ジークヴルムの終焉
世界が沈黙する。其れは長い戦いに、終止符が打たれる様に。驚く程に静かな戦場に、唯小さく『パキン』と割れた音が鳴った。
『──────見事』
ジークヴルムが生み出した、魔滅の覇光は此の瞬間に膨張を止めた。
決め手は青黒い肌と角と尾と翼を生やした忍者少女であり、其の手に握りし
其の全身全霊にして渾身極まる一突きが、満身創痍の黄金龍王の逆鱗へ深く突き立てられた事で、其れが真っ二つに叩き割れたのだ。
ジークヴルムは息絶えたのでは無く……………然して逆鱗を穿たれ、最期の試練である『
『………………重ねて言おう、見事だ』
ジークヴルムの放った、静かな一言………其の一言に込められた万感の想いは、ペッパーの魂を、秋津茜とレーザーカジキの身体を震わせる。
其れはゲームの中の、唯一つのプログラムに過ぎす…………其れでも彼等や彼女にとっては身と魂を震わせる、確かな力が込められた言葉であった。
『人よ、竜よ、よくぞ
最後の一瞬、膨れ切った光を解き放つ引き金を『引けなかった』が故に、莫大なエネルギーの全てが血が巡るが如く、ジークヴルムの中へ………核へと戻らんとする。
だが如何にジークヴルムとて、瀕死の状態で過剰なエネルギーを受け止め切る事は不可能であり、其のエネルギーによって黄金の身体は少しずつ、着実に『崩壊』を始めていた。
『クハハハ、クハハハハハハハハ………!角も、全て破壊されるとは、な………。俺が思った以上に、人は『到れたか』………ならば其れは、
両眼を潰され、部位再生を使った上で角を全て壊され、ジークヴルムは静かに顔を上に向けて、見えぬ視界で空を見上げ─────────だが其の時に聞こえた声が『三つ』有った。
「天覇のジークヴルムさん」
「ジークヴルム、さん………!」
『あ、あのっ!』
『…………む』
見えず、しかし魂の震えと聞き覚えの有る声が、下から聞こえる。
其の主は片や金色の装飾を施した神代の大いなる遺産にして、己を模倣して創り出されし一式装備を全身に纏った、蒼空を舞う勇者たる青年が消滅した龍影の中から数多の人達と出て来て、其の近くには忌々しい犬の分け身の気配が在り。
片やボロボロの姿で立ち上がり、地に足つけて天を見上げ、滅びゆく黄金を見上げる漆黒の少女と、こじんまりとした青い竜を抱えた青竜の気配纏う鎧を着けた少年と、目が見えずとも其処に居るとジークヴルムには解った。
「神代より世界を守り、人が巣立つ其の時まで始源を封じ続け、唯一人で戦い続けた黄金龍王よ。貴方が見守った人は研鑽の先で、此処まで『強くなる事が出来ました』。俺達の巣立ちの為、全身全霊で立ち塞がって下さり…………本当にありがとうございました。そして…………『本当に御疲れ様でした』」
万感の想いと感謝を以てペッパーが礼を述べながら、深々と頭を下げたのだとジークヴルムは崩壊する肌で感じ。
『あの……ええと………』
秋津茜は崩れ逝くジークヴルムへ、何を伝えるべきか迷い。レーザーカジキはジークヴルムを見上げ、何を伝えるかを考え。そうして二人は最終的に、自分が好敵手へと贈る言葉を選びて述べた。
『あの!ずっとずっと御一人で戦って………凄かったです! ありがとうございました!『御疲れ様でした』!!』
「ジークヴルムさん、ありがとうございました!本当に強かったです!『御疲れ様でした』!」
秋津茜とレーザーカジキもまた、ジークヴルムへの感謝を述べて頭を下げる。目は潰され見えずとも、そうしたのだと感じたジークヴルムは静かに……………三人に対して『よくやった』と述べた後、此の戦いの先に待つ『始源の胎動』を警告せんと声を上げた。
『聞け!!今此処に生きる一号の人よ、二号の人よ!最早此の世界の時は再び『動き出している』!!!嘗て神代に施された『封印』は綻び、始源の胎動は鼓動へと変わりつつ在るッ!!!』
黄金の四翼と尾が崩壊し、ジークヴルムの足元や周りに『黄金色の灰』が積み重なる。
『戦わねばならない…………!嘗て偉大なる神代の先人達が敗北した『始源の波濤』と、其の『脅威』に!貴様等は『己の命の輝き』を…………己等の力を『示さねばならぬ』ッッッ!!!』
両腕が両脚が崩壊し、重力に従った巨体が灰の上に落ちれども、龍王は揺らぐ事は無く堂々たる声を張り上げ続ける。
『
既に身体の殆どが崩壊し、其れでも残った胸部と首と頭で、伝えねばならぬ事を伝え切る。
『───────幸運を。
胸部が消える。そしてジークヴルムは秋津茜に………否、秋津茜
『───其の名を誇れよ、ノワル
『…………っ!ジークヴルム…………!』
秋津茜の意識に割り込み、一体となっていたノワルリンドが声を上げた時、ジークヴルムの首が崩壊し始める。
『レーザーカジキよ…………エルドランザよ…………。其の心、揺らがぬ様にな…………。さすれば群青の海さえも貫き、覇を唱えし王となれよう…………』
「……………はいっ!」
『フッ、言われるまでもない…………』
首も崩壊し、残されたのは頭部のみ。声すらも出せなくなった中、確かに其のメッセージはペッパーに届いていた。
『ペッパー・
「………………任されました、ジークヴルムさん」
最後に伝えるべき事を伝え切った頭部は遂に崩壊し、灰となって積み重なって。
同時にペッパーの其の身に纏った、一式装備の
『ペッパーさん!?』
「な、何が起きて…………!?」
「ッ…………!?」
龍王を模倣した鎧から放たれる輝きが強まり、灰の内側から鳴り響く鼓動もまた激しく、更に力強い物へと変わっていく。
そして……………
まるで寿命を迎えた不死鳥が、焔に燃え果てて灰の中から新たな命を持って、輪廻し産まれ出る様に。
黄金の灰の中から人間大の手が、続いて腕が、脚が出て、更には頭と首に、小さな六本の角と四翼の翼、更には尻尾が出て来て。
彼等彼女等の前に、ペッパーと同じ背丈の……………確かに今し方倒れて消えた筈の『ジークヴルム』が、灰の中から現れたのだ。
「「「「「『「「「「『「「えっ」」』」」」」』」」」」」
『……………俺は確かに死んだ。が、どうやら生き返った…………らしいな』
自分ですら想定外、死を覚悟した上で尚も、己の使命を果たしたジークヴルムに対する、神が与えた褒美なのか、はたまたタチの悪い悪戯なのか。
其れでも一つ、ペッパーの心に浮かんだ言葉が在り。
「……………『おかえりなさい』。ジークヴルムさん」
「……………あぁ。『ただいま』、だな」
龍王の鎧を纏った其の手を、勇者は差し出し。ジークヴルムもまた、其の手を掴んだのだった。
夜が明けて、新たな朝を告げるかの様に風は吹き、黄金の灰は天に巻き上げられて飛んで行く。
まるで
『天覇のジークヴルムは永き敗残の戦いを終えた』
『勇者は黄金の龍王に時代の英傑と認められた』
『天より火が消え、新たな灯火は人の中へ』
『金色は巡りて、龍王は再誕する』
『決戦フェーズ終了』
『ユニークシナリオEX【打ち立てし誓い、交せし約束を果たす時】をクリアしました』
『ユニークシナリオEX【来たれ英傑、我が宿命は幾星霜を越えて】をクリアしました』
『参加者全員が称号【龍狩り】を獲得しました』
『参加者全員が称号【竜狩り】を獲得しました』
『称号【白き竜を落とす者】を獲得しました』
『参加者全員が称号【天より高く金より
『参加者全員が称号【輝く命の光】を獲得しました』
『参加者全員が称号【
『参加者全員が称号【
『称号【龍王の好敵手】が【龍王が認めし英傑】に変化しました』
『ジークヴルムの角破壊者が称号【
『参加者全員がアイテム【
『参加者全員がアクセサリー【
『参加者全員がアクセサリー【
『参加者全員がアクセサリー【
『参加者全員がアクセサリー【
『参加者全員がアクセサリー【
『参加者全員がアクセサリー【
『ジークヴルムの角破壊者がアクセサリー【
『赤竜ドゥーレッドハウル討伐参加プレイヤーがアイテム【赤竜の魔菌】を獲得しました』』
『参加者全員がアイテム【白竜の魔菌】を獲得しました』
『参加者全員がアイテム【緑竜の魔菌】を獲得しました』
『アイテム【白の菌丸核】を獲得しました』
『参加者全員がアイテム【世界の真理書「天覇編」】を獲得しました』
『特定条件を満たさなかったプレイヤーの【呪い】が消失しました』
『特定条件を満たしたプレイヤーの【呪い】が変化しました』
『ユニーククエスト【インパクト・オブ・ザ・ワールド】が進行しました』
『ユニーククエストEX【七星の皇鎧よ、我が元に集え】が進行しました』
『ワールドストーリー【シャングリラ・フロンティア】が進行しました』
『始源が動き出す』
『ワールドストーリーの進行により以下のレイドモンスターが実装されます』
『レイドモンスター【
『レイドモンスター【
『レイドモンスター【
『レイドモンスター【
『レイドモンスター【
『レイドモンスター【
『レイドモンスター【
『レイドモンスター【
『ユニークシナリオ【我が身は人と共に、色災を破る】を開始します』
『ワールドストーリー第六段階終了までに始源の脅威を三種以上討ち果たせ』
世界は廻る
称号紹介
白き竜を落とす者:ジークヴルムのユニークシナリオEX中、もしくは決戦フェーズ内で白竜ブライレイニェゴ討伐の『ラストアタッカー』となった者に贈られる称号。『◯竜を落とす者』の◯部分には色が入り、其の竜との『因縁が有る亜人種との関係に大幅な補正が加わる』といった隠し効果が有る。
人は天を覇する龍王に光を示し、巣立ちへの十全なる蓄積を果たし、龍王は黄金の灰より命を受けて再誕した。
黄金の龍王が掲げし威光、輝ける栄光を人は其の手に掴んだ。
龍王が認めし英傑:ジークヴルムの一式装備・
類似称号は『天津気の襲名者』や『盟主の威光を授かる者』で、前述の二つの称号と同じく隠し能力が搭載され、此の称号所持者の持つ武器は『一定以上の強化を経て偉業を成した場合、其の武器は