プロジェクトは続くよ
新大陸前線拠点から移って、今は随分と懐かしき旧大陸のサードレマ。旧大陸に残されてジークヴルムのユニークシナリオに参加出来なかった者や、まだまだログイン日数の浅い初心者プレイヤー達が多く居る此の街だが、旧大陸でもニーネスヒルやフィフティシアにも比肩する賑わいを見せている。
「という訳でペパ子ちゃん&ヒトミちゃんに着て貰うのは、現パロデート服のテーマは御忍びデートをイメージしようかなと」
「相手役立候補!!」
「は?ペパ子ちゃんの現パロデートだと?相手次第じゃ暴れて良いですか???」
「
やんややんやとプレイヤー達が騒ぎ出し、暴動に発展しそうになったプレイヤーをプレイヤーが引き摺って、最終的に『良い子』にしてから戻ると言った着せ替え隊の面々が、暴れる一歩手前の女プレイヤー二人の首根っこを引っ掴まえて裏路地に連れて行った。
「ツテの御陰で衣装も複数、あーちゃんが確りやってくれてるから写真も良い感じで集まってるねぇ〜」
「まぁ早い所、サードレマで撮るべき写真は撮っておきたいし。……………何より
「ぷわぁああ……………」
「何か殺伐としているのさ………」
「アレが件の始源存在、みたいだね」
「ひぇぇ…………」
『グルル…………!』
サードレマ内で貴族階級の上層エリアに入れる鍵である、エンハンス商会の筆頭株主証明書で入り、貴族街にて『淑女姿のペパ子ちゃんの写真撮影』をしながらも、一同はアイトゥイルの宝物である年季の入った一眼望遠鏡で、遠くに見える『其れの姿』を目視していた。
「高レベルのプレイヤーは一定距離に入った瞬間『五秒足らずで病を発症して死亡、其の病はプレイヤーに伝染して近くの者にも併発していく』。オマケに『発症したプレイヤーが使う魔法は暴走判定になる上に、銃火器にマナを注入しても爆発する』と。…………コレ上級者や廃人プレイヤーは『御断りな気配がする』んだけど……………」
「ライブラリの考察班は『低レベル帯のプレイヤー数百人集めてゾンビアタック&接近袋叩きが最適解』って印象らしいね〜」
「高レベルプレイヤーで弓とかバリスタ使える奴ならダメージ出せる……………か?」
「ラピスさんが作ったっていう『蠍の矢』なら、或いは弩弓タイプの矢ならワンチャン…………」
遠目に見ても突撃したプレイヤー達が咳き込んで倒れたり、胸を押さえて悶え苦しみ息絶え、接近しても本体に蹴り飛ばされたり、ずっと昔の『アーケードゲーム:ムシキングのグー必殺技のガンガンスマッシュ』じみた叩き付け連打で殺されたりと、死体が死体を呼んで死体が積み重なっていく。
「其れに出現位置から少しずつ『サードレマに近付いてる』って事を含めると、シャンフロの運営視点『サードレマ滅ぼそうぜ!』とか邪悪な意志を感じざるを得ないんだよねぇ…………」
「まぁ、やりかねねぇだろうな。此処の運営なら」
「
始源存在達がワールドストーリー第四段階で活性化し、おそらくだがワールドストーリーが『一定の段階まで進行した時点』まで、始源眷属と始源眷族が『一度も撃破されずに生き延びた場合』は、更に厄介になる
グランシャリオにセットして宝玉化していた真理書を見直していたが、深淵編の隠されていた項目の一部が第四段階突入で『解放』されており、其れが『嘗ての時代…………神代の人類が総力を挙げて抵抗した『始原眷属達』の脅威は未だ根絶されておらず、クターニッドは現在の人類を見極め、警鐘を鳴らすのです』の文章。
深淵編で解禁された文章と、貪る大赤依の撃破時のシステム表示、ジークヴルムのユニークシナリオEX攻略後のリザルト画面の大赤依の再出現カウントを踏まえれば、レイドモンスターは『余程の方法で無ければ基本リスポーンする』との見方が出来る様になったのだ。
「おそらく始源存在にも進捗度か何かの『別枠パラメーター』が在るのかな…………?とすると、やっぱり新大陸側の樹海を早く踏破出来る状態にして、新大陸側の始源存在達も見付けられる様にするべきか…………」
「ペパ子ちゃん、其の話詳しく聞かせて貰えませんか?」
写真撮影しつつも一段落付いた所で、思考した先の考えを口にしていれば、旧大陸に残ったライブラリのプレイヤーが声を掛けてきた。武装からしてベヒーモスに永住を決め込んで、始源存在の出現から対処に当たっていたプレイヤーだろうか?
「あ、ライブラリの。えっと、始源の事で?」
「はい。貪る大赤依をツチノコさん達と一緒に倒したと、キョージュから聞きましたので。始源存在達に対する後学の為に、と……………」
チラッと横目で見れば、ペンシルゴンが親指を立てている。レイドモンスターはプレイヤー達が今後多く関わるコンテンツであり、情報の秘匿は『悪手』と考えているのだろう。
元よりペッパーが始源存在の放置は『ゲームオーバークラスの災厄に繋がる』と会談で公言したのを含めて、其の本人が秘匿するのも話の辻褄が合わないという物だ。
「プレイヤーが持っているステータスといった『見えるパラメーター』以外に、プレイヤー個々人が持つ歴戦値や高潔度といった『見えないパラメーター』が始源存在にも搭載されていて、其の数値が一定ラインを超過すると『ステータスやらが強化に行動パターンの変化』が起き、仮に『討伐でリセットされる』とすれば放置は駄目なんじゃないかな………と」
「つまり出現を確認したらリスキルが正解…………みたいな?」
「まぁ極論というか、理想と言うか、そんな認識で良いかと。ただ始源存在によっては、逆にリスキル返しをする奴も居そうな印象が有るので、其々の特色を把握しないと難しいかと」
赤竜ドゥーレッドハウル討伐後の突発的な強襲からの戦闘開始の事例が有った様に、リスキルしようとしたら逆に殺られて居たという事案も出て来るだろう。
オマケに
「ペンシルゴン。取り敢えず次の衣装撮影終わったら、気分転換にブルーポニーをぶん殴ってくる」
「OK、セーブテント建ててね」
一先ずプロジェクト・オブ・ペパ子ちゃんを進展させつつ、プレイヤーの情報では青い仔馬らしい始源存在をぶん殴るべく、ペッパーは頭の中で作戦を練っていくのだった…………。
挑め、青の仔馬へ