VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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まだまだ続くよ戦いは




舞いて踊る君に、美しき光あれ

特殊とも言うべき、上級者御断り疑惑満載のレイドモンスター・彷徨(さまよ)大疫青(だいえきせい)の討伐を果たした後は、其れはもう大変だった。

 

深淵のクターニッドの権能(チカラ)を宿した深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)に対する質問や、変形・分離・合体機能を搭載している宝鍠趙弩剣(シャガル=ニュア)に対する質問や、長射程から大疫青を射抜いた水晶蠍の矢(クリアス・アーテアリ)に対する質問や、雲の鎧と羽衣を纏う力を齎した封雲の撃鉄(タイタントリガー)(スペリオル)に対する質問が出たりと、大疫青で獅子奮迅の活躍をしたペッパーは質問会終了後、パワードスーツ越しながら物凄い『ゲッソリ』とした顔をしていて。

 

ライブラリのリーダー・キョージュには伝書鳥(メールバード)を通じて、今回の一件を含めて事情を説明。レイドモンスターの討伐一番乗りという映え有る栄誉を手にした翌日、プロジェクト・オブ・ペパ子ちゃんの参加プレイヤーとNPCの面々がやって来たのは、旅狼(ヴォルフガング)創設メンバーのペッパー・サンラク・オイカッツォの三人が、墓守のウェザエモンとの戦いに備えてレベリングをした、今は懐かしき隠しエリア『涙光(るいこう)地底湖(ちていこ)』。

 

其処の一角にドラマ撮影で使う様な『簡易建物セット(社バージョン)』をインベントリア所持プレイヤーが取り出して、撮影機材持ちと同時並行で水上設置の位置調整を行い、他プレイヤーは地底湖内のライブスタイド・レイクサーペントを狩って、ライブスタイド・デストロブスターが一時的に出現(ポップ)しない状態にするべく水中に潜らんとし。

 

直前にデストロブスターの鋏に挟まれて両断されたり、捕まえられて引き摺り込まれたり、水中に飛び込んでから十数分後にデストロブスターを素材に変えて水面に浮かんだ者や、デストロブスターにやられてデスポーンから戻った者と居たが、当初の予定通りレイクサーペントの一時的な枯渇状態を作った上で撮影開始。

 

此の日最初のテーマは『水面に浮かびし天女なるペパ子ちゃん』らしく、ペンシルゴンによれば『大自然の中で立つペパ子ちゃんを映させる為には、何とか水上に()()()()()のでは無く、水上に()()()()方向で進めている』という。

 

………………だが此処で参加者からは、此の問題に自らの意志で立候補したまでは良かったが、其の内容が「ペパ子ちゃんの足場になりたい」「寧ろ踏まさせられたい」「足同士がくっつけば相思相愛」という不純所か一周回って気持ち悪い発言が飛び出した事で、聖杯を使ってペパ子ちゃん状態になったペッパーは『うわぁ…………』といった赤羅様なまでのドン引きと嫌悪感を表情として滲ませ。

 

が、其の表情は『ペパ子ちゃんに死んだ目で見られた』という変態紳士淑女の皆々様には『闇デレ』『ヤンデレ』『クソ物を見る目』『ありがとうございます!』とクリティカルヒットした様子で、ペパ子ちゃんの必殺ボイスで脳波異常を出した時の再演とも呼ぶべき混沌の炸裂&スクショの雨霰が起きる中、設置完遂からペンシルゴンが音頭を取った事で水上立ち撮影が敢行。

 

衣装は和をテイストした巫女服や神事に使う女物の服、ゲームでも高レアキャラや重要キャラが着ける物に、随分ヒラヒラが多い物やらインナーと共に着付ける物等の様々な衣装による写真撮影が行われて、肝心のペパ子ちゃんの足場問題はペッパー自身が持つスキルで水上に浮かぶ事で解決し、プレイヤーの一部は血涙を流しかねない勢いで視線や、或いは歯軋りしたのだった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地底湖の水上に設置した社セット、見た目は本格的な大河ドラマ等の撮影に使われる様な物であり、コレ持って来たプレイヤー曰く『リヴァイアサンでスコアを貯めて建築関係の情報ファイルをアンロックしたら、簡易建物セット製作のデータが手に入った。序にディプスロさんにファストトラベルで新大陸から旧大陸に送って貰いました』と、色々と役立つ情報を貰う事が出来た。

 

そうして衣装を纏い、奉納や催事に用いる神楽鈴(プレイヤーメイド&リヴァイアサンのデータ閲覧で製作)を受け取り、神楽に纏わるアレコレを記載したノートを見せられ、休憩時間と並行して目を通していればペンシルゴンとノワ、アイトゥイルにディアレとヒトミが歩み寄る。

 

「あーちゃん、大丈夫?」

「大丈夫かって聞かれると、だいぶ病的な人達が集まったって確信したね…………」

「ペッパーはんは人気者なのさ」

「不純な者も多かったがね………」

同意(うむ):契約者(マスター)は本当に良く頑張っているよ」

『ワゥン』

 

神楽に関するノートを読む手を止め、自分と共に来てくれる仲間達や恋人の姿を見、ペッパーは苦笑する様に言った。ある意味ヤケクソの、ある意味では割り切った視線を含めど、やるからには此のプロジェクトを『絶対に成功させる』と決意しているかの様で。

 

「其れにペンシルゴンが『何時もこんな風に仕事をしているんだなって学べたし』、何時か皆の写真集を出す時は『疲労や飽きが来ないプランニング』をする良い経験になったよ。……………ってどうしたの、ペンシルゴンさんや?」

「──────あーちゃんさぁ………。君ホント『そういう事』を素面(シラフ)で言えるのが『スケコマシ』って言われるんだよ」

「何で!?」

 

怒っているのか、喜んでいるのか、はたまた両方なのか、或いは何方とも違うのか。

 

そんなゴチャ混ぜにしながらも、少なくとも己の恋人(ペンシルゴン)相手に『クリティカルを出した様な気配』を感じながら、ノワが構ってムーヴを全開にして来たので撫で撫でしつつ落ち付かせ。

 

そんな中でノワがペンシルゴンに『ドヤ顔マウントを取った』所、黒幕魔王と夜襲の分け身によるバチバチな火花を散らし合う光景に、彼女()は遠い目をしていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「廃人狩りが、廃人狩りが雌の顔してる…………」

「悪名高い元PKerのアイツか?アレがペパ子ちゃんの力だとでも言うんか…………?」

「何か凄い物を見た気分だわ」

「いや見ちゃいけないの間違いでしょ…………スクショ撮ったけど」

「うん、多分消されるな俺…………」

「サバさん、サバさん。ペンシルゴンってあんな感じだったんすか?」

「んな訳ねーだろ。少なくとも数カ月前のアイツとの『ギャップが凄まじ過ぎて』、見てる此方が風邪引くわ。今まで風邪引いた事ねーが」

「えっ」

「え?」

「えっ?」

「…………あん?」

「…………何かすいま、あっちょっ!?サバさん待って待って!?人殺し(PK)の目をしてる!?」

「ちょっと脳髄に消えない様に、物理で『オハナシ』するだけだ。ツラ貸せや」

「あ"ーーーーーーーーー!??!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休憩を挟んで神楽を舞う為の準備を整えれば、何故か数人のプレイヤー達はフルボッコにされて戻って来たりしたのを見つつ、ペッパーは己の身一つで神に奉納を行う神楽を踊り。

 

集中力からなる其の真剣な目付きと、全力で事に当たる確かな姿勢は素晴らしい絵となり、プロジェクト参加者達の記憶の一部として、同時に写真の一つとして残る事になったのだった。

 

 

 






儚い様に、しかしながら美しく


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