唸る機装
「【
片や赤と青のラインが走りて黄金絢爛の仇討人の背丈に匹敵する奇妙な棒が、彼の者の言葉を以て赤と青の二つの色が混じって紫に転じ、斧刃を作りてハルバートと成す。
「【
片や大剣とも片手剣の融合ながらもどっち付かずの
二つの
機装を破損する程の破壊力を発揮する『
「「『
其々の機装を握る者達に、柄より『其れ』は流れ込む。
『片や自らに毒、片や自らにマナを…………?』
「物は使い様って奴さ。毒も酒も用量守って正しく使えば、毒物も薬になれるんだよ…………!」
「目には目を、歯には歯を、マナにはマナを………。とくと御覧有れ………です」
サンラクとペッパーはそう言うが、片や毒がゼリー状となって血管を通じて、異物が全身を流れ巡る感覚を味わい。片や体内から溢れたマナがパワードスーツの上より蒼炎の形で吹き出して、両腕には蒼い雷がバチバチと走るという、傍から見ても『普通じゃない状態に有る』のが現在の二人である。
「さぁてと、リアルとシステム、カフェインと毒を二重にキメて、此処で会うたが百年目!盲亀の浮木!泥率1%!いざ尋常に死んねぇい!!!」」
「貴方の角、此処で折ってみせる!」
『ぐぬぉ!?』
ペッパーがインベントリアより新しい何かを取り出す最中、駆け出したサンラクが一歩目で加速し、五歩で九メートルの距離を詰め切り、八歩で踏み込んでジークヴルムの太股に8-0.5より展開した紫の刃が斬り裂く。
直後にジークヴルムが身体を襲うは、斬られた箇所から体内に染み込み蝕む『毒の感覚』ながら、始源の連中達とはまた異なる強烈で『百足が体内を這い巡る』様な、気持ち悪い感覚だった。
百足式 8-0.5の超過機構…………其れは使用者の
そして此の決戦装束の
「最終的にお前の能力で毒『自体』は無効化されんだろうが、毒の削り自体は『効かねぇ訳じゃあねぇ』んだろ、ジークヴルム!!タクシードライバーっう分身能力らしい
『ぐ、うぉおお…………!!』
毒に蝕まれ、動きが鈍った所へ槍の穂先で突き、鉤で身体に引っ掛け、斧刃で叩っ斬ってサンラクが毒を立て続けにジークヴルムへブチ込んでいく。
其の刹那、引き絞られた弦より矢が放たれ飛翔する音と、同時に『雷光が迸って』眼前を過ぎ去る残光と、直後に角に強烈な衝撃が襲い掛かる感覚がジークヴルムを襲った。
『うぉお………?!』
「コレ、思った以上に『性能ガチガチ過ぎて』エグい…………。オマケにラピスさんが作った矢と、先生が産み出したRE:Vil∀=TAMが『ベストマッチ過ぎて』もっとヤバい…………!」
ジークヴルムの視線が向いた先、雑種剣が割れて長弓と言える全長まで開き伸びた弩弓剣と、空中で天地逆転状態ながら弦を引き絞って『黄金に輝く矢』を放ったペッパーが居り。其の矢は
『な、ぐぁ、ッ!?』
「此れぞ正しく『飛雷神』…………いや、流石にコレはガチ過ぎるし、色々とエグ過ぎるわ。自主規制しないと、色々歯止めが効かなくなる未来しか見えん………」
先程は弓であった其れは、今は元の剣へと戻り。水晶の刃による一閃が、ジークヴルムの角に刻まれてきた傷口へと更なるダメージを蓄積させる。
ペッパーが自分が手にした素材で、鍛冶師プレイヤーやNPCによる武器防具アイテム製作で性能比べを行った中、ラピスが
金晶蠍の矢には弓から放たれた場合、魔力による攻撃を引き寄せる効果を持ち、着弾地点に魔法攻撃の飛雷神を建てる事が可能な能力が搭載され、他の魔法攻撃に合わせて弓から放った場合は其の進路を変更させると言った、一種のトリックプレイも出来る。
また鯱弩燈剣 RE:Vil∀=TAMの超過機構:賦活醒は『使用から一定時間の間、使用者にMPリジェネ効果(極大)と特殊状態:マナ粒子化、更に体力を削らない
此のマナ粒子化は、MP回復超過によって漏れ出したマナによる一種の『オーバーフロー状態』であり、其の状態でMPを消費する事で其の数値に応じた時間『使用者を武器共々マナ粒子化させ』、敵からの攻撃を緊急回避に敵の背後や頭上を取って攻撃を叩き込むと言った、最早『無法』に近い技を繰り出せるのである。
即ちペッパーがジークヴルムに対してやった行動とは、鯱弩燈剣 RE:Vil∀=TAMの超過機構で付与された特殊状態中に金晶蠍の矢を射放ち、矢に搭載された魔力引き付け能力を使って粒子化による超高速移動攻撃という、一種の『ワープアタック』と断ずるべき物だった。
機装を使い熟すには、素材として使われた存在を識る事──────作り手たるヴァイスアッシュの言葉を受け、バハムート二番艦のリヴァイアサンとバハムート三番艦のベヒーモスにて、シャンフロの深海世界の三強で
其の正体は『生物』で有りながらも、其の実『精霊』の領域に限りなく近付き、体内で産み出された圧倒的なまでの余剰魔力を放出して、其の魔力に誘われたプランクトンや其のプランクトンを食べる為に来た魚達に捕食者達を産み出し、放出した魔力の炎と雷を用いて狩りをする事で、深海環境下での『自給自足を可能とする生態』を持っていると識ったのだ。
「ペッパーに惚けて余所見してるんじゃねーぞ、ジークヴルムァッ!!!」
「もう、いっ…………ぱぁつ!!」
『ぐぉお………お!!!』
脇腹を抉りながらにアスレチックを踏破でもするが如く、ジークヴルムの身体をハルバートを使って駆け上がるサンラクは、時折インベントリアをブラインドタッチで操作しつつ、百足式 8-0.5から
サンラクに負けじとペッパーも鯱弩燈剣 RE:Vil∀=TAMを振り翳し、剣と弓を切り替えては金晶蠍の矢を射放っては粒子化を挟んで、攻撃を加えに加えて加えたジークヴルムの角の一本へ集中攻撃を続ける。
「斬りっ裂き!射抜き…………ブチ、かまぁあああああああすッッッッッッッッッッ!」
『ぬぐぁ!?』
モーション強化と加速による大質量の一撃はより重みを増し、暴走的な出力からなる挙動を半ば無理矢理制御しては、金晶蠍の矢を空中回転と共にジークヴルムの角に出来た傷口を突き。
金龍王装の持ち得る全ブースターを噴かせ、力任せの梃子の原理を用いて傷口を更に開いた事で、金の矢は過剰な力を受けた事で捩じ曲がり、ジークヴルムの口からが思わず悲鳴が零れ。
「そい、ッ……………やぁアアアアアアアアアアアア!!!!」
『ガッ────────!?』
スキルを封殺されながらも食い込ませて曲げた矢を軸として、ブースターを噴かせた強引な進行と共に繰り出した鯱弩燈剣 RE:Vil∀=TAMの刃が、刻まれ開かれ蓄積し続けた角の傷口に入り。
クリティカルの感触共に刃が『左中央の角の芯』を捉え、其の勢いのままに『断ち切り』、最後には罪人を断頭する処刑人の如く斬り飛ばし、空中へと吹っ飛ばしたのだ。
「ッ…………、シャアアアアアアア!!!」
『……………おぉ、おぉ見事………!宣言通りに俺の角を折る事を成し遂げるか、ペッパー・
「約束は果たせた!でもまだ俺の、俺
「やれ、ヤシロバード!SOHO-ZONE!」
『ッ!ぬぅ………?!』
飛び離れるペッパーによって斬り裂かれた角が粒子となって、戦場へ溶けて消えて行く。
其れと入れ替わる様に夜空を駆けた『矢』が………空を泳ぐ魔導推進征海船ブリュバスから放たれた弩砲─────────『
更に此のタイミングで、ペッパーとサンラクが先んじて到達した此の場所へ、他のプレイヤーやNPC達が到着、頭部の角が三本となったジークヴルムに相対、同時に百足式 8-0.5によって齎された毒のダメージで、此迄の戦闘でダメージを負い続けたジークヴルムの体力が『半分を切った』事。
そしてプレイヤー達の質と量と、ユニークシナリオに置ける現在のB.I.G値の累計蓄積総量を判断したジークヴルムは、シャンフロの世界を産み出した神と、シャンフロをゲームとして成立させた神に、其の二柱を仲裁する神によって『封印されていた能力』の解禁を許され。
彼等彼女等ならば『耐えられる』と判断した事で、遂に其の能力を開示したのだ。
『………………クハハハハハハハハハ、ハーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!おぉ、人よ!竜よ!生命達よッ!!貴様等の放つ、眩く強き輝きに敬意を評し、俺もまた龍王たる力の一端を──────
そう笑い、高らかに叫んだジークヴルムの身体が輝き、より強く眩い黄金色に染まった其の刹那、プレイヤー達全員に『イベントシーンだ、黙って
黄金の光は龍王が嘗て、ヴァイスアッシュに自らの手で折った右上と、ペッパーに敬意を評して自らの手で折った左上と、そしてペッパーがやっとの思いで圧し折った左中央に角が在った場所に注ぎ込まれ。
一拍の隙すら与えずに
「なっ────!?」
「マジかテメェ!?!」
「「「「「「「「「「「嘘でしょ!?!?!」」」」」」」」」」」
『フハハハハハハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!さぁ抗え、そして示せ、お前達の輝きを!!!『
六本の角が輝き光り、炎雷を帯びるプラズマの様な其れは広がり、軈て形を成して『六体の分身達を構築』、プレイヤーやNPCを瞬く間に包囲する。
ジークヴルムが本体を含めて七体に増えた事で、他大多数のプレイヤーにNPCは圧倒的なまでの差が産み出された戦況を前にして、少なからず『恐怖』や『畏怖』に或いは『絶望』を覚え、そして悪夢では無い『現実』を叩き付けられて。
「──────諦めるな!」
「──────諦めません!」
「角を狙え!今の奴は、スキル無効と魔法無効の力を使えねぇ!!」
そして未だ瞳の内に闘志を燃やせし者……………ペッパーと
『決着!!』
『装骨天守スカルアヅチvs一夜城サソリスノマタ……勝者、一夜城サソリスノマタ!!』
『此れにより、装骨天守スカルアヅチの所有権が一定期間譲渡されます』
別の場所で今し方、一つの戦いに終止符が打たれたのだった。
ギミックボスがギミック部位再生
天覇のジークヴルムが持つ特殊行動の一つで、ペッパーが単身でジークヴルム相手に『善戦し過ぎた事』を加味し、創世・律・境の三人の最終確認の元にサーバー内に封印されていた其れを解禁した。
発動条件は『ジークヴルムの体力が半分を切り』、かつ『其の時点までにジークヴルムの角が累計三本以上損失している』を満たした場合に解禁され、ジークヴルムの損失した角が新しく生えるという、戦闘中一度のみ発動可能な『部位再生』。オマケに角を新しく生やす際に体力の消費は無い。
Q.つまり角の本数が元の数まで戻ると?
A.六本に戻ったので此処からフルパワーレーザーブレス、分身六体含めた計七体のフルボッコが襲い掛かるが、角獲得チャンスが大いに増えたよ!さぁ開拓者達よ頑張って圧し折ってみせい!という、魔王からの試練ってヤツです。
しかも創世ちゃんはジークヴルム実装前に此の能力は再生に加えて、再生した角の本数に応じた体力回復やステータスアップ等も盛り込んでたが、律ちゃんが『加減しろ莫迦!』とチョップを叩き込んでキャットファイトに発展し、境が胃薬服用で何とか止めたという此のユニバースの裏話が有ります。
あ、其れと此れでジークヴルムの特殊エンディングへの移行条件が満たされました(小声)(本邦初公開情報)(原作の真理書読んだ方なら解る筈)