進む者達
「因みに此方、割とノリと勢いで付いてきたんだけどさ。ジークヴルムを倒す方法って何か在るの、サンラクさん?」
「其れに関して、私も気になっていた。ライブラリが公開している情報では、ユニークモンスター・墓守のウェザエモンは『特殊勝利系』であったと…………」
ジークヴルムとノワルリンドの地上での激突に、飛び交う無数の小さな粒達と、二つの建造物による対城戦の開幕…………戦場が更に混沌を帯びる中、サンラク・サイナ・イムロン・ジョゼットが慈愛の聖女イリステラを護衛し、ヤシロバードとSOHO-ZONEがブリュバスを操縦する中、イムロンとジョゼットがサンラクに問い掛けてきた。
「まぁ、個人的な
「ほぅ?」
『耳寄りな情報』
近くに居るイムロンが、無線を通じてヤシロバードが聞き耳を立て。ジークヴルムのパワードスーツを纏いながら、月光を受けて光り輝く姿が遠くからでも見える彼を見つつ、サンラクはヴァイスアッシュから言われた事と、ペッパーがクラン:
「ジークヴルムは炉心………マナを産み出し、其のマナを『変質』させる事で、太古の始源連中相手に戦闘優位を構築した『人造のドラゴン』。まぁ詰まる所………、ジークヴルムは『倒せないタイプのユニークモンスター』でもある」
決戦フェーズへの準備期間中、ヴァイスアッシュやペッパーの話に、リヴァイアサン第五殻層『
マナ粒子
『用は生体兵器な感じ?』
『人造ドラゴン………か』
「…………話を聞く限り、其れが明らかになればジークヴルムを倒そうとする者は『激減』する、みたいに聞こえるわね」
「わた………コホン。俺等のモチベーションを『下げさせない』為に、敢えて黙っていたのか?」
「落ち着け、話はまだは終わってない。───────其の有識者曰く、ジークヴルムを活動停止させる方法は二つ在って、一つ目は
「捨て身、ふむ……………」
「其の言い方からして『最終形態』に思えるな」
『にしても、ジークヴルム側はまだ余裕みたいだけど』
『レイドボスタイプは此れで確定だろう』
此のユニークシナリオの攻略法は、ジークヴルムが戦場に現れて黄金の重力圏があらゆる生命達を巻き込み発動し、アージェンアウルが解いた答えで結論に至れた。
「詰まる所、ジークヴルムを追い込む為に必要なのは『ロールプレイ』、其れもヤツが求めて止まない『ヒロイックなロールプレイ』。英雄的な行動…………色竜を倒したりとか、新たなレコードホルダーの誕生、もしくは自分が傷を付けたプレイヤーや、交わした約束を果たしに来たプレイヤーが行動を起こし、要望に応えられた場合はテンションが大きく跳ね上がる」
「でさ。さっきからペッパーさんが空飛んでるアレ、ジークヴルムを模した鎧みたいだけど……………。ジョゼットさんは何か知ってる?」
「………………聖女様」
「大丈夫です、ジョゼット。話してあげて下さい」
「聖女様の御意向と有らば」
聖女を守護せし大いなる盾と、ロールプレイを継続したジョゼットが話す……………ペッパーが纏っているジークヴルムのパワードスーツこと、
(ペッパーはウェザエモンとの戦いの前時点で、ジークヴルムのパワードスーツを手に入れてたし、聖女ちゃんとのロールプレイでウェザエモンのパワードスーツの在処を探し出せた訳か…………。こりゃ確かにペンシルゴンやらカッツォ、京ティメットにバレてたら『色々面倒な事態』になってただろうしなぁ…………)
其の話を聞いたイムロンはあんぐりと口が開きっ放しになり、無線ながら聞いたヤシロバードとSOHO-ZONEも沈黙し、サンラクは墓守のウェザエモンに挑む為にヴァイスアッシュを説得した際、ペッパーがレディアント・ソルレイアの修繕依頼を彼にした記憶と繋いだ事で、漸く合点に至れたのだ。
そんな中、イリステラは綺麗な指先で戦場を…………ジークヴルムとノワルリンド、そしてペッパー達が戦っている戦場を指差しながら言う。
「私は、龍王に問いたい事が有って来ましたが……かの黒竜にも問いたい事が出来てしまいました。ジョゼット、其の間は私をジークヴルムから守ってくださいますか?」
「勿論。御命令と有らば、我が身擲つ覚悟は出来ています」
「サンラク様、イムロン様、サイナ様。…………そして空を征く方舟を操りし、ヤシロバード様とSOHO-ZONE様もよろしいでしょうか?」
「元よりジークヴルムを張り倒しに行くんだ、やる事に変わりはない」
「俺も同じだ」
「任務遂行内容に変更は有りません」
『右に同じく』
『任されました』
全会一致の賛同、野良パーティーで有ろうとも其処に『同じ目標を志している』ならば、阻む道理は何も無い。気焔万丈、此れより決戦の大舞台へと飛び込まん!
「ヨッシャ、ジークヴルムにカチコ「あ、御待ちをサンラク様」みゅ、って聖女様ァッ!!?」
気合入れてブチ噛まさんとしたサンラクだったが、イリステラに止められて盛大にズッコケて。ジョゼットとイムロンが笑いそうになるのを必死に堪え、サンラクはのっそりと立ち上がって彼女に向き直る。
「以前、私の願いを叶えてくださった『御礼』がまだでしたから。………戦いに身を投じる貴方に一助を、と」
「…………と、言いますと?」
「サンラク様の身体に付いた『其の傷』は、夜の帝王が強き想いと共に刻んだ物………。私
ユニークモンスターの呪い(通常状態)を消し去れる自分の事を、流石に卑下し過ぎでは無いかとサンラクが思っていれば、イリステラの視線が彼の身に刻まれたリュカオーンの
「───己が証明を隠す事を許さぬ夜襲の狼王、どうか今一刻だけ、かの戦士に鎧を纏う赦しを………【
「うぉっ!?」
事実改変なる言葉、同時にイリステラの指先からは『聖なる光』とはまた違う何かが放たれ、サンラクの身体を這って行く。そして優しく暖かい光は軈て収まり、リュカオーンの刻傷の上には『鎖を蔦で代用して花の紋様が幾多も付いた物』が覆い広がっていたのだ。
「此れより一刻の間、竜災が終わるまでの僅かな時間では有りますが、此の傷が齎す『影響を封じてあります』。ですが同時に、此の傷による『加護もまた封じざるを得ません』でしたが………」
「いいや、いいや、エクセレントだ。本当に凄く素晴らしい、ありがとう聖女様。御布施は何処に支払えば良い?」
刻傷の一時的な無効化、胴と脚の部位に装備を着けたとして『累計三分経過で爆砕』という現象が、ジークヴルムとの戦いが終結するまでは発動しなくなった事は、サンラクからすれば悲願中の悲願だった。
ともなれば、此処から自分がやるべき事は一つ。
「なら此方も、
インベントリアを操作、タンスの奥に眠っていた衣服を引っ張り出すが如く取りて纏うは、全体のカラーリングが金と黒曜と天ノ川のラインを敷いた様に出来た『服』の体を成しながらも、其の実は凡百の鎧や下手な防具よりも『強靭』!
一夜城サソリスノマタ製作の為の地獄じみた水晶巣崖の
更に水晶巣崖の中でもレア鉱物とされる『ラピステリア星晶体(一等星)』に『アムルシディアン・クォーツ』、シグモニア
そして
「何か凄い、というか…………スゴイとしか感想が出て来ない装備なんだけど…………?」
「レア鉱石に黄金のマグマやら使ったからな。多分売っ払ったら、総額十億は軽く超えるぞ」
「じゅう、おく…………!?」
ジョゼットが目を丸くして御自慢のロールプレイが崩れたのを見、上空を泳ぐブリュバスからSOHO-ZONEの視線が注がれ、最終的に仕上げ担当を担ったイムロンはと言えば、其れは其れは素晴らしい『ドヤ顔』をしていた。
金色のスーツ………もとい『黄金と黒に天ノ川のラインを宿した羽衣装束』は、今の戦闘時間やジークヴルムとの相対に相応しい姿とも言えるだろう。
─────────目立ち過ぎて既に、悪目立ち所の話じゃないのは御察しだが。
黄金は輝く
※至高思金シリーズの見た目は『モンスターハンターX』のアマツマガツチ一式装備(ガンナー)の『蒼天亜流』に、一式装備(剣士用)『荒天亜流【冠】』を加えて、全体のカラーリングを黄金色にインナーを黒曜色、ライン部分を天ノ川の紋様にした物になります。