盛り上がり、盛り上がる
鍛冶師職の最終到達点たる神匠、そして其処に至る為の条件の開示によって会談のボルテージが必然的に高まり続ける中、次に動いたのは考察クラン:ライブラリのリーダー・キョージュであった。
「さて、ペッパー君。今回のジークヴルムのユニークシナリオEXをクリアして、参加プレイヤー全員が手に入れた『世界の真理書【天覇編】』……………
ユニークシナリオの報酬である本を取り出し見せ、キョージュは更に付け加えて述べる。
「尤も、NPCを含めて総勢『数千人』が参加した今回の決戦で、一式装備の存在が知れ渡った事と報酬として渡された真理書
「ノワルリンドさんの一件で敵対していましたが、新大陸先着組の皆さんにも配られましたし、こうして
「──────
キョージュの言い方と視線から、
起動の合言葉たる『
「見れば見る程にジークヴルムだな……………」
「神代に造られた当時の人類がバハムートの外で活動する為の防護服的な役割を担った、一番最初の原初機と同時に現存する最後の一機…………かぁ」
「真理書の記載からして『オンリーワン』らしいが、実物を見たからこそ確信したよ」
「ねぇ、コレわた………オッホン!俺達でも作れる………のか?」
「どうだろう………少なくともペッパーさんが言った、鍛冶師の真なる到達点の神匠まで行けなきゃ、そもそも駄目なパターンだったりするのかな」
「素晴らしい…………!実に素晴らしいッッッ!!!やはり神代の技術は、我々の想像を遥かに凌駕した領域に在ると解る…………!」
三者三様十人十色の反応、そんな中で声を放ったのは天首領と餡ジュであり。
「……………そういや決戦フェーズ中にジークヴルムに似た『ドラゴンみたいな戦術機』が空飛んでたと、家のクランメンバーが言ってたが……………。まさかとは思うが、アレは『ジークヴルムのパワードスーツの量産品』か?」
「スカルアヅチを制圧された時に元PKの京極が纏ってたけど、やっぱりそうなの…………?」
「えぇ。名は『特殊戦術機竜ドラゴメン』…………御二人の予想通り、光輝へと昇る金龍王装の持つ機能の一部を反映した量産品で、戦術機・パワードスーツ一式・専用のリアクターをリヴァイアサン第五殻層『
スッとコンソールを開き、天首領・笑みリア・餡ジュ含めたプレイヤー達にはフレンド申請を送り、既にフレンドの間柄になったプレイヤー達には『特殊戦術機竜ドラゴメンの設計図面のコピー』を一斉に配布し始めた後、彼は唯一度頷く様に首を縦に振って。
そうして返って来た返事を受け取り、一人の見落としも無く特殊戦術機竜ドラゴメンの設計図を送り終えた彼は、ふと思い浮かんだ事が有るので、己の記憶と情報を結び付けて繋ぎ合わせ、先々のシャンフロをプレイする際の留意点として報せていく。
「…………一つ思い出した事が有るのですが、世界の真理書【天覇編】の中に始源眷属の『
此の二つの片割れである左方始源の『赤』は、ドゥーレッドハウル討伐連合で撃破した後に突発的な強襲を食らいながらも何とか倒しましたが、奴は『戦闘開始と同時にドゥーレッドハウルの死体を喰らって其の身をドゥーレッドハウルへと変貌させた』事、そして『金龍王装を纏った者同士による争いが起きた』という記載から、右方始源の緑は『何らかの方法でプレイヤーやNPCにモンスターを
貪る大赤依を勇姿達と共に打倒せしめ、リヴァイアサンで得られた情報をキョージュがライブラリの面々と纏め、シャンフロに携わるプレイヤーへ公開した『始源眷属・貪る大赤依研究資料』は、確かにペッパーが語った情報と一致している上に、当の本人もまた撃破に関わったプレイヤーである事からも確かな『説得力』を含んでいた。
「もし旧大陸で『緑色の変なモンスターを見掛けた』という情報が有る方がいらっしゃいましたら、一人で抱え込まずに知り合いや友達に報告・連絡・相談を心掛けて下さい。始源の存在達は『レイドモンスター』であり、旧大陸だろうと新大陸だろうと、そして色が違えど。其の何れもが『放置すれば厄災を撒き散らし続ける脅威となり』、軈て『取り返しの付かない事態が起きる』と睨んでいます」
此の場には慈愛の聖女イリステラが居る。自分に御告げという名の助け舟を出し、ノワルリンドの傷を一瞬で直してみせ、プレイヤー達にシャンフロに此れから起きる
「此れから自分が述べる事は、あくまでも『仮説に過ぎない事』を留意して下さい。もし仮に始源眷属と始源眷族、両方のレイドモンスター達を放置し続けた先に起きる、取り返しの付かない事態ですが……………例えるならば『其々の大陸となって死んだ白と黒の神』。『黒い鳥の神たるエレボスともう一方の白い亀の神アイテールが復活して、此の世界
墓守の英雄から名と魂を、夜襲の女帝から寵愛を、深淵の盟主から鎧を、不滅の兎の大頭より始源に抗う力を託されて。
冥響の歌姫の試練を越え、天覇の龍王から時代の英傑と認められた其の男は、龍装に身を包めども自分を含めた開拓者達が戦うべき、避けては通れぬ未来を語り終えたのである。
青年が紡ぐ、起き得る未来