VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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勇姿に続け




龍よ!人よ!生命達よ! 〜其の三十三〜

空を舞う龍装の勇者が聖剣でジークヴルムの角を叩っ斬り、空を駆ける船の射手がジークヴルムの角を撃ち砕き、空を駆ける船の操者が操る刃翼の一閃がジークヴルムの片目を潰した。

 

否応無しに解る、今の自分のテンションは今迄の限界値を軽く突破していると。

 

「エムルァ!ディアレッ!アイトゥイルゥ!今有る最高火力をジークヴルムにブッパだ!レイさん、とっておき!サイナは武器回収!」

「は、い、なぁー!」

「任された!」

「了解、なのさ!!!」

「はいっ…………!」

「了解:」

 

嘗てリュカオーンの顎をカチ割ってブッ飛ばした時の事を思い出し、背中にヘドロじみたネチョい視線を受けつつも、サンラクは百足式(ムカデシキ) 8-0.5(タウゼント)で齎された毒の強化で斧槍(ハルバート)を空へと高く放り投げ、両手に冥王の鏡盾(ディス・パテル)を握る。

 

「見えてんぞ、変態が!有りっ丈の魔力寄越せ!!【超過機構(イクシードチャージ)】──────吸転換(コンバート)!!!」

「これがアタシのとっておき!【クラスター・マギストーム】ですわーっ!!」

「であれば、私も矜持を見せよう!【クォーツ・エレメンタイド】!!!」

「はい、さぁアアアア!!!」

「──────我が黒の半身を謳う」

 

動き出した兎達にプレイヤー、そして声が無くとも感じる魔力の胎動、木々の合間を縫いて到達する巨大な魔の大流が、サンラクを呑み込まんと迫り。しかして深海の王の鏡たる頭蓋の円盾双つは、其の魔の巨大な力を受け止めて、黄金の仇討人に更なる力を与えた。

 

インベントリアに盾を収納、落ちて来た百足式 8-0.5の柄を手の甲でトラップからの爪先でリフティングし、封雷の撃鉄(レビントリガー)並びに封星の撃鉄(エイセイトリガー)を起動から、クリティカルを溜めに溜めて溜め続け。

 

漸く連接ゲージがMAXとなった象牙(ゾウゲ)兎月(トツキ)艷碧(あであお)】を取って柄頭同士を合わせれば、噴き出す蒼焔が鎖を作りて繋ぎ合わせ、艷碧本来の武器種:双節棍たる連接状態:覇濤棍(はどうこん)へ形を変える。

 

「──────夢見る先は深淵源、傲慢故に孤高たる黒き神…………」

『始源を纏い、我が前に立つ其の蛮勇は評価しよう………だがっ!』

「良いのか、ジークヴルム。今から俺は臨界を越えるぞ?」

 

兎達の渾身の攻撃に龍鱗が傷付けど、どうやら黄金覇龍は漆黒の竜や秋津茜(アキツアカネ)、そしてルスモルコンビでは無くサイガ-0に『御熱』らしい。

 

眼中にすらないともなれば、奴に目に物見せてやるとばかりに、リフティングで上げたハルバートを右手に握って服毒、地面に穂先を刺したサンラクは覇濤棍を右に持ち直し、真界観測眼(クォンタムゲイズ)を使い──────叫ぶ。

 

 

臨界速(ブラディオン)!!!」

 

 

其の言葉が轟いて、サンラクの身体は人が人の身で挑む臨界の速度へ身を晒した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋津茜とノワルリンドは最初、サンラクが転移魔法かスキルを使用したのかと思ったが、凄まじい勢いでジークヴルムへと伸びる『黄金の線』が見え、其の直後に『音が鳴った』のを知った。

 

 

 

 

一歩目の進行、封雷による過剰伝達(オーバーフロー)と封星による一歩毎の超加速に空気抵抗軽減、思考加速を用いて尚も一秒足らずでジークヴルムの角が在る場所に到達。

 

空いた拳で『御通し』とばかりに戦砕琥示(ウォールフェン)を叩き付け、其のまま次の攻撃に備えて動き出す。

 

 

 

 

ジークヴルムの本体と戦うルストとモルド、ジークヴルムの分身を相手に戦うエルドランザとレーザーカジキは、確かに其れを見た。

 

地上から空中へと伸び往く黄金の線…………否、黄金の弾丸とも言える『其れ』が突如として空中で跳ね返ったかと思っていれば、鋭角ターンを刻んで一秒すら満たさぬ速度で、『二度目の音が鳴ったのを』。

 

 

 

 

兇嵐帝痕(イデア=ガトレオ)(スペリオル)が稼働し始めた二歩目は天地逆転状態かつ、ギャラクシアヒーローズ・カオスで全一(シルヴィア)が用いし、鋭角ターンと反時計回りの回転を乗せた方向転換と共に吹っ飛び。

 

覇濤棍状態に入った艷碧を振るい抜けば、クリティカルの感覚と共にミシリ!という莫大な負荷が角へ掛かった音が、耳に置き去りにされていた。

 

 

 

 

ディープスローターは笑いが止まらない、止められなかった。あの戦況の中で自分を知覚し、剰え最大魔導(マギストスホルダー)を取った己に対して『全力』を要求した事が、何よりも『最高』だった。

 

やはり()()()()()()()()!と、悪魔は口角を吊り上げて笑い。

 

 

 

 

百足式 8-0.5の超過機構:賦活醒(リベレト)は毒の服用によって機能する必殺技、毒が体内を巡り巡って筋肉を活性化させる此れは、手を離せば即終了──────では無く、体内に注入した毒が無くなるor使用者の魔力(MP)が尽き果てた時に『初めて終わる』。

 

だからこそ間に合う、というより間に合わせると、空中での回転による出力を制御しながらの三度目の疾走の中、線と化した世界の中で覇濤棍を振るい抜けば、再びクリティカルの感触が武器を通じて、サンラクの身体に伝わって来たのだ。

 

 

 

 

 

「玉座は唯一つ、(コトワリ)もまた唯一つ。即ち我が右の半身は黒の………理」

 

サイガ-0はサンラクを信じて詠唱を続ける中、思わず詠唱を間違え掛ける程の衝撃を。

 

サイナはサンラクが残した百足式 8-0.5を同期したインベントリアへ入れる中で、イクサはサイガ-0をジークヴルムから護衛する中、確かに『其れ』を見た。

 

其れは鮮烈なまでに黄金の閃と輝き、空に刻まれ描かれた残りし、強く記憶に焼き付く『光の星』であり─────────

 

 

 

 

 

象牙(ゾウゲ)兎月(トツキ)艷碧(あであお)】………格上相手にクリティカルを出す事で専用のゲージを蓄積し、MAXにする事で連接状態:覇濤棍(はどうこん)になる此の武器に搭載された能力は、装備者が一定以上の速度で対象を攻撃してクリティカルを出した場合、装甲貫通・装甲破壊・衝撃貫通・ダメージ補正ボーナス・クリティカルダメージボーナスと言った、サンラクをして『恐ろしいガチ性能』という武器だ。

 

だが此の武器が条件を満たす『一定以上の速度』というのが『二つの撃鉄を同時に使用する』か、或いは『臨界速を使う』レベルの速度で無くてはならず、失敗すれば盛大に自爆するリスクを背負う必要が有り、やるならば真界観測眼は絶対必須の其れは、勇魚(イサナ)兎月(トゲツ)金皇照(こんおうしょう)】と勇魚(イサナ)兎月(トゲツ)冥帝輝(めいていき)】、其の合体状態たる閠永月(ぎょくようげつ)にも張り合えるだけの性能が宿っている。

 

 

 

角を一撃で斬り飛ばす偉業を成して、戦場と舞い戻るペッパーはジークヴルムの周りにて煌めく、光の線を見た。其れは一秒にも満たぬ程に疾い『流星』ながらも、天の中心にて輝く『北極星』の如き、そんな光を。

 

 

 

 

臨界速の効果適用最終段の五歩目、覇濤棍によるクリティカルの感触、其の一撃一撃の重さ、毒とカフェインに爆上がったテンションの三本柱!

 

其処に合わせて全一との戦闘経験、そしてジークヴルムの角が欲しいという物欲エネルギーの五柱に支えられた、生存度外視の窮極超々々々々速機動の五芒星アタック特攻バージョン!

 

風と雷を其の身に纏い、星の光で駆けるは流星!渾身の力と回転を乗せて、刹那満たない時間の空隙を振るい穿つ!!!

 

角落とせやオラァー(っ"ゔぉぜリゃあ)!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プレイヤー達は見た。

 

NPC達は見た。

 

此の戦場に立ちし、全ての生命達は見た。

 

「ゔぉぜリゃ」

 

夜空に星を描き、ヘンテコな奇声を上げて吹っ飛んで行った、金色の粒を。

 

 

 

 

『なん………?!!!?!?』

 

明後日の方角へ飛んで行く黄金の粒を見て、()()()()驚愕し絶句するジークヴルム。

 

其の黄金の龍王が頭部に掲げた()()の角、四つ存在した其の内の、右下・左下・左中央が()()()()()砕け散った様を。

 

そして戦場からジークヴルムの分身が、一体を残して霧散して消滅した瞬間を。

 

 






速度の矜持


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