取り敢えず、殴ってみよう、一発と。気分転換、何時も大事
─────────ペパ子ちゃん、心の一句
サードレマ貴族街にて一通りの写真撮影を完遂し、やって来たのはセカンディルとサードレマの間を結ぶ道。今尚歩みを止めぬ
「いやちっさ」
「馬、というか『ポニー』だなアリャ」
「小さ過ぎて逆に遠距離が狙い辛いって印象が有るな」
「戦術機を使って遠距離武装で狙ってる奴も居るみたいだが、まぁ結果はマナ注入時に暴走起こして自爆がオチという」
「高レベルプレイヤー御断りな雰囲気が益々強まったわ」
低レベル帯でも下手すればアウト、高レベル帯は足手まといという二重苦、出現位置からしてシャンフロ初心者推奨レイドモンスターとの認識が強まる中、大疫青を見ていたサンラクがライブラリのプレイヤーにこう言った。
「ん〜…………あ、そうだ。
「えっ、マジすか!?」
「良いっすねぇ!!!」
サラッと此方まで巻き込んだ半裸の鳥頭を見ながらも、考えれば奴の病の範囲が『如何程なのか』を探るのに、空中からの接近による発症が起きる事が判明すれば、確かに一理有るという物。
何よりライブラリや他のプレイヤーの情報を精査した結果、大疫青による発症条件は『呼吸感染』であり、其の上『皮膚呼吸』すらアウトの疑いも掛かったらしく、多分ペパ子ちゃん状態でなければ情報収集もスムーズに進まなかっただろう。
「取り敢えずペッパーはエムルを預かっててくれ。作戦名は『真っ直ぐ行ってブッ飛ばす』だ」
「解った。ライブラリのプレイヤーさん、他の皆さんに声掛けを御願いして、サンラクの作戦遂行の邪魔にならない様にして下さい」
藍色の聖杯を使用してステータスの入れ替えを行うサンラクを片目に、ライブラリや近くのプレイヤー達に行動を伝えていけば、雷の音がサンラクの居る場所から響きて、星の光が満ちていく。
両手に着けた
「撃鉄起動、左右確認、ステータス強化、後は………あー『真っ直ぐ行ってブッ飛ばす』の作戦概要。真っ直ぐ行ってブッ飛ばす…………以上。其れと何か良い感じのコメント有る?」
「コメント、コメント…………。あ、こんなんどうです?『実験記録:◯月✕日………今回の実験が成功すれば、人類は次なるステージへ進めるだろう………』なんて」
「其れゾンビ系のゲームで失敗するフラグ的な台詞じゃん………」
ラスボスとか作中最強のモンスターに関するヒントが書かれたファイル的な物に出てくる文章な台詞を吐いたライブラリのプレイヤー。そんな事は気にしないとばかりに、死に逝く事すら『ゲームならば』何の問題も無しと、サンラクが宣言するが如く高らかに叫んだ。
「ヨッシャ!超高速の追突事故を起こした場合、彷徨う大疫青はどんな挙動をするのか確かめっぞ!!!」」
「ヒュー!かーっくいー!」
「良い画が撮れそうですねー!」
ライブラリや他の面々もノリノリの中、発動するは
人が空に緩やかに吹っ飛び、辛うじて感覚強化スキルで僅かに追えたのは、サンラクが臨界速の三歩目にバランスを崩しながらも、四歩目に体勢を大疫青の方角に向き直して、五度目は両足同時踏み込みで『兎跳び』なモーション。
「くたばれ弾丸頭突き魚りゅっ!!?」
『Brrrrrrrrooaaaa!?!?!』
刹那の声から舌を噛み、ブッ飛んだサンラクが大疫青の胴体と衝突して、互いに『くの字』となりながら別々の、しかしてサードレマとは逆方向へと飛んで、首から地面に叩き付けられながら数回バウンド。
暫くしてサンラクが、臨界速と大疫青の病に体力が削り取られた事でポリゴンと化して消滅から、セーブテントより這い出して。側面衝突事故を引き起こされた大疫青は、着弾箇所からダメージエフェクトのポリゴンを放出しながら立ち上がれど、あからさまとも言える『警戒』の色を纏っていた。
此の機を逃さぬとばかりにプレイヤー達が大疫青と突撃し始める物の、やはり高レベルのプレイヤー達は病に苦しみながら脱落して行くのが遠目でも解り、彷徨う大疫青は『初心者用の始源存在』だとペッパーは確信するに至る。
「ぷ、ふくくく…………サンラク君、舌噛んでたよね…………フフフフ」
「凄い威力だな、サンラク」
「うるへー。あんだけのスピードで喋ると、漏れ無く噛むんだよ」
「ツチノコさん、最高の画が撮れましたよ!」
「動画サイトに挙げるなら、タイトルどうする?」
「シンプルに『馬に砲丸頭突きしたったwww』とか?」
「そいやあの馬、何か
「「「「「「其の話、詳しく」」」」」」
サンラクが零した情報、其れを聞いたライブラリやペンシルゴンにペッパーと、プロジェクト・オブ・ペパ子ちゃんの参加者の一部が反応し、彼の方に注目が集まる。
「デスポーンする前に見た青馬の背中に、蝶とかの蛹の脱殻で見られる『妙な亀裂が在った』。自傷にしては何か変だし、多分俺が突っ込む前から在る傷だなアリャ。其れから
「始源存在は複数形態持ちだから、脱皮したら形態移行するんだろうな…………」
「骨だけになったら、其の後どうなるんだろね?」
沈黙の果てに出た答えは、もう一発大打撃を叩き込むという物。其れで大疫青の第二形態を引き出せるなら良し、引き出せずとも他のプレイヤーで兎に角削って移行させるという方向で進む事に決め。
「よし、ペンシルゴン。アイトゥイルとディアレにノワを預かってくれ。今から準備整えて、大疫青の頭上にタライ落とし(俺が)を決めて来るわ」
「はーい」
「私達はプレイヤーと連携して、奴を動かさない様にしましょう!」
最大速度の一撃に続き、最大高度が一撃を叩き込む。プレイヤーのボルテージが高まり、ペッパーはセーブテントにてセーブと装備品のウィンドウ位置を調整から戦場に躍り出るや、持ち得る強化スキルを使い尽くし、同調連結スキル:
成層圏ギリギリまで飛んで重力系干渉スキルで体勢を真下に変更、視覚系と感覚系に自傷スキルの点火からの同調連結スキル:
重力補助効果が切れる最中、盾を構えて透視スキルを点火しつつ、心拍数が一定ラインを超過したのを確認から合唱によって
「大質量タライ落としアタァアアアアアアアクゥウウウウ!?!!?」
『Br─────────!?』
五歩の乗算速度に、シャンフロのタンク職に革命を起こした装備、かの赤竜ドゥーレッドハウルも正面からの激突で『一方的に吹き飛ばした』、城塞の如き堅さに重さの二つを併せ持つ鎧が真上から……………其れも『臨界クラスの超高速で脳天に落下して来た』ならば、下手なモンスターはグシャッと潰されて肉塊所かペシャンコ不可避、ポップ基調のコミックならペラペラ表現が施されるが、相手は腐ってもレイドモンスター。
ペッパー渾身の超重量タンク装備タライ落としを脳天に食らって、頭が地面に埋まっただけで済んでいる辺りから耐久自体も並大抵では無いらしく、大ダメージを受けたポリゴンを頭から撒き散らしながらも未だ健在とばかりに立ち上がり。
「くっ………………ん?」
大質量の落下攻撃後、大疫青の発症圏内に転がり落ちたペッパーは病に侵され、体力が削り取られて死に至る中で見た光景は─────────
サンラクが言った背中の亀裂が広がり、脱皮するが如く中から『骨だけのペガサス』と形容出来る様な、仮称:第二形態へと移行した彷徨う大疫青の姿だった。
馬が皮を脱ぐ