VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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迷った時は地獄に飛び込む。其れは時と場合に思考をシンプルにする

キリューシャン・スフュール"恕志貫徹(ファースリィオ)"の新鮮な肉を青竜エルドランザに渡そうとし、ヒュクノティム達から文字通り『待った』を掛けられ、此の世界(シャンフロ)で食の全般に関わる商売を行なっている『カルカダ=コラス商会』の会長から、クラン:スペリオルアビスを通じて面会を申し出られた日から翌日。

 

場所は旧大陸のフィフティシア、嘗て二つの狼の戦い(狼双戦争)の為にクラン:ライブラリが主体となって作ったコロシアムの近くに在る、カルカダ=コラス商会の本拠地にペッパーとペンシルゴンに帽子に擬態したゼッタとコートの中にアイトゥイル&ディアレを隠し、足元の影にノワが潜伏とインベントリア内にヒトミとニーナを収納してゲートを利用したファストトラベルで。

 

ディープスローターの協力でファストトラベルして新大陸から旧大陸に戻った、スペリオルアビスのクランリーダー・ヒュクノティム含むメンバーの一部と共に、彼と彼女は『VIP待遇』で入場を許され、金髪夕眼の紅いドレスに身を包む現商会長の『エリムス・ティルテェナ』と向かい合ったのだ。

 

「初めまして、ペッパー様。私は『エリムス・ティルテェナ』、此のカルカダ=コラス商会の八代目会長を務めておりますわ」

「御初に御目に掛かります、ティルテェナ様。私はペッパー、ペッパー・天津気(アマツキ)と申す者。此方はアーサー・ペンシルゴン、自分と同じ仲間内であり大切な人でも有ります」

「初めまして。御紹介頂きました、アーサー・ペンシルゴンです」

 

コートの名前隠し機能を一度オフとして頭上に表示し、彼女がコクリと頷いたのを見届けた所で再びオンにして隠す。ペンシルゴンは此の手の交渉状況では本性は晒さず、努めて冷静に猫を被った状態を維持する中で本題は切り出される。

 

「嬉しい事に商会に協力して下さっているヒュクノティム様と其の仲間の皆様から、蒼空を舞う勇者として名高く。同時に『深海の果てを見し勇者』とも呼ばれる貴方が、()()有名な『深海の極至宝(プレミアヴ・アビス)』とも謳われ称される、キリューシャン・スフュールの不世出個体を討ち取り、其の肉を一切劣化しない力を持つ魔法の鍵によって保管していたと、そうヒュクノティム様達から連絡が入って来ましたわ」

「深海の果てを見し勇者……………ですか」

 

最大潜水で付いた異名が其れかと思いつつも、こういう場合は回り道より直線直通で行くのが早いとばかりに、彼はインベントリアからキリューシャン・スフュール"恕志貫徹"の肉を取り出し提示すれば、やはりと言うか彼女の目は丸くなった。

 

「まぁまぁ、まぁまぁ…………。此れは、流石に予想以上、ですわね…………。こんなに大きく、更には完熟した果実にも引きを取らない甘露な香りは、間違いなくカルカダ=コラス商会に連綿と言い伝えられた、キリューシャン・スフュールの匂い其の物…………」

「他にもアルクトゥス・レガレクスやスレーギヴン・キャリアングラーの食用肉に、深海で捕まえた魚が有りますが…………」

「……………え?」

 

商機を感じた、こうなれば最早止まりはしない。インベントリアを操作し、赤竜討伐戦前にアスカロン修繕の為に深海へと潜った際に、恕志貫徹と空母鮟鱇の戦闘で手にした魚に魚肉を取り出して行く。

 

やるならとことん、満足するまで徹底的にだ、海の幸の津波の連鎖に沈め───────!

 

「コレとコレとコレにコレ、後はこんなのとかも有るし、他には……………」

「あーくん、ちょっと………ちょっとストップ」

「ペッパーさん、ちょっと待ってタンマ!?!」

「え、どうしたんです?」

「会長さんが泣いちゃった。感動やら情緒グチャグチャで」

「えっ」

「流石の自分でもドン引きですよ…………」

「…………わぁ、ぁ………、ぁあ……………」

 

どうやらクリティカルのガトリングによるオーバーキルレベルでやり過ぎたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、感動で咽び泣いていたティルテェナが泣き止んで、此の魚達を加工してから王国に卸す事が決定した事と、今回の一件で此方が望む要望を『カルカダ=コラス商会に出来る範囲で幾つか叶える事』が決まり、早速其の権利を行使する為に交渉だ。

 

ヒュクノティムと他のメンバーは待機、ペッパーはペンシルゴンと共にVIP専用の商談室にてティルテェナと改めて向き合い、早速交渉へと入る。

 

「さて人払いは済ませたから、早速交渉しましょうかティルテェナさん。私の要求は……………そうだね、カルカダ=コラス商会の言伝を使って『エインヴルス王国の王城に入れる様にして欲しい』んだ。出来れば迅速が一番だけど、多少時間は要しても良いし、何なら『手段も一切問わないから』」

 

開口一番、初手からトンデモ発言を繰り出したペンシルゴンに、ペッパーはいきなり大火力を叩き付けた恋人の顔を見て、黒幕魔王の言っている事にティルテェナも動揺を隠せない。

 

何れ起きるトルヴァンテ派とアレックス派による、新旧派閥による戦いを見据えているのか、はたまた『別の目的か計画』を画策しているのかは知らないが、其れでも彼女自身がヤバい事を画策しているという点だけはハッキリと解る。

 

「王城に入る、ですか。…………でしたら後日にはなりますが、キリューシャン・スフュールの肉を王へ献上するの礼を頂く際に、私と共に王城へと向かう…………という建前ならばどうでしょうか?私は城内を自由に歩く事は出来ませんが…………御二人は何らかの方法で『顔や正体を隠した状態』にするか、或いはペッパー様の御協力を頂く形で行けば…………」

「OK。私としても王城内部を確認出来れば良いから、其の方向で話を進めよう」

 

ペッパーという存在のネームバリューを用いた突破戦略で行く方針となり、ペンシルゴンの交渉は終結し。続いてペッパーとティルテェナの交渉となる。

 

「ティルテェナ様。私が望む事は一つで、商会の持ち得る伝手を使って『神の御業を使える鍛冶師』、或いは『神匠と呼ばれる鍛冶師』の捜索をして頂きたいのです」

 

ヴァイスアッシュからのユニークシナリオを受けたペッパーにとって、神匠が扱える概念形成(コトナリ)の技術を目視した上で世界を知り得し旅兎王装(モポルシィーヴ・リフトゥルー)を装備し、霊角(れいかく)残影(ざんえい)を用いた逸品を製作する為にも、絶対に探し出さねばならない存在なのだ。

 

ペッパーとしては神匠探しのヒントが無くとも、ビィラックやイムロンにラピス含めた他の鍛冶師を育て、神匠にした上で概念形成を行える状態にする事で鍛龍製作を視野に入れている訳なのだが、果たして其れは運命の悪戯か、はたまた神の定めた道の上なのか。

 

ティルテェナはペッパーとペンシルゴンが驚く、とんでもない情報を二人に提示したのである。

 

 

 

 

「…………()()()()()()()、ペッパー様。其の業を扱う事が出来るという、神匠なる鍛冶師について」

「えっ?」

「ほぅ?」

「其の者は『当代の王認勇士様が持つ剣』を作られた方で、普段は御弟子さんに槌を振らせていますが…………。年に一度フォルティアンで行われる『御祭』での優勝者に、自らの鍛冶を用いて『偉業を讃える武器を作るという』、フォルティアンにて住を構える『ちょっとした変わり者』なのですのよ」

 

 

 

 

魚達をインベントリアから取り出しまくり、クリティカルを含めて彼女の好感度を一気に稼いだ事が原因か。

 

ティルテェナはペッパーとペンシルゴンに、有益な情報を提供しに来たのであった…………。

 

 

 






神の鍛冶師への情報


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