クライマックス
「よし、いけいけいけぇー!!!」
「押し込めェェェ!!」
「うぉおおおお!!」
『ぐっ、ぬぁ、…………だが、負けぬ!まだ、まだだ………!まだ斃れてくれるなよ、我が身よッッッッッッ!!』
「うぉあ!?」
「ごぶふ!!!」
「ぎゃあああ!?」
「苦痛で身震いしただけで吹き飛ばされる!?」
「戦術機ライダーズ、ジークヴルムの目を早く潰してぇ!?」
残された片目を潰そうにも無作為のレーザーが邪魔をし、目を潰せなければ防御結界に阻まれ、動きを止めようにもジークヴルム自体の身震い一つで吹き飛ばされる。
膨張を続ける太陽の如きエネルギーの球体は、刻一刻と大きく成長して光と熱を纏い、爆発まで残り幾許かという状況まで至っていた。
「戦術機の乗り手の人達に、プレイヤーの皆さん!今すぐ俺の正面から離れて下さい、レーザーブレスをブッ放します!!!」
試練まで、残り二分。
響くペッパーの声に、
「打ち砕け………………
通常状態でも並の
戦場を貫いて、飛び交う光の帯すら焼き払い、真っ直ぐ進んだ灼熱の一閃はジークヴルムの胸に着弾し、体内から放たれる熱さにも負けぬ威力となって、龍鱗を焦がして其の下に在る肉体へ届く。
『ぐっ、おおぉ…………!!良い一撃、だ………!』
「───────【
「「「「「「「「【アトラス・バインド】!!!!」」」」」」」」
ペッパーと金龍王装、渾身のレーザーブレスをも耐えたジークヴルムの身体を、アーサー・ペンシルゴンが黄金覇龍の影に金色に輝く槍を…………完全詠唱によってフルパワーを行使する束縛魔法を乗せた、聖槍カレドヴルッフがジークヴルムの動きを縛り。
更にはシャンフロ世界で最高峰の呪術師のAnimalia、SF-Zooの捕縛班に捕縛魔法習得の魔法職達が、同じ魔法を放ってジークヴルムの両足を捕縛する。
「今だよッ!」
「いっ…………け!!!」
「合わせろ
「よっしゃ、承知!!」
「「
「
「
二人の剣聖による声、そして二振りの指揮者による三本と七本の剣劇は奏でられ、重力の檻に剣聖と連動する影絵の双斬撃が、死角よりジークヴルムへと叩き込まれる。
『ぐぅう、ッ!素晴らしい、十の剣を操り振るい、研鑽を重ねた輝き、実に見事!だが、負けは…………しないっ!倒れぬ!我はジークヴルム!お前達に課す試練であり、そして門番!!故にこそ、………故にこそ、そう安々と沈みはせぬぅ!!!』
「うわぁあああ!?」
「ぎゃいいい!?」
「ぶべら!?」
「やっぱ格が違うぅうう!?!」
身震い、暴れ、大地を踏み。レーザーが飛んで、プレイヤー達を其の巨体と熱と光で振り払い、焼き尽くし、未だ己は健在だと黄金の龍王は叫ぶ。
「いや。此の
「朱雀、
『了解──────『
試練発動まで、残り一分。
プレイヤーが作り出し、生まれた決定的な空隙……………煌金灼光の発射に紛れて朱雀を纏い、龍影より飛び出したルストがモルドのサポートを受けて地上ギリギリを飛びながら、
『貴さァ………ゴァァァア!?!?』
防御障壁はジークヴルムが意識して展開するが故に、視認からの実行に『ほんの僅かな隙』が在る。
そんな認識と実行の間に在りし、ほんの僅かな隙をモルドが計算し、伝達されたルストが朱雀を操り空を駆けた先、紅い機鳥の翼より展開された最大出力の魔滅の炎刃が、ジークヴルムの残された片目を斬り裂き、焼き潰してみせた。
試練発動まで、残り三十秒。
此処が最後の好機と確信したプレイヤーとNPCの声が轟く。
「「「「「行って来い!秋津茜(ちゃん)(さん)ッッッッッッ!」」」」」
『……………はいっ!!』
質量を持った巨大なる龍影の内より黒竜の少女が数多の勇姿の声に応えて叫び、其の背に水流を受けながら前だけを向いて飛び出した。
押し上げた水流の道の先端から跳躍、其の背に生えた翼を羽撃かせ虚空を踏み締め走って飛んで、光線が飛び交う中で伸びた龍影と防御魔法、更に聖騎士の放った魔法に守られながらも、空中を踏み締めて龍王の逆鱗へ進む中、利き手に握り締めた
此の武器に搭載された能力は、装備者が発動する『魔法の触媒として代用可能』という能力が備わり、本来魔法職が用いる杖や魔導書と言った物品の代替として機能し、通常魔法ならば詠唱を、忍術ならば印を、其々『ショートカット』して使用可能になる。
『致命…………
そしてヴァイスアッシュが鍛えた武器で有る為に、此の兎花【桜】にも『奥の手』が備わっており、此の武器を用いて格上相手にクリティカルを出せば魔力を
消費する魔力も『桜に最大チャージした魔力を全消費する事で代用する』ので、装備者に掛かる魔力切れの倦怠感による『パフォーマンス低下を阻止するのだ』。
桜より零れて溢れ出し光は、花弁の形となって散りながらも、続いて旋風に巻き上げられながら渦を巻き、そして宇宙を流れて行く箒星の尾の如く『鮮やかな桜花』を撒き散らしながらに、一点を。
兎御殿で手にした秘伝書より体得し、実戦的訓練を通じて鍛え続け、レベルキャップを解放し最大強化へと至った、其の一撃をジークヴルムの逆鱗に突き放つ…………!!!
『【
試練発動まで、残り時間………五秒。
響いた少女の声と、咲き誇りて散った桜の花弁。
戦場に静寂が到来し、最後に響いたのは。
進化せし致命の短剣が、ジークヴルムの逆鱗に深く刺さり─────────叩き割れた音だけだった。
桜、咲く