VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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集いし強者




運命(さだめ)は重力の如く、人を引き寄せる

「ペッパー御兄様が参戦した…………!?」

「らしいぜ、京ティメット。御陰で当千やらレイドボスさん含めてフィーバーした結果、多分今日『ランキングの最終順位』が決まる」

「……………其れヤバくない?御兄様って劇物か何かなの?」

「んな事、俺が知る訳ねーだろ」

 

何処かでプレイヤーの悲鳴が上がり、何処かで爆発音が響き渡り、今し方何処かで銃撃音とプレイヤーの悲鳴が聞こえた中、祭囃子の二つ名を持つ『サンラク』と別の世界(シャンフロ)ではサンラクやブラッドペッパーと同じクランメンバーの『京極(キョウアルティメット)』が激突し、街を駆け走っている。

 

「にしてもオメェが『天誅の意味を理解してる』たぁ、随分成長してるじゃねーの………!」

「そりゃ()()リスキル地獄を乗り越えて、リスキルした奴全員『一回以上天誅した』し。という訳で…………余所見天誅ッッッ!」

「俺が其れを『予期して無い』と思ったか、京ティメットさんよォ!」

 

スラリと振り抜かれた刀同士がぶつかり、用いた鐵の質の良さを物語りし甲高い音が鳴る。サンラクが二刀流で刃を振り抜けば、京極は破壊不能オブジェクトの鍋蓋を取って片方を防ぎ、下段狙いはジャンプしながら脚への被弾を避ける。

 

「脚はやらせないよサンラクぅ…………!打首天誅してやるからさ………!」

「自分なりのスタイル見つけやがってからに、面倒くせぇぞ京ティメット!」

 

リスキル天誅を乗り越え、リスキル天誅を仕掛けた連中(プレイヤー)返り討ちに(ブチのめし)、狩られる側から狩る側に変わったからこそ、此の世界に導いたサンラクに御礼(天誅)を届ける事が自分に出来る孝行だと、京極は信じている。

 

「見つけましたよサンラクぅ!!地布武鬼(じふぶき)を頂きに参りましたよォ!!!」

「げぇっ!?誠意大将軍!!!」

 

幕末ランキング八位、此のイベントの終盤まで生き残っている実力者の一人たる誠意大将軍が、怨霊達の導きを受けてサンラクを探し出して、仕留めんと襲来。

 

嘗てリスキル天誅によってイベント報酬の刀『地布武鬼』を取り逃がした事で、其の戦法(リスキル天誅)を考案した主犯格(祭囃子)にリベンジし、地布武鬼を奪い取らんとする事に信念を燃やすプレイヤーが襲い掛か「隙有り天誅」

 

「っぽべら!?」

「「!!?」」

 

一瞬の空隙、誠意大将軍の意識が地布武鬼と、持ち主(サンラク)に向けられた其の僅かな刹那、飛来した黄金の小鎚が誠意大将軍の後頭部を打ち据え、減り込み粉砕して地面に落ちる僅かの間に、一人の修羅が二人の前に現れる。

 

「お、サンラクに京極。取り敢えず退避…………!」

「ペッパー御兄様───────えっ?」

「よっ、ブラッドペッパー。ってヤッベ………!」

 

小鎚を拾い上げて何処かリラックスしながら、然して幕末の戦いを熟知している二人は直ぐに其の場から回避の、京極が僅かに遅れた所に降り注ぐ刀と刀に、大太刀の挙句に斬馬刀の『晴れ時々曇り』ならぬ『晴れ時々脳天狙いの斬馬刀』という、此のゲームの天気予報(イカれた情景)を作り出した原因…………其の一端を担ったプレイヤー『グラビ帝』が到来する。

 

「ちぃ、外し…………ッ!?」

「見付けた、天誅ッ─────!」

「うぉわっ!?」

 

殺意を感知したグラビ帝に、左手に小鎚と右手に鍋蓋の『スパルタ形態』でブラッドペッパーが肉薄し振って来たのを見た。あの距離をどうやって詰めたのかと思っていれば、ブラッドペッパーがニッコリ笑顔ながら横へ走り抜け様に『此方の心を読んだかの様な』答え合わせを述べる。

 

「竹林地帯で練習した竹幹ジャンプを、斬馬刀の柄を使って再現しました。グングニルかぐやさんも良い技を見せてくれましたから、リスペクトです」

「っ、成程…………!って、其れ『宇都豊(うつて)小鎚(こづち)』!?三年前の秋イベ一位報酬!?」

「あ、知ってるんですか?後で教えて下さいな天誅!!!」

「ぅおあ!!!」

 

グラビ帝の自衛の刀とブラッドペッパーの黄金色の小鎚が、両者の持ち得る力と共に振るわれ激突、刹那に響いたのは『刀が砕け散る音』とグラビ帝の身体に小鎚の鏡面が直撃し、ズンッ!とも取れる重い衝撃が胸部を『貫いて』背中から放出され、ダメージエフェクトを撒き散らした瞬間だった。

 

「ごっ、は…………!」

「ログイン初日、斬馬刀に脳天唐竹割された分…………返しました」

「絶対、天誅してやるっ…………!」

 

睨まれながらイベントから退場したグラビ帝を横目で見送り、ブラッドペッパーが周囲警戒をする中で『其の者達』を目視し、純粋無垢な殺意を内封した獰猛な笑顔を浮かべた。

 

「よぉ、ブラッドペッパー」

「やぁ」

「御久し振りです。当千さん、ユラさん」

 

レイドボス・ユラと俺等の勇者・当千に、血煙・ブラッドペッパーの三者が、江戸の街並みの屋根に乗って正三角形の位置取りで対峙する。

 

既に何人か斬り果たしてやって来たと思しき闘気を纏い、其々が持ち得る『最高戦力武器』を握っている事からも、憑いて回ったか怨霊達に今現在生き残っているプレイヤー全員が、此の状況を『ヤバい』或いは『ガチ』だと理解出来る光景で。

 

「京ティメット、一旦戦闘中止だ。奴等がおっ始める前に移動して、漁夫の利天誅しに行くぞ」

「えっ?ホントにやる気?」

「たりめぇよ。ブラッドペッパーと当千の二人で食い止めてる間に、此方も気を伺ってヤれる時を待つ。ホレさっさと行くぞ」

「う、うん…………。いや、大丈夫かな?ペッパー御兄様…………」

「シャンフロじゃ、家のクランの大将だ。お前も強さは良く知ってるだろ?」

 

強大な敵の気配を前に最大を狙うべく動き出した者と、未だ隠れ潜みながらも最高の瞬間で一網打尽を果たさんと画策する者。

 

其々の思惑を乗せて、此処に今イベントの最終順位が決定し得る、文字通りの『最終局面』が幕を開ける。

 

 






勝者を決めよ


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