来たるは神業の鍛冶師
「ゴホン……………いや本当に、見苦しい姿を晒した。オレは『マグヌス』、一端で凡百の鍛冶師だ。周りからは『神業振るう鍛冶師』……………なんて、御大層な通り名を貰っている。コイツは『リーア』、俺が育ててる鍛冶師だ」
「どうも。家の師匠が本当にごめんなさいね」
悲鳴が上がって数分後、戻って来たリーアの案内で工房の奥へと案内されたペッパー達一同が其処で見たのは、漫画やアニメ等のギャグシーンの様なノリで『頭に大きなたんこぶを複数乗せた老年の鍛冶師』で、其の見た目は何処か『
ティルテェナ曰く此のNPCが神匠との事らしいが、雰囲気
何せマグヌスの視線は先程からペッパーの手首を、正確には右手首に付いている
「マグヌスさん、自分の右手首に付いている
「ん?あ、いや…………何と言うか。…………『数十年前に出会った兎さんの気配』を、其の腕輪から犇々と感じるんだがな………」
自分から『答え合わせ』をしてくれた─────────此れでマグヌスは、ビィラックの言った『ヴァイスアッシュが嘗て逢った人間の鍛冶師』というのが確定した瞬間で。
「成程。…………
其の言葉を聞いたマグヌスが目を見開き、此方を見つめている。何故、其の名を知っている?と…………此方に無言で訴える様な視線が突き刺さる中、ペッパーは回りくどく行かず『当初の目的を果たす為』に、真向勝負で話を進める事にし。
「此れはヴァッシュ先生が昔作った腕輪であり、其の御子息の方が改良した物です。腕輪を贈った者が強くなる様にと、願いを込めて…………。そして自分と此方に居るペンシルゴンに他にも数人の開拓者がヴァッシュ先生に認められ、彼の手で致命の名を持つ武器の真化を行って貰ったり、単一素材で
其の証拠をマグヌスに示すが如く、インベントリアを操作して
続くペンシルゴンも
「俺はヴァイスアッシュ先生から、始源の存在達に抗う為の力、先生が十日十晩飲まず食わず眠らずの鍛冶の果てに、其の人生で培った力を込めた鎧を─────────
そう言って彼は駄目押しとばかりに、神代人類が惑星ユートピアへの旅路で乗って居たバハムートの二番艦・リヴァイアサンで入手した格納鍵インベントリア、其の中に入れた世界を知り得し旅兎王装をマグヌスに見せ。
「単刀直入に言います、マグヌスさん。自分に神匠に到達した者にのみ振るう事が許された鍛冶技術を─────────概念を物質へと変える事を可能にする、神の御業・
深々と頭を下げて述べれば、マグヌスは強烈な目眩に襲われた様に振ら付いた後、暫く喉を鳴らして凄まじい表現で悩みに悩んで、悩み抜いた果てに彼は「……………少し待ってくれ」とだけ言い、更に奥に籠って。
其れから更に十数分、捩り鉢巻きと髪を後ろに纏め止め、鍛冶場装束に着替え直したマグヌスが戻って来るや、ペッパーとペンシルゴンにリーアを見た後、ニヒルな笑みを浮かべて言う。
「ペッパー、ペンシルゴン、そしてリーア…………神匠を目指すんなら、オレの後に付いて来な。鍛冶師の至高にして頂点、人の身で辿り着いた鍛冶の極点たる
数十年前にヴァイスアッシュと出会い、鍛冶師の至高の極点たる神匠へと昇ったマグヌスの案内で、ペッパー達一向は地下に続く梯子を降りて地下道を進み。
途中複数の南京錠で施錠された鉄格子を彼が開け、案内された道を進み続けて辿り着くは、中世の鍛冶工房というべき炉や道具と、其れとは似つかわしく無い近未来の機械が混在する、赤煉瓦が敷き詰められた壁や床という空間であった。
「随分久し振りに此処を使う…………。最後に籠ったんは王認勇士様の立ち会いの元、精霊が宿るに相応しい剣を打った時以来か…………」
「マグヌスちゃん、王認勇士のアルブレヒトと知り合いなの?」
「……………まぁ、な」
王認勇士のアルブレヒトなる存在は知らないが、恐らくエインヴルス王国の騎士か何かなのは間違い無い。問題は
「さて…………。依頼は神の御業、神匠が扱える
「はい。実演の為の材料は『コレ』を使って下さい、マグヌスさん」
そう言ったペッパーがインベントリアを操作、取り出したのは
「こりゃあ驚いた…………、まさかコレは『黄金の龍王の角』かい?」
「はい。新大陸にてジークヴルムさんからの試練を越えた開拓者の中でも、角を壊す偉業を成した開拓者に与えられた概念の存在ですから」
「そうか…………。いやしかし、こんだけの品を渡されちゃあ、此方も一切手を抜けなくなっちまったな………!」
表情は固くとも笑みを、其れで居ながら神匠として此程『滾る』品はそうは無いと、マグヌスはペッパーから概念の其れを受け取り金床へと乗せる。
捩り鉢巻きを締め直し、鍛冶場装束を捲り上げて気合を入れた神匠は、数多在る鍛冶道具の中から『水晶球体が埋め込まれた手袋らしき物』を片手に装着し。
「お前さん達。目をカッ開いて、確り見届けな…………瞬きすら惜しいと想えるぞ」
マグヌスの声が、皆の注目を集める。
そして今此処より、神匠の御業たる概念形成が開始された。
示すは神業