VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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来たれ、王者




ゲーマーに限界なんて無い、勝負に絶対なんて無い

GGCという一大イベントに置いてNephilim Hollow(ネフィリム・ホロウ)を大々的に宣伝したホットペッパー………其の舞台では全米二位のプロ格ゲーマーたるアメリア・サリヴァンを破った、A-Zというレトロゲーマーがルスト&モルドに挑戦状を叩き付けた。

 

前回敗れてから僅か一日、だが其の一日でストーリーモードを攻略し切り、新しいネフィリムを作って持って来たという行動の早さは、ルストやモルドからしても充分といった印象を抱くに相違無く。

 

他のプレイヤーから決闘場所として指定されたポイントに緋翼連理(ヒヨクレンリ)で向かえば、其処にはホットペッパーと彼が作った『新ネフィリム』が待っていた。

 

「随分速い到着だね、ルスト&モルド」

『其れが新しいネフィリム?』

「嗚呼。『ギガノトフォートレス』、俺がネフホロで導き出した一つの答えって所かな」

 

ルストが見つめる視線の先、ホットペッパーが作ったギガノトフォートレスなるネフィリムは、一言で言えば『巨大な山』か『巨大ミノムシ』か『巨大ピラミッド』とも言うべき、一目見て『重量級かつ超重装甲タイプの機体』だという印象を抱く。

 

あまり見慣れない形状の装甲を屋根瓦の如く重ね合わせ、其の上に四方向を固めた巨大な実体シールドと、隙間を埋める様に丸型のユニットが配置され、更には頭上を大円型の実体シールドを唐傘の如く被った、まるで『戦国時代の雨天行軍を行う兵士』の様相だ。

 

『ルスト、あの機体の瓦みたいに重なってる装甲は『リアクティブアーマー』で、丸型のユニットは『対誘導兵装妨害電波兵器(ジャミングジャマーユニット)』だ。前者は一定以上のダメージを受けたり、プレイヤーの任意でパージされるし、後者は文字通り展開中はミサイルとかの誘導兵器が、射程内に入るとコントロールを失って暴走する』

『ん、ありがと』

 

ルストは嘗て、此の世界に『カワセミビルド』を以てランキングを爆速で掻き乱した後にパッと消え、再び戻って来たかと思えば『シャンフロでロボを扱えない憂さ晴らし』という理由で戦い、ボコボコにしたと思えばリベンジ機体で新しい風潮を呼び込んだ『シオマネキビルド』で緋翼連理をボコボコにし、クターニッドとの決戦前には『十四の彩を持つ鳥(コーラシアス・ライラック)』で更にボコボコにしたのを思い出す。

 

あの時の(えにし)がシャンフロのロボに繋がり、そしてシャンフロの有名人がネフホロの世界にやって来た事を喜び、やはりネフホロしか勝たんと『推し活する人間』と同じテンションを帯びつつも、ホットペッパーの…………ペッパーというゲーマーの不気味さを垣間見ているからこそ、油断もする事は無く全力を以て叩き潰すと結論を下した。

 

 

 

『緋翼連理 VS ギガノトフォートレス!──────BATTLE START!!!』

 

 

 

システムによるアナウンス、開幕を告げるブザーが鳴り響き、ギガノトフォートレスがジャミングジャマーユニット四基を『有線射出』で展開したのと、緋翼連理がミサイル発射と空中への高速飛翔をしたのは『ほぼ同時だった』。

 

四基分の出力で形成されたフィールドに突っ込んだミサイル達がコントロールを遮断され、出鱈目な方角に吹っ飛んで行って着弾からの爆発が起きるも、其のくらい想定済みとばかりに右肩のレールガンを四射で、ジャミングジャマーユニットをブチ抜いてみせる。

 

が、ユニット四基の爆発と同時に其処から一斉に『煙幕が展開され』、ギガノトフォートレスの姿が『センサーに一切反応しなくなった』のだ。

 

『ルスト、コレ『電波遮断煙幕(ジャミングチャフ)』だ!』

『やっぱり『普通の策では来ない』か!』

 

ペッパーというプレイヤーの思考深度をシャンフロで見てきたからこそ、ルストとモルドはジャミングジャマーユニット()()で来る様な事はせずに、何かしらのアクセントを加えて来ると読んでいた。

 

そして其の予想は当たり、ミサイルを防ぐユニットの中にチャフを仕込んで目眩まし、其の隙に何かを仕掛けて来ると踏んで遠距離火器をぶつけに掛かる。

 

が、其の刹那に煙幕の中から『何か』が上と正面から飛び出し、一瞬警戒するも片方は『パージされたリアクティブアーマー』の、上に飛んだのは『プロペラ付きの偵察ユニット』。

 

『そんな小手先の()()には掛からない!』

 

緋翼連理が飛ぶ、煙幕が晴れる、見えたギガノトフォートレス、至近距離でレールガンを叩き込んで内部爆破を─────────『ルスト駄目だ!罠だッ!』直後に機体のブースターが()()()()()()()

 

『な…………』

『火に飛び込むは夏の虫…………なんてね』

 

ギガノトフォートレスの『隙間』から伸びて放たれた、タイターン MK-1stの忘れ形見たる折り畳み式大口径砲塔(フォールディングバーストキャノン)の一撃が、翼を喪った不死鳥の心臓を穿って一瞬で勝敗を決させたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ホットペッパー、一体『何をした』!?」

「まぁまぁ。そういうのは『タネ明かし』をするよりも、自力で解いてみるのが楽しい場合が有るじゃない?」

 

嘗てフィドラークラブに成す術無く、不死鳥が一瞬で狩り取られた以来の衝撃に駆られ、フィールドにリスポーンしたルストがホットペッパーに食って掛かり、対するホットペッパーもまた微笑みつつも、此の謎を解いてみせよと二人に視線を送りながらも、再戦と称して『挑戦状』を叩き付ける。

 

「因みにモルドは解ったみたいだね」

「…………うん。正直に言うとさ、ホットペッパー。ギガノトフォートレスって……………『重装甲クアトロキャノン』からインスピレーションを受けてるよね?」

「クアトロ、キャノン…………!?」

「…………まぁ、そうだね。一部正解。…………正確には『重装甲クアトロキャノンに+α』を加えた、『環境適応型クアトロキャノン』…………が正しいかな?」

 

重装甲クアトロキャノン───────其れはサンラクが扱う『キングフィッシャー』、もといカワセミビルドによって蹂躙され、環境から絶滅する前までネフホロの環境を席巻していたビルドであり、プレイヤーに負担は掛からないが戦い方も『塩試合』を量産し、運営によって弱体化(ナーフ)の追い討ちを食らって消え去った経緯を持っている。

 

そんなクアトロキャノンをペッパーは超重厚装甲とジャミングユニット等で守り、ブースターを『何らかの方法で止める』事によって、大口径武装の一撃を『確実に当てる』というプロセスで緋翼連理を落としたのだとルストは知り、モルドは其のブースター停止の『カラクリ』に気付いたからこそ、彼がとんでもないネフィリムを作り出したと理解したのだ。

 

「…………モルド」

「ホットペッパー。次の試合、緋翼連理()()のネフィリムを使うけど問題無い?」

「構わないよ。俺としてもギガノトフォートレスが、()()()()()()()()戦えるデータが欲しいと思ってたからさ」

 

此方がメタを張ってくるのを許容した上で、真正面から返り討ちにしてやるとばかりに、チャンピオンコンビへ視線を向けるホットペッパー。

 

ルストとモルドは久方振りに忘れていた『挑戦者としての心持ち』を思い出しつつも、早速対ギガノトフォートレスを視野に置いた新ネフィリム製作の為に動き出し。

 

其れからホットペッパーは入れ替わりでやって来たプレイヤー達から、立て続けに挑戦状を叩き付けられる事になったのだった………。

 

 

 






不死鳥を穿つは、要塞の一撃


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