舞え、命を燃やして
「ペッパーテメッ、レイドボストレインするとかバカみてぇなイカした方法取りやがって!?!」
「幕末じゃモンスタートレインは許されるんでしょ?あ、生き残り発見投擲天誅!!」
「だからって勇者まで連れて来るとかバカジャネーノ!?あ、生き残りだなテメェ天誅だオラァ!!」
「なぁんで意気揚々と追われながら天誅するのかなぁ!?まぁ僕もだけどさ天誅ッ!」
月下の江戸の街並みを血煙と祭囃子に京極の三人が走り、レイドボスと勇者が大いに暴れ争い、其の過程で此処まで生き残って来たプレイヤー達が撃滅される。
残存プレイヤーが一人、また一人と消滅し、怨霊となって追加される中、此のバトルロイヤルデスゲームイベントにて文字通りの劇薬となった男は、やはりと言うかレイドボスのユラと勇者の当千を見ながらも、道征く先の残存プレイヤーを倒してポイントを稼ぎまくって順位を上げ続け。
「インターセプト&即興天誅!」
「わっ」
「ハッ、面白ェ!そりゃ
絶対避けて通れないレイドボスとの戦闘、今此処からが開幕とばかりに踵を切り返して当千の空隙を埋める様に、ユラとの死地圏内にブラッドペッパーが自ら飛び込んだ。
「もしかして欲しいんですか?」
「其の小鎚の衝撃貫通は鍋蓋でも防げねぇし、頭や心臓に当たりゃ文字通り『一撃必殺』だ。お前のスタイル的に斬撃よりゃ打撃が向いてるだろ?」
「まぁそうですね!と、其処ッ!」
ユラのガチ武器たる
「…………いいね。とってもたのしい」
「だいぶノッてるじゃねーか、レイドボス!」
「うおっと!!」
ブラッドペッパーが僅かに逸れ、空いた道にやって来たのは名槍と名高い『蜻蛉切り』を彷彿とする大槍で。其々の刃から落ちる液体が地面に接触し、数拍で『嫌な匂い』を撒き散らす。
「去年の秋イベ総合撃墜数ランカー報酬『
「……………ヤバそうな
「触れたら『アウト』、とだけ言っとく」
範囲攻撃で線を取りつつも、運が良ければレイドボス諸共天誅にする訳だ。
やはり基本敵同士の幕末というゲームは、徒党を組むの時は総じて『互いの利益が成立する間』だけ、終われば
「おうおう、んなら此方も乗ってやろうじゃねーの!」
「いやホント、コレに乗っかる私もバカの仲間入りじゃん…………!」
「サンラク、京極…………!」
「天が呼んだから俺が来た!レイドボス倒して漁夫の利の為に緊急参戦!」
「何々、デッケェ祭りが始まるのか!?」
「おぉ、串勝に変態ィッ!!!」
「うわぁ、何かイロモノがズラズラと…………」
であるならば─────────、そんな敵同士の関係でも同じ
サンラクと京極に加えて、何処から伴無く襲来した十文字大福と串勝の対レイドボス攻略戦への参戦が、ユラの口角を益々弧を描かせて細目に隠れる眼孔を開かせて。
「お、皆さんも此方側?」
「勇者とお前と祭囃子で片耳をブチ抜けたんなら、殺り方次第じゃレイドボス…………持ってけるぞ」
「血煙。お前の握る小鎚と、当千が持ってる槍は『切札』だ。ヘタレんな」
「ラジャです。いざって時は『俺は捨て駒上等』なんで」
「へっ、相変わらず『イカれてら』…………!」
今回のイベントの現時点での生き残り、其の上澄みの中の上澄みで、其れも幕末ランキング二位・九位・十位と名の通った実力者達の集いに、ユラの表情は心底『楽しそうに』、そして純真無垢な歓喜に満ち溢れた『獰猛な
「………………楽しい、すっごく楽しい……………!皆『掛かって来て』……………!」
「ボロ雑巾レベルで使い潰してやろうじゃねーか、行くぞエネミーズ!!!」
『『『『『『応ッ!!』』』』』』
持ち得る得物に持ち得る技術、そして残存プレイヤーの総数と此の戦いで『此のイベントの勝者が決する』とばかりに、ランキング入りを狙う者達が躍動する。
外側で観戦する怨霊達、今ならば隙を見付けて全員諸共天誅出来ると用意するプレイヤー、幕末の夏イベ『極限月下』は
斬星竿と卍鏖殺の残閃が江戸町を薙ぎ、銃弾が飛び交って錆光がクリティカルで切り落とし、得物を投げ捨て殴り蹴るの格闘と家屋やオブジェクトを破砕して、死地と死線が展開される。
「十文字大福さん危ないッ!!?」
「っ、あぶ、助けられた…………!って、天誅されたいかお前!?」
「貴方の槌武器の火力は必須、倒れられても困ります!頼りにしてるのと、槌武器は『柄の持ち位置を変えれば全距離に対抗出来ます』!其れじゃ!」
自分より後輩、おそらくは『中学生』と思われるランカーの十文字大福へ、両手武器のアドバイスを送りつつ、ユラを相手に前線を張る当千とサンラクの補助にブラッドペッパーが復帰した。
「京ティメット、五秒チェンジ!」
「一秒が限界なんだけど!?」
「此方で補助する!!」
「串勝、火縄銃!!」
「あいよぉ!!!」
着火と引金が引かれ、風に揺れるサンラクの新撰組の羽織袖を貫き、ユラの回避を引き出させた所に京極とブラッドペッパーが迫る。
対するユラは事前に空に投げた錆光を、肉薄したプレイヤーがクリティカルヒットになる様に『把握した状態で投げた』其れが落ちる中で、新たな武器を取り出さんとするも拳銃で手を狙って撃ち込んだブラッドペッパーに、彼はレイドボスたる所以の『超常の御業』を見せ付けた。
「えいっ。御返し」
「は?ぐぁっ!?」
「ッ、マジか…………!」
漫画やアニメで見る超人表現の一つ『弾丸素手掴み』、失敗すれば自分の『死』か『指の破損』という危険窮まる技、其れをさも『ランカーなら出来て当然』とばかりにやってのけ。
剰え撃ち込んだ弾丸を『ナイフ投げの要領』で、指先と手首のスナップを用いた『投げ返し』により、迫っていた京極の左肩へデリバリーしたのである。
「天ちゅ─────わわっ」
「世話焼けるぞ天誅!」
「下がってろ京ティメット!」
「おっぶぇ!?」
「うぉわ!?」
斬星竿の出始めに卍鏖殺が止め、ブラッドペッパーが京極の襟首を掴んで地面に引き込んだ刹那、サンラクの二刀が京極の鼻先を擦り抜けてユラが握る錆光とぶつかった。
「「串勝ッウ!!!」」
「天誅!!!」
「……………楽しい」
「ごぉあ!?」
「っ、コレでもダメか!?!」
火縄銃の弾道を紙一重の回避からサマーソルトキックを絡め、其れを頭の片隅に選択肢として置いたサンラクの顎を『一糸分先』を過ぎ、バク転回避で彼が距離を取る。
幕末の歩く災害其の物、今在る此れだけの戦力をぶつけても尚、此方側が圧倒的な迄に不利な状況だとしても。
「嗚呼…………本っ当に楽しいな、ユラさん──────!」
心から笑い、此の刹那を生きる男は、武器を其の手に死地へ飛び込む。
彼の瞳は、未だ光を失っていなかった。
其の身を焦がし、血脈が尽きるまで