムの四翼の羽搏きによって吹っ飛ばされた。
「おりゃさぁッ!!」
『むっ、ペッパー・
「油断大敵、ですよっ!」
龍王を模した鎧を纏って空中を駆け、二つの宝玉を納めた聖剣と深海の王の素材のみで神匠が作りし剣刃が、黄金覇龍の頭部に輝く角に叩き付け。
其の勢いのまま吹っ飛びつつも剣刃は開きて弩弓となり、雲の指先に乗って弦と共に引き絞られた、水晶蠍の甲殻を用いて産まれし矢が射放たれ、角とぶつかり弾かれる。
(ディトライヴブレイカーでノワルリンドにはリジェネ効果を与えたが、やっぱりジークヴルムとの戦闘での消耗が激しい。流石に此のままだと持たない可能性が高い、そろそろ『秘策』が発動しても良いんだが…………!)
そんな中、ペッパーはジークヴルムの口に強力で暴力的な、凄まじいまでの『熱量が収束している事』に気付いた。そして其れは目の前にて得物を持ち振るう、プレイヤーや亜人種達を狙っており。
『では此処からは、我も…………俺も
「ヤベーぞ、ジークヴルムのブレスが来る?!」
「口だ、口を狙え!」
「撃たせるなーーーーー!!?」
プレイヤーが、NPCが、持ち得る技や武器で何とか阻止せんとするも、其の程度ではジークヴルムは止まらず。
「させ、ないッッッッッッ!!」
『ッ!?
「モモちゃん!」
「本名で呼ぶな、全く!」
『ぐぬぉ!?』
技能によって虚空を見上げた刹那を突き、ジークヴルムの逆鱗目掛けて黄金の槍と剣の鋒が喰らい付く。聖槍カレドヴルッフと聖剣エクスカリバー、其の担い手たるペンシルゴンとサイガ-100が特殊戦術機竜ドラゴメンとパワードスーツを合体して、残存エネルギーを全賭けしたブーストで逆鱗にダメージを与えた。
片や装甲貫通、片や逆境下の食い縛りの権化、共に星の願いより産まれし結晶たる勇者の武器が、神代の人造龍に傷を刻んで其のまま離れつつ着地から、其々で装備を切り替える。
二人の勇者達が纏いし其れは、ペッパー・天津気がシャンフロの
出来上がったゴルディーア・ストリングとゴルディーア・ヴェールを用いて、
「うーん………コレ、清々しいまでにキンキラキンだね?サイガ-100ちゃん」
「うぅ、目立つ上に恥ずかしい…………!だが性能が性能だけに、外せないジレンマを抱える…………!」
此の女性用一式装備のゴルドステラ・ドレスシリーズの能力は、男性用一式装備のゴルドステラ・スーツシリーズと共通しており、一部位毎に斬撃攻撃への耐性以外にMPのリジェネ効果+一式全てを装備していれば約五分、更に月光が出ているなら約一分程度で純魔法職プレイヤーのMPをMAXにする程のリジェネ速度を誇る。
特に剣聖勇者であるサイガ-100にとってMPの供給手段の獲得は、夜襲のリュカオーンとの戦いを見据える観点からしても必要であり、普段慣れないドレスかつウェディングドレスという形状による恥ずかしさやらを許容したなら、此程凄まじい性能の装備は滅多に御目に掛かれぬ逸品だった。
「よく似合ってるよ二人共ー!因みに其れ売ったら、加工費諸々含めて『一着で三億半マーニは確実に超える』からー!」
「「「「「「「「「「「「「「たっっっっっか!?!?」」」」」」」」」」」」」」
サラッと総額を述べながらにジークヴルムのヘイトを買いに行ったペッパーによって、ペンシルゴンにサイガ-100含めたプレイヤーが声を上げた。ある者は驚愕、ある者は驚嘆、ある者は絶句、ある者は関心を、そして大多数の者達が『ペッパーさぁ………』と言葉を溢す。
誰よりも高く飛び、誰よりも長く空に留まれるペッパーは、夜空を泳いで来る『一隻の船』を目視していた。
見間違いで無ければアレは、サンラクが黄金の天秤商会に依頼して造ったクラン:旅狼の動く拠点『魔導推進征海船ブリュバス』であり、地上ではサンラク・サイナ・ジョゼット・イムロンに守られながら慈愛の聖女イリステラが此方に向かって来ているのが見え、事態が動き出すと予感を抱かせるに充分で。
『宣戦布告が受理されました!!』
『装骨天守スカルアヅチvs一夜城サソリスノマタ』
『此れより対城戦を開始します!!』
『対城戦!』
『勝利条件1:相手建造物のリソース値を削りきる』
『勝利条件2:相手建造物の所有者が降参する』
『勝利条件3:相手建造物の所有者を撃破する』
『装骨天守スカルアヅチ城主:餡ジュ』
『一夜城サソリスノマタ城主:アヴァランチ』
『両城主と同クラン及び同パーティのプレイヤーは相手勢力からのキルによる通常のPKペナルティが免除されます』
『いざ尋常に………勝負!!!』
「よし来たァッッッ!!!」
裏側に伏せていたカードを捲り開いて表に返す様に。
対スカルアヅチの為に行った地獄巡りの成果を示す様に。
此の一件は確実に禍根を残すと確信する様に。
ペッパーはそう叫んだのであった…………。
秘策起動