アルブレヒトというNPC
王認勇士アルブレヒトという
旧大陸を統治するエインヴルス王国の王家直々に、最も勇猛なる騎士の証であり、同時に『NPC限定ブッ壊れ
容姿・性格・言動の何れを取っても『王子様』なムーヴを噛まし、シャンフロのサービス開始時より『此の国統治してる王様をキルしたらどうなるか確かめようぜ!』なる、邪な悪意を抱いて王城に突撃して来た
其れ以来アルブレヒトは容姿や戦闘力をして有名となり、数多のプレイヤーによって情報が集まり、彼が就職している王認勇士の性能、持ち得る剣と盾により、今現在の総合評価に繋がっているのだ。
(木剣の組手とは言え、王認勇士の強化補正が乗っかる以上は『勝ち目は大分薄い』だろうねぇ…………)
もし『
足下の影に隠れる夜纏う狼の分け身と争う己の恋人が、最強の王認勇士…………剣と盾が無い『今の』アルブレヒト相手に何処まで食い下がれるか、という話でも有る。
(だけど、もし。もしも、
何れ起きる可能性が高い、アレックスによるクーデター。トルヴァンテ派とアレックス派による、エインヴルス王国の覇権を巡った大戦に突入した際の、ペンシルゴンをして『対アルブレヒトの切札』になれるかどうかの『試金石判断材料』としている。
(此れは…………流石に『やり過ぎた』って感じかな)
其の手に訓練用の木剣を持ち、アルブレヒトが歩み寄ってくる様を見ながら、ペッパーは心の内で言葉を零す。
マグヌスと話していたペンシルゴンが、遠い目と引き攣った表情をしていたので、ペッパーもシャンフロの情報網を調べて見た所『現代人類最強クラスのNPC』という総評が下されていた存在であったと知った衝撃は、今も記憶に新しい。
NPCかつアルブレヒトの為の専用職業たる王認勇士は、嘗て王様キルを狙ったプレイヤーをして『在りと汎ゆる盾を貫く剣と在りと汎ゆる剣を弾く盾を両立した、成立しない矛盾を成立させてしまっている』そうで、彼が持つ『二つの得物の存在』が王認勇士の特性と噛み合い、リソース勝負の領域では『絶対に勝つ事は不可能』と言わしめている。
一つはペッパーやサンラクが金策やレベリング等でも世話に成る
担い手の魔力MPを消費し続ける事で『絶対に砕けないバリアを張り続ける』、謂わば『絶対防御』であり…………其れは聖槍カレドヴルッフや
もう一つは
本来ステータスの限界が有る故に器用貧乏に成りがちな、魔法剣士が理想とする純魔以上の魔力をジゼルが備え、魔法戦士が目指す理想系たる筋力や耐久に器用に技量すらもアルブレヒト自身が備えた、究極の一心同体にして比翼連理に等しき存在。
(NPCのラスボスか何かだろうけど……………
レベル差150を強要する戦闘領域下、自前の
夜という存在其の物として影と闇を駆け、陰より出でて影を渡り、狼の姿をしながらも人語を理解し、分身に自分を含めて仕掛ける狡猾さと搦手をも使う、夜襲のリュカオーン。
深海の環境下、体内に存在する空気膜を潰さなければ、装甲貫通も破壊も徹さない程の強靭な甲殻に身を包み、四つの突起と尾に在る海月の触手を用いた波状攻撃を掛ける、キリューシャン・スフュール"
感情を、重力を、認識を、要素を、世界の在りと汎ゆる理を反転に入れ替えを行い、相対者の戦闘挙動を読み取り反映して来た、深淵のクターニッド。
近接の拳・中距離の鎌・長距離の剣に変える両鋏、尾に掲げる種族の象徴の聖剣を敵の挙動に応じて使い、発狂モードに入れば敵を撃滅するレーザーソードを展開し、生命の燃え尽きる刹那を三度の超光速抜剣で焼き断つ、
純白の体毛と鬣より赫黒雷を放ち、触れればスキルと魔法を封じる雷を帯電させ、発狂モードに突入すれば漆黒に染まる程の雷圧を纏い、雷耐性防具で守れど接触=即死がほぼ確定する程の出力を繰り出した、レオ・ネメアレクス"
マナを産み出し、英雄的行いを強要し、スキルと魔法を任意で封じ、欠損した部位をも一瞬で再生させ、唯一つの身で無双の将の如く太古の始源を封じ、数千のプレイヤーとNPCを屠った、天覇のジークヴルム。
思い出すは数多の敵と戦い、時に仲間達の力を借りて乗り越えた感覚。疲労感に苛まれども、此処まで来たならば『徹底的にやり切る』との決意の元に、勇者は木剣を握り直す。
多くの騎士と第一王子に商会長と一人の開拓者、三羽の兎と一匹の狼の分け身に一本の龍の刃が見つめる中、アルブレヒトを見据えて真正面に立ち、改めて構えを取りて王認勇士と静かに向き合い、ペッパーは脳内タスクを決定する。
(アルブレヒトに一泡吹かせてやる…………!)
自分を示す