VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

926 / 1075


領域に辿り着き




七天極星(グランシャリオ)会談、武器が宿せし可能性と神なる鍛冶師

「ペッパーさん。ウェポニアから聞きたい事は『現在四つ』有り、一つ目にウェポニア所属のプレイヤーが9/1にペッパーさんが、前線拠点にて座禅を組んでいたジークヴルムさんへ質問した『朋友に渡したというジークヴルムの角を使った武器について』という意味。そして二つ目に『ジークヴルムの決戦フェーズにてペッパーさんが振るっていた小鎚』…………おそらく形状から察して『ライダメイズブレイカーの進化系らしい物』と、三つ目に『雲の巨腕を以て持ち上げていた巨大で分厚い戦斧』、最後の四つ目に『ガルガンチュラ種の素材を使っただろうグラップラー系の一式装備』について…………是非とも詳しく御話を聞きたいのですッ!」

 

血走ってギラギラに輝いた視線と共に、一体何時の間に撮影したのか『ディトライヴブレイカーを握って居るペッパーのスクショ』と、決戦フェーズで白竜のクローン相手に叩き斬った『歴積重大戦斧(グレイドネス・グァルックス)を雲の手で握っているペッパーのスクショ』、そして『城帝闘壁爆技鎧(キャヴイナス・ストゥナー)シリーズを纏って白竜を殴っているペッパーのスクショ』に、此方が目下の課題として取り組んでいる『鍛龍製作に関して』の抜け目無い質問をぶつけて来たのだ。

 

では何故、SOHO-ZONEからしても特大クラスの情報を秘めているだろう光輝へと昇る金龍王装(レディアント・ドラゴニウス)の事を聞かなかったのかと考えれば、クラン:ライブラリが確実に聞き出しに掛かる事を前提として動く事により、多方面から此方の持つ情報を引き出させるのが目的だろう。

 

取り敢えずスクショで撮られた二つの武器は何方も『ロックオンブレイカーの製造秘伝書』と関係している他、歴積重大戦斧はユニークシナリオを含めて説明する必要が有るので、ペッパーはユニーク小鎚三兄弟の強化と派生を通じて以前よりも分厚くなった『ロックオンブレイカーの製造秘伝書』を取り出しつつ、時限爆弾のコードの一つ一つを丁寧に専用器具で解体する様に、SOHO-ZONEの御話攻略へと着手する。

 

「SOHO-ZONEさんの予想は当たりで、此の一式装備は地下都市ホルヴァルキンにて鉱人族(ドワーフ)のガンタックさんが、此方が用意し手渡したガルガンチュラ種の素材と、黄金のマグマを用いて作った城帝闘壁爆技鎧シリーズであり、能力を詳しく説明すると時間が掛かるので理解り易く例えるなら『水溶き片栗粉とニトログリセリンを装甲に流して敵からの攻撃を跳ね返し接近からぶん殴る』をコンセプトとした、物理耐久と物理方面に滅法強いグラップラータイプの一式装備。

小鎚はライダメイズブレイカーの『次段階強化形態』に当たるディトライヴブレイカー、大戦斧は歴積重大戦斧という両手武器であり、ギルフィードブレイカーの次段階強化形態のアーテクレイブレイカーから、職業:名匠以上持ちにダンジョンアックスと共に見せた事で発生した『ユニークシナリオ』を経て、其のシナリオクリア報酬と共に鍛冶師に渡した事により『大斧武器へと派生した物』です。

そして現時点のロックオンブレイカーの製造秘伝書は『改漆式』になっており、他の小鎚達にも同様にユニークシナリオが存在するならば、此の秘伝書は『改玖式』になります」

 

ペッパーの口から出て来た一式装備、ユニーク小鎚達に纏わる様々なパワーワードの立て続けの連打に、此の場に居たプレイヤー達全員の目が丸くなり。同時にサンラクがエリュシオンが作ったメイド服を纏い、サイナ共々戻って来た。

 

ウェポニアが研究を続けた先で公開している、ロックオンブレイカーというユニークウェポンたる武器種:小鎚は、ロックオンブレイカーの次段階たるマッドネスブレイカーから先に、用いた鉱石により三種の強化派生が在ると明かされていたが、其処から強化を続ける事で『別の武器に派生する』という更なる秘密を宿していたのだから。

 

「武器防具に関して情熱を燃やすクラン:ウェポニアにとっても、此れは喉から手が出るくらいに閲覧したいだろうしぃ…………。ジークヴルムとの決戦での消耗含めて『閲覧料に分割払い二億マーニ』で見せてあげるけどぉ、どうしますぅ???」

「よし、乗った!なので見せてくれ!!!」

「はい、毎度ありー♪」

 

設営されたテーブルに乗せ、其の上でペンシルゴンにアイサインを送れば彼女は直ぐに交渉を展開。そして至極あっさりと交渉は成立してペッパーから手渡された秘伝書を、SOHO-ZONEが食い入る様にページを開いては文字を脳髄に刻み込んでいく様は、狂気的な病者か何かと思ってしまうレベルの怖さを含んでいる。

 

そしてペッパーはサンラクとペンシルゴンにアイサイン+ハンドサインを行いつつ、口の動きで『鍛冶師系隠し最上位職業』にして、最終到達点たる極致の技を扱いし者たる『神匠』の事を開示すると伝えた。

 

「─────────そしてSOHO-ZONEさんが言った、ジークヴルムさんの角を使った武器についてですが…………其の武器を作るには特殊な工程を。ジークヴルムさんの角を折ったという『偉業』が、形を持ちながらも実体を持たない『概念』の状態である其れを、鍛冶師系隠し最上位職業の『神匠』が概念の存在を()()()させる事で成した『角の芯を用いた物』が原材料を使い、ある人の手で作られた物を指します」

 

ペッパーが淡々と事実を語り、彼というプレイヤーを少なからず知るが故に、他の参加者達は全員言葉を失い…………そして其の言葉が嘘や偽りで隠した物では無く。

 

プレイヤー最高峰の鍛冶師たるイムロンや、イムロンに続く形で名匠の領域に到達点したラピス、そしてラピスの三人の弟子達や、鍛冶師プレイヤー達と多くの接点を持つSOHO-ZONE、そしてペンシルゴンとサンラク以外の此の会談に参加したプレイヤー全てに、絶大な衝撃が齎されたのである。

 

鍛冶師の最上位たる名匠、神代の技術を鍛冶に用いる古匠、其の二つですらも単なる『通過点』に過ぎず、其の真なる『到達点』は神の名を持つ鍛冶師の極点が在ったのだと言う………………敢然たる『事実』を叩き付けて。

 

「今回のジークヴルムさんのユニークシナリオ攻略で、シナリオ参加プレイヤーの中でも、ジークヴルムさんの角を破壊したプレイヤーが手にした『霊角(れいかく)残影(ざんえい)』を含めた、他の残影の名を持つアイテム達。其れは神匠の力を借りる事で物質化して、『別の用途』に使用出来る状態になります」

 

唯々、彼は神匠に関わる事と其れだけを述べ続けながらも、先々で神匠へ至る為の道筋を指し示す形で此の話を締め括る。

 

「尤も、其の用途については自分でも全く見当が付いておらず、概念を物質化する方法も手掛かりが掴めていないのが現状で…………嗚呼、一つ解っているのは神匠に就職するには『名匠と古匠を経た上で二つを組み合わせ、英傑武器(グレイトフル)を強化し続けた果てに最終強化段階の()()を完遂させる事』で就職可能になるそうなので、武器と深い繋がりを持つ巨人族(ギガント)の方々に協力を依頼するのが良いのでは…………と、私は思います。中時間の御静観、誠にありがとうございました」

 

長い立ち話を終えた上で心做しか疲労感が滲む顔で席に着いたペッパーは、一つの山場を乗り切った様に大きく息を吐く。そして沈黙の果てに静寂は僅か、喧騒によって破られた声達により、謁見の間は大混乱の様相を呈する。

 

「神、匠…………だと!?」

「古匠が終わりじゃなかったのか!?」

「ウソデショ……………」

「コレ大丈夫?俺達消されない???」

「何で他連中から『ペッパーさぁ………』って言われるのか、目の前で見たから納得出来るわ…………」

 

シャンフロ生産職の中でも人気(ポピュラー)な鍛冶、隠されていた真の到達点の開示という一大イベントを経て、会談は更なる熱を帯びる事となる……………。

 

 






神の鍛冶師


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。