実演
かつフルスペックを発揮可能な者にのみ使用を許された、世界に発露した概念や現象の存在に質量や命を含めた要素を『与える』事によって、加工を可能にする超常の御業の名前である。
名匠鍛冶師が行う真化が、持ち主が握る武器に宿る経験を読み解き、武器を真なる姿へと変革する様に。
古匠鍛冶師が旧き時代の遺物や、英傑の武器の宿す声を聞き届け、必要となる物を語れる様に。
神匠鍛冶師は武器が成し遂げた偉業を称え、概念の存在を世界へ顕現させ構築し、神なる武器へと変える御業を振るう事が出来る『極致の領域』であり、そして『至高の到達点』の技術。
世界に漂うマナを用い、宿った記憶を読み解き、偉業や現象という見えない事柄を、見える形へと変える…………謂わば『解析解読と変質付与の高次元両立究極鍛冶魔法』─────────其れが
「─────────【概念形成】」
ヴァイスアッシュと出逢い、人の身で鍛冶師の極点たる神匠に昇ったマグヌスが、手袋を翳して空気を…………正確には此の工房内に漂う『マナ粒子』を掴み、其の口から一つの言霊を紡ぐ。
そうしてもう片方の手は指先で
掴んだマナ粒子を細い糸として、展開された魔法陣の文字や陣形と重なり、天を覇する龍王の輝ける角を圧し折った栄誉という、栄光と偉業の概念の存在である筈のジークヴルムの角が、少しずつ彼等彼女等の前で『目に見える状態』に成り始めたのだ。
(凄い…………)
ペンシルゴンも、リーアも、そしてペッパーですら。コートの中に居る兎達、装備に擬態している兎に、影に隠れている夜の帝王の分け身、インベントリアの中から外を見ている
彼が握ったマナ粒子という糸が、振るう指先で霊角の残影から出て来た魔法陣と結び付き、少しずつ確実に
「俺から言えるのは、概念という存在は『掴めない霧』や『形の無い雲』、或いは『不定形の水』に『見えれど触れられず避けられない死の風』って
形の無い物、見えない物、触れられても擦り抜ける物。其れは普通の方法では、決して捉える事は出来ない。
「だからこそ…………。霧はより冷やす冷気を与える事で、其処から氷や水を発露させ、雲は雨や雪を産み出し始め、水は固まり氷や氷河となる様に。形の無い存在を形在る物に変える事で、其れを手に取り扱う技術…………其れが概念形成の御業で在り、鍛冶の極致と…………俺は考える」
世界に存在する理を知り、歴史と歩みを識り、紐解き紡いで形とする、其れが概念形成なのだとマグヌスは言いつつ、其の手は止まらず、魔法陣とマナ粒子の糸を繋いで行く度に、龍王の角は概念という存在から、実体を持った逸品に変化を遂げて─────────。
「ふぅ………………出来たぜ、ペッパー」
そうして一言述べたマグヌスが、出来上がった『其れ』を…………概念形成によって概念から物質へと転じた、霊角の残影を作業台に置く。
其れは黄金の光を放ち、其処に在るだけでも周囲を輝かせ、普段は目に見えないマナ粒子達を
恐る恐る手に持てば、確かな重量と内から溢れる力の奔流が掌を通じて犇々と伝わる中、ペッパーはインベントリアに入れてフレーバーテキストをチェックする。
神匠の御業たる
神の名を冠する鍛冶師の手により物質へ至った、至高にして至上の輝きを宿す、黄金龍王の冠を砕きし栄光と象徴の証。
其れは世界に発露せし概念、神の御手により空想より顕われ、
概念より物質に変革せし今、此の逸品は作り担う者の手により、新たなる姿に変わる。
武器・防具・アクセサリーの素材、及び武器の進化・真化・神化の素材として使用可能。
マグヌスの手によりバージョンアップを受け、概念の存在だった霊角の残影は逸品の素材として、此処に使用可能になっていた。
バージョンアップ前はアクセサリーとして装備すると、アバターに角が生えて装備中の武器にマナ変質効果を付与する能力が有ったが、今の状態は素材化した為に装備出来なくなっているが、今の状態の角ならば武器や防具にアクセサリーへの素材に留まらず、幅広く強化出来る点からも大きな一歩と言えるだろう。
「ありがとうございます、マグヌスさん」
「良いって事よ。兎さん……………ヴァイスアッシュによろしくと伝えて来れ」
「解りました。任せて下さい」
此れでヴァイスアッシュが作った天下五剣の一工・
後は自分自身が覇龍の煌角を使い、如何にして鍛龍に比肩する逸品を創り出せるかという点だが、既にジークヴルムの角以外で使う素材には『目星』が有るので、後日取りに行く事を確定としつつも、ヴァイスアッシュにマグヌスの言葉を伝える事にしたのであった……………。
ペンシルゴンはマグヌスとリーアに何かを話しているが、既に嫌な予感しかしないのは気の所為では無い。
今度は自分の番