VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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其のシステムは




龍よ!人よ!生命達よ! 〜其の二十三〜

対城戦というシステムがシャングリラ・フロンティアに有る。

 

プレイヤーやNPCが建築した二つの建物を拠点とし、其の城の持ち主が相手方へ『宣戦布告』を行い、受理される事で開始される特殊な戦闘方法の一つとしてプレイヤーの間で、少なからず知られているシステムだ。

 

似た様な物としてプレイヤーが習得可能な魔法の一つに【闘儀結界(デュエルゾーン)】が存在し、今でこそ数は減って習得者も一握りとなったが、サービス開始初期の魔法職PKerは此の魔法で対戦相手を閉じ込め、内から外の外から内に対する干渉は不可能なドーム状のフィールドで戦ったのだという。

 

対城戦の場合は通常のPKによるカルマ値上昇やPKerの烙印付与と言った諸々のデメリットを回避出来る…………のだが、此の対城戦の最大問題点が相手の建てた建物と、此方が建てた建物のリソース値が『ほぼ同等である』という、一番厄介な事柄が有る。

 

何せ相手が建てた建物と同水準のリソースを要求する、其の建物を見られてはいけない、何より素早く手早く建てながらもリソース勝負で互角にならねばならない……………そう言った理由が在って対城戦は『あまり流行らなかった』。

 

 

 

……………()()、だがである。そんな流行らない事柄であっても、一部のプレイヤーやクランは。特にクラン:ライブラリは此の対城戦の事を此迄調べてきた、其の一部のプレイヤー達であり。

 

そんなライブラリの『検証』と称して、対城戦で『リソース値で同等であるならば規模に数倍ほどのハンデを背負っていても宣戦布告は可能であるのか?』という疑問を解き明かすべく、ライブラリに属する大工職プレイヤー達と。

 

ライブラリの心躍る情報を齎すプレイヤー達の協力を得て、装骨天守スカルアヅチの領域境界線ギリギリの場所に建てられたのが、検証用建築物『一夜城サソリスノマタ』である。

 

装骨天守スカルアヅチは既にノワルリンド討伐派に紛れ込ませたスパイや、イリステラの身の回りを守っていた聖盾輝士団にジョゼットの情報によれば、其のリソース総量は数万か下手すれば十万に届く規格外という事実が有り、如何にしてリソースを同等にするかの方法を思考し。

 

最終的に『じゃあ壁とか床を貼るみたく水晶巣崖のレア宝石や蠍達の素材、宝石塔や其処から採掘出来るレアアイテムを大量に使いまくって、スカルアヅチの持ってるリソース値に届くレベルまで稼げば良いんじゃね?』という、あまりに狂気ながら最も冴えた方法が提案・可決され。

 

そしてペッパーとサンラクはレベリングや技術習得と並行して旧大陸の水晶巣崖(すいしょうそうがい)と、新大陸のシグモニア前線渓谷(フロントライン)の輝ける冠塔丘を幾多に渡って周回し、互いに『其々の地域で各二十五回』の戦いを越えた果てに手にした素材達を、検証班の面々に渡したのであった。

 

サソリスノマタに攻撃機能は無い。サソリスノマタに防衛機能は『ほぼ無い』。そしてスカルアヅチとサソリスノマタの双方に離れた距離は、僅か『徒歩一分程度の距離』に在る。

 

だがサソリスノマタには現実世界でサバゲーをこそ好み、シャンフロの銃火器を待望し続け、そして其の願いをペッパー達が叶えた事で恩を返すべく結成された、SHANGRI-LA FRONTIER GUN FIGHT ARMY's…………通称『S·F·G·F·A』のメンバー達に、元阿修羅会で第四位かつ最近PKerを卒業した京極(キョウアルティメット)が居る。

 

「宣戦布告受理確認!全員スカルアヅチに突入後に、場内の敵陣営を制圧するぞ!」

『此方ブルータス小隊(チーム)、了解した!』

『ペルネード小隊(チーム)、何時でも良いよ』

『ダイニエス小隊(チーム)、準備万端であります!』

『トライワン小隊(チーム)、いけます』

『京極、敵陣斬り込み&城主の首取りまーす』

「では…………スカルアヅチ制圧戦開始!十分で決着を付け、スカルアヅチのバフをジークヴルム戦のプレイヤー達に回す!皆の健闘を祈る!!」

『『『『『『了解(ラジャ)ッッッ!!』』』』』』

 

S·F·G·F·Aの代表者にしてウェポニアのサブリーダー、サソリスノマタ陣営の主として準備したアヴァランチによる、ベヒーモスやリヴァイアサンで獲得した無線通信による号令を受け、戦闘参加者全員に通達が行われて。

 

既にスカルアヅチ周辺にて『潜んでいた』S·F·G·F·Aメンバーや後陣合流した京極は、一斉にスカルアヅチの窓や扉を蹴り破って場内へ潜入から、雪崩の如き力強さ・軍隊蟻じみた統率・圧倒的場数を踏んだ経験値の、三本柱に支えられた精鋭達の制圧戦は開始されたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は!?対城戦?!」

「此方一切聞いてないんだけど!!?」

「何が起きた!?」

 

スカルアヅチに宣戦布告が受理されたシステムウインドウによって、防衛として残ったノワルリンド討伐派のプレイヤー達は大混乱に陥っていた。其れこそ身に覚えも無ければ、心当たりの一つさえも無い、まるで冤罪を吹っ掛けられた事に等しいのだから。

 

「うぅううう〜………事故なんだ、事故なんだよ〜……。流れ作業で拒否ってたら、間違って『押しミス』しちゃったのよ〜……」

 

笑みリアから此のスカルアヅチを任され、制御担当をしていた餡ジュはシステムウインドウに混じっていた『宣戦布告の承認画面』をNoボタンを押していたのだが、他のウインドウに重なる様にして『二十五回目の承認画面が割り込んだ』事で、間違ってYesボタンをタッチしてしまったのに気付いた時には、もう時既に遅しだった。

 

対城戦のシステムを調べた結果、此れに敗北する事は即ちスカルアヅチのバフを止められる事に等しく。何より不味いのはアヴァランチというプレイヤーは、S·F·G·F·Aなるクラン:旅狼(ヴォルフガング)のフォロワーかつ、シャンフロ銃火器集団の代表者の名前であり。

 

「ぐぁああ!?」

「敵襲〜!?敵襲〜!?」

「うわぁあああああ!?!」

「やべぇ、やべぇコレ!?」

「何が有ったの!?」

 

城内に響く自陣営のプレイヤー達の悲鳴を聞き付け、天守閣で制御をしていた餡ジュが声を上げ、大慌てでやって来たプレイヤーの一人によって状況を報告しに来た事で、漸く自分達の立ち位置を知ったのだ。

 

「S·F·G·F·Aと京極が、スカルアヅチの窓やらから侵入して各エリアを制圧してる?!もう時期に此方にも雪崩込んで来るよ!?!」

「京極、京極…………えっ、あの京極?!PKerだった!?」

「僕を呼んだかな?」

「がっ………──────」

 

一声…………報告に来たプレイヤーの胸に刀が刺さり、傷口から赤いポリゴンが吹き出して、一輪の花が咲く。

 

其のまま袈裟斬り一閃によって自軍プレイヤーが倒れて消え、餡ジュの前に現れた京極は『ジークヴルムに似たパワードスーツを纏った姿』をしていた。

 

「え………、っ、ジーク……ヴルム………?!」

「あ、やっぱり『そういう反応』するよね」

 

器用に頭部のマスク部分が開き、京極が顔を見せた事で餡ジュは目を見開く。そしてジークヴルムを模した様な其のパワードスーツから、肩に羽織を付けた着物姿に着替え直して刀を手に取り、鞘から抜刀して宣言する。

 

「さてと、だ。今から君を斬り倒して、此のスカルアヅチのバフをジークヴルム討伐派の皆に渡すよ」

「……………スカルアヅチは渡さない!」

 

城を動かす風水導師と、人斬りの異名を持ちし狐の獣人に改宗せし剣士が相対し、各々の得物を其の手に天守閣にて激突する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「対城戦………成程確かに、スカルアヅチを直接叩いてノワルリンド討伐派へのバフを、ジークヴルム討伐派へのバフに切り替える………。…………おそらく()()()()ならば、更なる『手段』も考えていそうですね」

 

笑みリア自身も対城戦というシステムを用いた想定外の、アヴァランチの名前からS·F·G·F·Aの関与もほぼ確定という一手による、イニシアティブの更なる掌握……………スカルアヅチの全権を押し付けてきた風水導師の親友に悪い事をしたと、後でどう謝罪するかと考える笑みリアは数拍置いて、己の思考を切り替える。

 

(てん)首領(ドン)さん。御協力、本当にありがとうございます」

「構わないよ。オレは寧ろこういう『ゲバゲバ』した構図が好きで、どっちが『正しい』かってのを決めるなら、やっぱ敵が居なきゃ始まらないしな!」

 

天首領と彼のクランメンバー、そして笑みリアと志を同じくした者達が頷き、同意の意思を示す。

 

決戦フェーズの前、其れもペッパーがプレイヤー達を連れてスカルアヅチに突撃して来る前に、天首領は笑みリアに『ノワルリンドを狙ったらペナルティなんて道理も無い』と言葉を送っていた。

 

自分の目標を成し遂げる為の道が在り、其の前にシャンフロプレイヤーの大多数、其れも話題を産み出し掻っ攫うプレイヤーと其のフォロワー達が立ち塞がろうとも。

 

自分の意思を、やりたい事を、自らの信念を押し通す為ならば、邪魔する敵を押し退けてでも、其の果てにPKerの烙印を押されるリスクを負ってでも、前に突き進む事が必要なのだと。

 

「行きましょう、皆さん」

 

応ッ!と号令は飛び、ノワルリンドを討たんとする者達は前へ前へと進んで行く。

 

黄金の龍王と漆黒の竜、数多のプレイヤーと亜人種NPCの戦いは、新たな状況へと変わろうとしている…………。

 

 






暴れよ、バスターズ


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