VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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調べ物を調べる為

※大晦日と三が日は御休みします。皆様、良いお年を




王城潜入(真正面から正々堂々)

深海に在る魚人族(マーマーン)達の故郷にして都市…………正しくは()であるらしい『海底都市アルトランティア』に向かうまで幾日と迫る中、本日はカルカダ=コラス商会の八代目会長のエリムス・ティルテェナの案内で、エインヴルス王国の王城へキリューシャン・スフュール"恕志貫徹(ファースリィオ)"の肉を納品する日だ。

 

カルカダ=コラス商会では魚介類や精肉を王城や市場へ流す際に連絡を入れ、納品日と食に用いる日を逆算して『熟成』を行う事で付加価値(ブランド)を高め、世に送り出すという経営を取っているという。

 

そんな手法で今日が『最高の味となる日』との事で、商会にやって来たペッパーとペンシルゴンにパートナーのヴォーパルバニー達は、熟成した恕志貫徹の肉をインベントリアへと移し、馬車に揺られて王城の正門まで到着。

 

ペンシルゴンは新大陸で第三騎士団団長『絶命剣(キリング·ソード)ユリアン』相手に喧嘩を吹っ掛けたので、クターニッドの聖杯で性別反転状態(男アバター)にし身バレを避ける方針の元、彼女と共に堂々と入城を果たして監視の騎士達の目を受けながら、王座の間に向かい。

 

其処に居たのはThe・王様な衣装に身を包む現国王トルヴァンテと第一王女アーフィリア、そしてサンラク含めた職業:仇討人(あだうちびと)就職プレイヤー達の情報網で、王権簒奪(クーデター)を企てている第一王子アレックスが居た。

 

「おぉ、ペッパー・天津気(アマツキ)ではないか!海の向こうの大陸にて起きた竜災で、大きな活躍をしたと余の耳にも届いておるぞ。大事無い様で何よりだ」

「御久し振りですわ、ペッパー様!」

「御久し振りで御座います、国王陛下。第一王女様。木っ端の私にとっては、其れだけで有り難き御言葉です」

「うむ。して、其処のティルテェナからの書状には、御主が深海に住まうというキリューシャン・スフュール………其れを討ち取り、腐食等が起きない魔法の鍵にて保管していたという話だが…………」

「…………はい。私の腕に付いております格納鍵インベントリアという、海の向こうの大陸にて出現した鋼鐵の機巧の鯨たるリヴァイアサン、其の中にて入手した物をカルカダ=コラス商会に卸し、最も美味になる時まで商会が熟成させた物が此方になります」

 

インベントリアを操作、カルカダ=コラス商会印の布に包まれたキリューシャン・スフュール"恕志貫徹"の肉が現れた事で、トルヴァンテにアーフィリアやアレックスも含めた兵士達も目を丸くし。

 

だがしかし、王国に献上されたキリューシャン・スフュールが持つ其の匂いを嗅いだ事で其れが本物であり、かつカルカダ=コラス商会が得手とする食材の最も美味になる熟成タイミングが正確だと、そう確信させたのだ。

 

「どうぞ御納め下さい、トルヴァンテ国王陛下」

「エリムス・ティルテェナ、ペッパー・天津気。二人共、大義である。何か褒美を取らせたいが………何を望む」

「であれば………『王国騎士団の訓練の様子を拝見したく御座います』。今は『とても大変な時期』では有りますが、繁栄を築きし王国の…………栄光有る騎士達の勇姿を是非とも一目見たく存じます」

 

一瞬だけアレックスの方を見つつも、何れ起きるクーデター時に対峙する可能性を加味して、今の内にペッパーは『王認勇士アルブレヒト』の姿を一目見る事を望んで。

 

「…………解った。アレックスよ、ペッパー・天津気達を訓練の場へ」

「…………はっ」

 

アレックスの視線が『クーデターする気満々』だと確信したペンシルゴンがニヤ付いて、悪寒を感じたティルテェナがゾワッと身震いしたのを横目に、取り敢えず王城内部の状況を把握は出来ると考えたペッパーは、第一王子と監視の騎士達に連れられて訓練所へ向かうのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラシカルタイプの中世時代のメイド服を纏ったメイドに、三人一組(スリーマンセル)で王城内を警備する甲冑騎士達とすれ違いながら、何か有っては不味いと聖盾イーディスを左手に握り締め、周辺警戒とティルテェナにペンシルゴン達を護衛する。

 

「…………到着だ。此処が我が王国の騎士団達が日夜鍛錬に励み、王を守るべく力を付けし訓練所だ」

「皆の者!第一王子アレックス様の御成りだ、手を止めぃ!」

 

素振り・筋トレ・構え等々…………甲冑の下にはスパルタンとも思える様な、男女問わず『筋肉』と言える姿が有って。然して其の筋肉達も『強く美しく靭やかを追求したボディービルダー』の其れであり。

 

騎士のNPCの一人がアレックスの到来に気付いて手を止めれば、全員が一気に手を止めて此方に着目する。

 

「此方はペッパー・天津気殿。皆も知ってはいるが、開拓者達が声高らかに噂する『蒼空を舞う勇者』其の人だ、くれぐれも粗相の無い様にな」

『『『『『『はっ!』』』』』』

 

クーデターを企てる気は有れど、其れは其れとして騎士達の士気が高い事から、彼自身の人望は確かな物だと解る。そして其の騎士達の視線は、ペッパーが握る勇者武器(ウィッシュド·ウェポン)の一振りにして、世界に六種のみの聖なる盾たる聖盾イーディスに向けられていた。

 

(なぁ、ペンシルゴン。やっぱり勇者武器出すのは不味かったかな?)

(どうだろうねぇ…………リュカオーンの愛呪が引っ付いてるのも有るんじゃない?)

 

取り敢えずはイーディスを収納し、様子を見る事に決めた時である。

 

「噂に名高き、蒼空を舞う勇者殿」

「はい?」

 

声を掛けたのは一人の初老の男性騎士(NPC)で、手拭いを首に掛け、両の腰に収めるは訓練用の木剣二振り。重心や立ち方から『二刀流の剣士』と思われる其の男は木剣の片割れを此方に投げ渡し、こう述べる。

 

「開拓者が叫ぶ貴方の其の実力、是非とも一度確かめたく。…………いざ尋常に『御手合わせ』を願いたい」

「え?」

 

何がどうしてこうなったと、ペッパー本人は困惑する。何せ国王へ至高の海鮮を納めに来ただけで、唯々訓練の様子を見学しているだけの中、唐突に発生した『手合わせイベント』は彼からしても予想外で。

 

そして答え合わせをするが如く、彼の目の前には『システムウィンドウ』が表示されたのである。

 

 

 

 

 

 

 

『クエスト【騎士の挑戦。勇者の証明】を開始しますか?【Yes】/【No】』

 

 

 

 

 

 

 

発生条件が何かは知らないが、騎士団の力を間近で見れる良い機会だと思い、ペッパーはペンシルゴンにアイトゥイルやゼッタ、そしてノワに龍神楽(ドラグマ)を預かって貰いつつ、Yesのボタンを右手人差し指でタッチから木剣を左手に持ち、構えを取って向かい合う。

 

「エインヴルス王国第二騎士団団員、エーデリウス・ゴウナーだ」

「ペッパー、ペッパー・天津気(アマツキ)。ある人は蒼空を舞う勇者、ある人は深海の果てを見し勇者、そう呼びますが……………私は木っ端の開拓者故、どうぞ御手柔らかに御願い致します」

 

前口上完了。エインヴルス王国の騎士団の力、手合わせであるが確かめさせて貰うとしよう。

 

 






騎士と手合わせ



クエスト【騎士の挑戦。勇者の証明】

発生条件は『エインヴルス王国の騎士団員や騎士団団長達に名が届く程の武勇伝を持つ事』、並びに『歴戦値・高潔度・信頼値の三種のマスクデータ全てが規定値を超過している事』、そして『王族NPCと面識が有る状態で商会やギルドを納めるNPCの正式な伝手を以て王城へと入城をする事』の三つ全てを満たす事。

騎士団達の立ち会いの元で、木剣による手合わせを行い、勝利すると別の騎士が相手をし、其の騎士を倒すとまた別の騎士…………といった所謂『ほぼエンドレス組手』に近しい物。

此の手合わせイベントで騎士相手に連戦連勝や、戦闘中に相手の得物を叩き落とす、ノーダメージで相手に降参を言わせる等の『高評価を出し続けた場合』、最終的に『王認勇士アルブレヒトとの確定エンカウントが待つ』というヤバいイベント。

其のアルブレヒトとの木剣勝負で、もし受注プレイヤーが『高評価』を出せたのなら……………


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