話を聞こう
「成程…………父さんが其処まで言い切ったんですね。解りました、微力ながら私も協力しましょう」
兎御殿内のとある一室、或いはラビッツという国の
此方がヴァイスアッシュやビィラックと会話イベントをこなした事を把握していたのか、此方が話すと至極あっさりと協力を了承してくれた。
「確か此処だったか…………あぁ、あった。コレだ」
そう言ったエードワードが書斎から探し物をし出し、軈て一冊の本を持って来た。其れは本にしては『日記』の様な薄さが有りつつも、其の宿す気配の重さから『歴史書』と言うべき、そんな印象を抱く一冊。
「エードワード、其奴は?」
「父さんの日記ですね。此れは父さんが鍛龍を作った当時の事を記載した物になります」
「へぇ…………」
はらりはらりと
「成程。………鍛龍の材料は、ジークヴルムさんの角である
「ってか、肝心の概念形成に関する記載はねーじゃねーか…………」
「父さんの事ですから、おそらく『自力で概念形成を知れ』………そう言いたいのでは無いのでしょうか?」
BC-ビーコン起動の座標探しの際も、ヴァイスアッシュは『敢えて』教えなかった……………つまり神匠が振るう事が出来る『概念形成の使い方か何かを知っている』、そう汲み取る事も可能だ。
(とすれば、やっぱり『ヴァッシュの知り合い』に話を聞いていくのが、此のユニークシナリオ攻略の
(ビィラックが言った『人間の神匠』…………。んじゃあ『聖女ちゃん』か『ティーアス先生』、もしかしたら『国王陛下』なら何か解るか?)
(次は『ジークヴルムさん』に、もし其れでも解らないなら『ロノ・ドアさん』や『イリステラ様』含めて聞いてみるか。ジョゼットさんや他の人に悟られない様に上手く立ち回らないと……………)
(なぁんかだいぶゴチャゴチャしてきたなぁ…………。要するにコトナリ?を使える、『人間の神匠を此方で探し出して実演して貰えば良い』…………のかコレ?)
ペンシルゴン・サンラク・ペッパー・オイカッツォ、四人其々で答えに行き着く為の方法として『有識者から人間の神匠の情報を手にする事』こそが、ペッパーが手にしたヴァイスアッシュの鎧に関わるユニークシナリオを解く方法との認識に至り。
「……………俺はジークヴルムさんに逢って、ヴァッシュ先生の作った鍛龍に関する事を聞いて来る」
「んじゃ此方も此方で、色々とやってみるわ」
「実戦的訓練の攻略やってからだなぁ…………」
「ん〜………私はビィラックちゃんやポポンガちゃんに、もう少し詳しく聞いてみるよ」
断片の情報を元に物語を紐解く事が、シャングリラ・フロンティアというゲームに存在する『攻略の鍵』、故にこそ思考に答えが浮かべば行動有るのみだからこそ、世界の真実や神の御業を知り得る権利が齎される。
オイカッツォはユーゼオと共にヴォーパルコロッセオへ、ペッパー・アイトゥイル・ディアレ・ノワ・ヒトミは新大陸前線拠点、サンラク・エムル・サイナは旧大陸のサードレマ、ペンシルゴン・ゼッタ・ニーナはビィラックに話を聞くべく残り、人間の神匠や鍛龍に関する情報を得る為の戦いに赴いたのだった………。
やって来たのは新大陸の前線拠点。新大陸の各地に散らばっていた多種多様な亜人族達が、竜災大戦にて誇りや矜持に証明やら策謀と、思い想いの目的を抱いて集った此の地は現在、新しい居住区画が
更には海岸線より程近い海上には、建築職プレイヤーと
「さぁて……………どうしようかねぇ」
兎にも角にもプレイヤーやNPCが多い。シナリオ終了後に加えて夜の時間帯というのも有るが、其れにしたって多過ぎる。ポポンガやジークヴルムが今何処に居る場所を探すにしても、此の状況では目立って仕方無い。
「……………作戦変更だ。こういう時は真正面からブチ抜くに限る」
アイトゥイルとディアレをコートの中に、ヒトミはインベントリアに収納のノワは影へと擬態、己の思考回路をグランドダンジョンシリーズ+幕末仕様に切り替え、見慣れた三部位一体のユニーク装備にカウボーイハットを深く被って
複数人のプレイヤー視線が重なる位置と、他のプレイヤーの背中や肩に頭といった部位で隠れる場所を一瞬で判断から、人混みの中をヌルリスルリと通り抜けて、俯瞰の視点で確認した中でも前線拠点内で『黄金の龍へプレイヤーが多く集まる場所』を目指す。
神眼で見定めた先、ユニークシナリオ終了直前に復活した『天覇のジークヴルム』が、前線拠点の小高い場所で座禅か何かを組んでいる様で、周りで他のプレイヤー達が興味津々の視線を送っていた。
『………………どうやら客人が来たらしい』
そう言ったジークヴルムが座禅より立ち上がって此方を見ている。俯瞰の視点とは言え視線を送れば気付かれるのは当たり前で、力一杯の跳躍から
「昨日振りです、ジークヴルムさん。身体の調子はどうでしょうか?」
『蘇った身だが、嘗て持ち得た力の『大半を失っていてな』。故に今は修行の身よ』
見れば見る程に人間大のサイズまで縮んだジークヴルムだが、当の本人ならぬ本龍は此の姿にはなっても『覇気』は衰える所か、益々強まってる気がするのは気の所為では無い。
『してペッパー・
周りにはプレイヤーやNPC達も居る。正直に言えば此処からの話は本当ならば内密にしたい物の、ジークヴルムの報酬であるアクセサリーやアイテムとも大いに関係しているので、質問攻めされる事も視野に入れた状態で迅速に聞き出すとしよう。
「実はジークヴルムさんに一つ質問が有りまして。嘗てジークヴルムさんが『朋友に渡したという角を使った武器について』、話を聞かせて頂いてもよろしいでしょうか?」
ペッパーが喋ったワードでジークヴルムの目の色が変わり、プレイヤーやNPC達もざわめいて。
『……………であるならば、スカルアヅチの天守にて少し話そうか』
「ありがとうございます」
背に生えた四翼を羽撃かせ、嘗ての速度でこそ無いが軽々と夜空を飛んでスカルアヅチの頂点へと飛んだジークヴルムと、空中機動系スキル達を点火して迅速に彼の後を追い掛けるペッパーと、あまりにも速過ぎる行動にプレイヤー達は唖然の後に『ペッパーさぁ…………』という呟きを残す事になったのであった………。
探せ、御業を知る者を