VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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龍影に集い




龍よ!人よ!生命達よ! 〜其の三十七〜

ジークヴルムが無作為に光線をブッ放して大地を焼く中を、レディアント・ソルレイアが光輝へと昇る金龍王装(レディアント・ドラゴニウス)一式装備時にのみ発動を許される切札、特殊な超過機構(ユニーク·イクシードチャージ)龍皇輝動(Dragon × Drive)】でジークヴルムと同体格クラス質量残影を作り出し。

 

レーザーカジキの水属性防御魔法と青竜エルドランザの操水によるコンビネーションで成されたウォーターパージアーマーで光の進路を捻じ曲げながら、前へ前へと一歩ずつ地を踏みしめては歩を進めていく。

 

多くの者がペッパーの動きとシンクロしている巨影の中で、勇者と青い魔術師に青竜の背中を見つめ続けている間、ノワルリンドと手を組んだ秋津茜(アキツアカネ)はペンシルゴン達への状況説明に勤しんでいた。

 

「……………つまり今の茜ちゃんは一時的にノワルリンドと一体化してて、今のジークヴルムを唯一止められる逆鱗の位置を知っている、と」

『はいっ!』

「……………成程」

 

見れば見る程、秋津茜の姿は竜人族(ドラゴニュート)と見間違える程に似通った箇所が幾つも有る。そんな彼女の姿を『マジマジと』見ていた視線に対し、彼女の純真無垢な表情は一瞬で傲岸不遜の其れへと切り替わり、其の口から出て来たのは『ノワルリンドの声』で。

 

『何をジロジロ見ている』

「……………」

「……………」

 

中学時代からの付き合いであり、何だかんだ言いながら悪友の関係で有りつつも、アイコンタクトで其れなりに意思疎通が出来るペンシルゴンとサイガ-100は瞑目し。

 

「ほぅ、もう一人のボクという奴ですか…………」

「特殊なスキルか魔法でこうなったんだろうか?」

「ふーん、叡智やん」

「……………取り敢えず、だ。今の状態のジークヴルムに付いて、解った事や感じた事が有る者は些細な事でも良いから言って欲しい!自爆を許せば、前線拠点諸々が吹き飛ぶ事は避けられん!」

 

周りのプレイヤーが騒ぐ中、サイガ-100が音頭を取ってプレイヤー達を制せば、ジークヴルムに突貫してリスポーンから合流した者から情報が飛び出す。

 

「ジークヴルムの周りに防御結界らしいもんが展開してた!」

「アタックしたけど、やっぱりランダムレーザーが一番の鬼門っぽい」

「…………当たれば即死不可避」

「あ、其の結界なんだけど………ジークヴルムの視界に依存してる疑惑有る」

「船のアタックで潰された側からの攻撃に、ジークヴルムは受けてから反応してたわ!」

 

ジークヴルムが展開しているという防御結界の存在と、ジークヴルムの視界が鍵を握っているらしく、もう一押しの情報を求めて彼女は述べる。

 

「其の防御結界の耐久性は?」

「此方の切札の【アポロン・バースト】でヒビすら入らなかった。先ずゴリ押し突破は出来ない………と見た方が良いよ」

「結界を殴ったけど、物理でも魔法でも駄目だったわ」

「ビクともしねぇなアリャ」

「精鋭の剣で【従剣劇(ソーヴァント)】を叩き込んだが、通った時と通らねぇ時が有った。やっぱ視界が()()っぽいぜ」

 

そんな中、カローシスUQにオイカッツォとサンラク含めた午後十時軍を主体とするプレイヤー達に亜人種NPC連合軍団と、(テン)首領(ドン)を主とする天ぷら騎士団含めた元ノワルリンド討伐派を中心とした軍団が合流し、半固形の液体の中で泳いでいる様な浮遊感と、呼吸が出来る此の摩訶不思議な空間に乗り込んで、皆に情報を齎してきた。

 

「カロちゃんにカッツォ君、サンラク君!其れに天丼ちゃん!」

「………言い方に『悪意』を感じる。が、今は緊急事態だから聞き逃した事にしてやるよ」

「んで、どーすんよペンシルゴン。ペッパーが俺達乗せてタンクしてる分には良いが、流石に何時までも持つ………って訳じゃねぇだろ?」

 

秋津茜の説明でペッパーが使った切札は『十分』という稼働時間制限が設けられており、既に稼働開始から三分を切っている。ジークヴルムの自爆のタイムリミットも刻一刻と迫る以上は、此処からの一手一手は文字通り自分達の運命其の物に直結する事を理解するには充分で。

 

「…………よし、皆!話を聞こうとする意志がある者、ジークヴルムに勝ちたいと思う者は、どうか耳を傾けて欲しい!!」

 

サイガ-100の号令により、巨影操作に集中するペッパーと共に寄り添うヴォーパルバニー達に、リュカオーンの分け身や契約した征服人形(コンキスタ・ドール)、まるでロボを操っている様な挙動に大興奮気味のルストやロボスキー達以外の全てが、彼女に視点を移す。

 

「今から秋津茜をジークヴルムの逆鱗の在る場所まで届けさせる!魔法職や銃火器で所持者を最上位・中位・下位に分割し、遠距離からジークヴルムを攻撃する!近接職はジークヴルムの死角から奴を叩きつつ注意を散開させ、戦術機の乗り手達は空中からジークヴルムの残った眼を潰し、結界を取り除くぞ!!」

「支援職はレーザーカジキ君やタンク職に前衛職へ有りっ丈のバフを!防御魔法が使える者は彼等の援護に!機動力に秀でて火力に自身が無い者は、逃げ遅れたNPC達を此の中に避難させてくれ!」

「近接職で我こそはと思う、命知らずのヤロー共!私に続けー!」

 

サイガ-100、カローシスUQ、アーサー・ペンシルゴンの号令を受けて、プレイヤー達は武器を手に取り雄叫びを上げ、行動へと移り出す。

 

ジークヴルムの最終試練『調和を討つモノ(バスターピース)』…………またの名を『覇滅炉心(バスターピース)』発動まで『残り六分』の中、生きとし生きる者達は運命へと抗うべく、ジークヴルムの試練を越えるべく、思想や理念に目的の垣根すらも越えた一致団結の元、最後の大勝負へ挑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『クハハハ………!フハハハハ、ハーッハッハッハッハ!素晴らしい、実に素晴らしいッ………!神代の時代に俺と肩を並べ、始源に抗い祓った黄金の巨影!俺を模倣せし鎧、嘗ての人々を守った希望の輝き!人を護りし其の身姿こそが、英雄にして英傑に足り得る者の姿で有るッ…………!フハハハハ、ハハハハハハハハハハハ…………!!!!』

 

黄金の閃光が無差別かつ無作為に飛び散りる中で、己を目指して歩み寄る質量を持った龍の巨影、そして其れを操りながら進み続けるペッパーと、彼に負担を掛けさせまいと水の障壁を張り操るレーザーカジキにエルドランザ、そして其れを支える者達の姿をジークヴルムは見る。

 

膨張し続け、焼け爛れる身体の痛みに襲われながらも、残された片目で目視し、高らかに叫んでは喜びに身を奮わせて。

 

「攻撃は無差別、被弾したら運が悪いと割り切れ!!視覚認識で防御してる以上、不意を突いて確実にダメージを重ねる!!魔法職、銃装備者─────てェッ!!」

 

そんな折、ジークヴルムがペッパーに集中していると秋津茜から情報を受け取ったサイガ-100の号令が轟き、魔法職と銃火器持ちのプレイヤー達が所有する最高火力を使い、ジークヴルムに渾身の攻撃を叩き付ける。

 

其の光景は夜と朝の境界線が溶けた、更ける黒と明ける白が混じった空に広がり、星々となって振り注ぐ流星群の如く在って、ジークヴルムが其の方向へ視線を移せば結界によって遮られた。

 

『ぬぅっ………!』

「物理班!有りっ丈のパワーで叩き込め!!出し惜しみは無しだッ!!!」

「斬り傷でも貫通した傷でも良い!一点集中で傷を作って、大火力持ちに繋ぐんだ!!」

「オッシャ、ブチ噛ませ!!!」

「突撃ィィイイイ!!!」

「万歳ッッッッッッ!!!」

『グォオオォオオ………!?!?!』

 

入れ替わり立ち替わり、ジークヴルムの死角を突いた物理職が残されたスキルを、戦術機持ちが飛翔してジークヴルムの残る片目に攻撃を。或いは耐久限界を報せる警報(アラート)から特攻を強行して、ジークヴルムの身体へ戦術機諸共『体当たり』を行って派手に爆発した衝撃達が、龍王の巨体を少なからず揺らす。

 

「いけいけっー!!」

「押し込め!押し込め!!」

「もう一押しよ、皆!!」

『ふっ、クハハハハハハハハ………!良い、実に良い!だがぁ………俺も負けぬぅ!!!』

「うわあぁああああ!?」

「レーザーがランダム過ぎる!」

「目を潰せ、目……おわあああああ!?

「結界が無くなんなきゃ、マトモに入んねぇよ!!」

「アアアアアアアアアアアア!?!」

「マジで結界邪魔ァ!!?」

 

ジークヴルムに攻撃が届けど、無作為のレーザーの飛来で溶け落ち、着弾による爆発で吹き飛ばされたプレイヤー達の悲鳴が木霊す中、龍王の質量巨影が遂にジークヴルムの近辺まで到達し。

 

「輝きて、満ち満ちて、光よ放て!魔滅の閃光掻き消す、調律の加護を齎せ!──────『再律空間(REVIVAL-SPACE)』ッッッッッッ!!」

『ぬぅっ!?!』

 

巨影の頭部の六角が黄金を纏い、放たれた輝かしい光はペッパーを中心として『直径一km圏内』にまで広がった瞬間、球体から放たれる無作為のレーザーは『出力が大きく弱体化』。

 

受ければ即死は免れなかった状況を、鍛えに鍛えたタンク職プレイヤーであれば確定で、中量級のプレイヤーでも乱数次第にこそなるが、何とか生き残れる程度の威力に抑え込んだ。

 

プレイヤーにNPC達が驚愕する中、ノワルリンドと秋津茜は質量巨影の中で潜み、ジークヴルムの逆鱗を穿つ為に其の時が来るのを、虎視眈々と見定め待つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

覇滅炉心発動まで─────────残り、三分。

 

 

 






残された時間の中で


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