VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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神業の後に




幕末よ、今此処に起こすは、乱世の大火

ヴァイスアッシュからのユニークシナリオ【神の御業:龍角を覇刀に変えて】に置いて、覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)を製作してクリアした翌日は、此迄の疲れやイベントやらを加味してゲームをせずに御湯を溜めて風呂に入って確り休み、布団を敷いてぐっすりと眠った。

 

9/14、昨日は幕末のイベントについて情報網で調べたが、状況は現在かなり混沌としているらしく、どういう訳だが『祭囃子:サンラク』が幕末のイベントランキングで一位を走り、其の後を『レイドボス:ユラ』が二位で、三位には『俺達の勇者:当千』が続いているそうだ。

 

他にもまだ生き残っているランカーでは、花火含めた爆破物持ちの範囲攻撃を得意とする『紅蓮寧土(グレネイド):フラバン』に、天誅と書いてチェストと読む『吹雪狩:誠意大将軍』、更には上半身鎧兜下半身褌で木槌(ハンマー)装備の変態『狂犬:十文字大福』や、巡り巡ってランキングが変わりやすい幕末でランキング十位を死守し続ける『被下克上:串勝』。

 

他にもサンラクに導かれて幕末にやって来た『京極(キョウアルティメット)』や、竹林地帯では()()ユラにすら届き得る実力者『グングニルかぐや』、幕末にて自分をキルした『刀雨』の異名持ちの『グラビ帝』等、まだまだ歯応えと倒し甲斐が有るプレイヤーがゴロゴロ残っており、既にイベント開始から数日経過時点で残ったリスキラープレイヤーも粗方倒された為に数少ない。

 

イベントランキング上位を誰かがキルすれば、漏れ無く全員から敵対対象としてロックオンされ、かと言って逃げ腰になってはヴォーパル魂が死ぬと思うので、後悔しない戦いをしよう。

 

「よし、往こうか……………!」

 

いざ幕末の初イベント『極限月下』へ─────────!

 

 

 

 

 

 

 

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「辺りには居ない─────────いや天井裏、竹槍貫通天誅っ!」

「ぎゃぼぶ!?な、びげぶり…………ッ!?」

「気付かない…………と思ってたみたいですね。残念ですがリスキルは別ゲーでも飽きる程に経験したので」

「こ、ごのぶらみ、……ばらさでゔぉく、べき、かっ…………!」

 

覚醒(ログイン)直後に天井裏からほんの微かながら『違和感』を感じたので、イベント準備期間で用意した竹槍で天井を突き刺せば、待ち伏せしていた幕府側のプレイヤーの首を穂先が貫通し、其のままダメージ表現のポリゴンを撒き散らして死亡判定が下される。

 

竹槍は放置して、そそそっと部屋を出つつ周囲にレーダーを張り巡らせれば、イベントでキルされた事で怨霊となり脱落したプレイヤーを複数人目視。

 

「……………!」

「………………!?」

「─────────!!」

「取り敢えず彼等彼女等も利用出来るなら、きっちり利用しなきゃね…………」

 

幕末とは斬って斬られての戦いでも有り、同時に其の御祭(イベント)は最終的な収支を…………楽しさやアイテムであれ、其の要素を『収入(プラス)』とする為の戦いだ。

 

負ければ文字通り其処で終わり、バトルロイヤルルール+デスゲーム方式の此のイベントは、怨霊達は生者に取り憑く事が出来る&御祓以外で剥がせないというルールが有り、ペンシルゴンの視点に置き換えて考えれば、此の怨霊はやり方次第で『敵味方にも変わる生者に干渉する偵察ユニット』と捉える事も可能。

 

という訳で裏切る事も視野に入れつつも、暇をしていた怨霊数人を上手く買収から、一番厄介な範囲爆破攻撃持ちの紅蓮寧土と、乱数次第で脳天唐竹割りにされかねないグラビ帝の二人を排除する方針で、遂に『血煙:ブラッドペッパー』が動き始め。

 

そして其れは別の怨霊達を通じ、怨霊を買収して動かしていた残存プレイヤー達にも届いた事で、イベントの様相は疾風迅雷の勢いで変貌を遂げるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わってイベントの墓場…………ある者は開幕早々に天誅され、ある者はランカー同士の戦闘に巻き込まれ、またある者はレイドボスのモンスタートレインに轢き潰されて、今回の戦いから脱落した参加者達である。

 

「緊急速報だ!血煙が参戦したぞ!!」

「マジで!?」

「イベントの終盤に参戦…………。成程、此れは漁夫の利を狙いに来ましたかな?」

「どうだろう。奴さん…………血煙は、噂によれば『A-Z』御本人と聞いているが?」

「シャンフロのペッパーさんなんだよなぁ…………」

「ペッパーかぁ…………」

「オイオイオイオイ、ヤベェぞ!?ブラッドペッパーが隠れたプレイヤー見付け出して、次から次にキルしまくってる!」

「いやエッグいわ。かなり研ぎ澄まされてるていうか…………」

 

血煙の二つ名を持ち、此の世界(ゲーム)ではブラッドペッパーのPNを掲げる者、然して別の世界(ゲーム)では『猛禽殺し』とも、或いは『蒼空を舞う勇者』とも呼ばれ、シャンフロに関わったプレイヤーは必ず一度は聞く事になる存在。

 

圧倒的な思考深度を誇り、敵の挙動や癖を知れば知る程に強くなり、最終的に時間を掛け過ぎれば此方の読みを含めた諸々を読まれ、逆に掌の上で転がされた挙句に倒されるという『人間(ニンゲン)の皮を被った怪物(モンスター)』との認識を持たれている。

 

そんなプレイヤーが参戦し、破竹の勢いで残存プレイヤーを狩って狩って進んで行く光景は、傍から見ればレイドボスの進撃か何かと見間違えてしまう様で。

 

「やっべぇぞ、おい?!レイドボスさん付きの方から速達、ブラッドペッパーが来たのを察知して、他のプレイヤーをキルし始めてる!!」

「ふぁぃ?!?」

「えっコレもしかしてレイドボスさん、ブラッドペッパーと『一騎打ちか何かでも仕出かす気』か!?」

「マジで!!!?」

「当千付きからも連絡!勇者も動いた!!」

「オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ!?!」

「混沌不可避ってか、ヤバい状況になってねーですか?!」

 

そんな状況下、イベント及びランキングでも総合一位を取り続けるレイドボスのユラと、其のレイドボス相手に千人のプレイヤーを擁して漸く討伐ラインに立てる実力者の当千が動き、他プレイヤーを倒して行く様は血煙の参戦という劇薬の投入により、修羅と地獄が跋扈する光景に切り替わった。

 

次々と増える怨霊達、残存プレイヤーも集まり始め、三人のプレイヤーがフィールドにて接敵する時が、今此の瞬間も刻一刻と差し迫っていたのだから…………。

 

 






生き残れ、猛者達よ


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