勇姿に続け
空を舞う龍装の勇者が聖剣でジークヴルムの角を叩っ斬り、空を駆ける船の射手がジークヴルムの角を撃ち砕き、空を駆ける船の操者が操る刃翼の一閃がジークヴルムの片目を潰した。
否応無しに解る、今の自分のテンションは今迄の限界値を軽く突破していると。
「エムルァ!ディアレッ!アイトゥイルゥ!今有る最高火力をジークヴルムにブッパだ!レイさん、とっておき!サイナは武器回収!」
「は、い、なぁー!」
「任された!」
「了解、なのさ!!!」
「はいっ…………!」
「了解:」
嘗てリュカオーンの顎をカチ割ってブッ飛ばした時の事を思い出し、背中にヘドロじみたネチョい視線を受けつつも、サンラクは
「見えてんぞ、変態が!有りっ丈の魔力寄越せ!!【
「これがアタシのとっておき!【クラスター・マギストーム】ですわーっ!!」
「であれば、私も矜持を見せよう!【クォーツ・エレメンタイド】!!!」
「はい、さぁアアアア!!!」
「──────我が黒の半身を謳う」
動き出した兎達にプレイヤー、そして声が無くとも感じる魔力の胎動、木々の合間を縫いて到達する巨大な魔の大流が、サンラクを呑み込まんと迫り。しかして深海の王の鏡たる頭蓋の円盾双つは、其の魔の巨大な力を受け止めて、黄金の仇討人に更なる力を与えた。
インベントリアに盾を収納、落ちて来た百足式 8-0.5の柄を手の甲でトラップからの爪先でリフティングし、
漸く連接ゲージがMAXとなった
「──────夢見る先は深淵源、傲慢故に孤高たる黒き神…………」
『始源を纏い、我が前に立つ其の蛮勇は評価しよう………だがっ!』
「良いのか、ジークヴルム。今から俺は臨界を越えるぞ?」
兎達の渾身の攻撃に龍鱗が傷付けど、どうやら黄金覇龍は漆黒の竜や
眼中にすらないともなれば、奴に目に物見せてやるとばかりに、リフティングで上げたハルバートを右手に握って服毒、地面に穂先を刺したサンラクは覇濤棍を右に持ち直し、
「
其の言葉が轟いて、サンラクの身体は人が人の身で挑む臨界の速度へ身を晒した。
秋津茜とノワルリンドは最初、サンラクが転移魔法かスキルを使用したのかと思ったが、凄まじい勢いでジークヴルムへと伸びる『黄金の線』が見え、其の直後に『音が鳴った』のを知った。
一歩目の進行、封雷による
空いた拳で『御通し』とばかりに
ジークヴルムの本体と戦うルストとモルド、ジークヴルムの分身を相手に戦うエルドランザとレーザーカジキは、確かに其れを見た。
地上から空中へと伸び往く黄金の線…………否、黄金の弾丸とも言える『其れ』が突如として空中で跳ね返ったかと思っていれば、鋭角ターンを刻んで一秒すら満たさぬ速度で、『二度目の音が鳴ったのを』。
覇濤棍状態に入った艷碧を振るい抜けば、クリティカルの感覚と共にミシリ!という莫大な負荷が角へ掛かった音が、耳に置き去りにされていた。
ディープスローターは笑いが止まらない、止められなかった。あの戦況の中で自分を知覚し、剰え
やはり
百足式 8-0.5の超過機構:
だからこそ間に合う、というより間に合わせると、空中での回転による出力を制御しながらの三度目の疾走の中、線と化した世界の中で覇濤棍を振るい抜けば、再びクリティカルの感触が武器を通じて、サンラクの身体に伝わって来たのだ。
「玉座は唯一つ、
サイガ-0はサンラクを信じて詠唱を続ける中、思わず詠唱を間違え掛ける程の衝撃を。
サイナはサンラクが残した百足式 8-0.5を同期したインベントリアへ入れる中で、イクサはサイガ-0をジークヴルムから護衛する中、確かに『其れ』を見た。
其れは鮮烈なまでに黄金の閃と輝き、空に刻まれ描かれた残りし、強く記憶に焼き付く『光の星』であり─────────
だが此の武器が条件を満たす『一定以上の速度』というのが『二つの撃鉄を同時に使用する』か、或いは『臨界速を使う』レベルの速度で無くてはならず、失敗すれば盛大に自爆するリスクを背負う必要が有り、やるならば真界観測眼は絶対必須の其れは、
角を一撃で斬り飛ばす偉業を成して、戦場と舞い戻るペッパーはジークヴルムの周りにて煌めく、光の線を見た。其れは一秒にも満たぬ程に疾い『流星』ながらも、天の中心にて輝く『北極星』の如き、そんな光を。
臨界速の効果適用最終段の五歩目、覇濤棍によるクリティカルの感触、其の一撃一撃の重さ、毒とカフェインに爆上がったテンションの三本柱!
其処に合わせて全一との戦闘経験、そしてジークヴルムの角が欲しいという物欲エネルギーの五柱に支えられた、生存度外視の窮極超々々々々速機動の五芒星アタック特攻バージョン!
風と雷を其の身に纏い、星の光で駆けるは流星!渾身の力と回転を乗せて、刹那満たない時間の空隙を振るい穿つ!!!
「
プレイヤー達は見た。
NPC達は見た。
此の戦場に立ちし、全ての生命達は見た。
「ゔぉぜリゃ」
夜空に星を描き、ヘンテコな奇声を上げて吹っ飛んで行った、金色の粒を。
『なん………?!!!?!?』
明後日の方角へ飛んで行く黄金の粒を見て、
其の黄金の龍王が頭部に掲げた
そして戦場からジークヴルムの分身が、一体を残して霧散して消滅した瞬間を。
速度の矜持