ガチャ、ガチャ、ガチャ!
あれから馬車に揺られてフィフティシアに在るカルカダ=コラス商会前まで帰った後、ペンシルゴンは『ちょっとやる事がある』と言ってゼッタとリリエル=
何とも『嫌な予感』しかしないが、其れを詮索するのは恋人が浮気している時以外では野暮という物なので、経過観察とする事にし。
現在ペッパー達はバハムートの二番艦・リヴァイアサン、第三殻層『
「ジークヴルムさんとの決戦前準備期間中に、リヴァイアサンやベヒーモスで色々やった副次効果で其々のバハムート内通貨も貯まったから、此処で一回消費していこう。
『畏まりました!』
使うなら湯水の如く大胆に!そしてコンプリートするならば、所持金が底を突く光景を数回見る覚悟を!
「いざ…………!ガチャのチャレンジ、ガチャレンジ………!」
という訳で購入したパック全てを開封し、レア度順に並べ替えて種類毎に分けてみた、のだが………………。
「……………………スゥゥゥゥ─────────」
予想はしていた、ある程度覚悟は出来ていた。だがどれだけ覚悟が出来ていたとしても、理想と現実と結果を決められるのは、何時の時代も時と場合と運だけだ。
「………………『買った全パックにリュカオーンの影が必ず一枚は入ってる』って、一体どういう事なの…………?」
『ペッパーよ。おそらくはオマエの身体に付いた、狼の寵愛が最たる理由であろう。其処のノワが身体を擦り付けとる』
「ノワはんは相変わらず、ペッパーはんが大好きみたいなのさ」
「そうだね、アイトゥイル」
『クゥン♪』
リヴァイアサンが数千年振りに深海から海面に浮上し、プレイヤーやNPC達の前に再臨した日に買ったパックにも、リュカオーンの影なるカードが入っていた。
ユア・エクスペリエンスの七パック目を開いた辺りから猛烈に嫌な予感を抱いて、十パック目以降からは最早悟りとも言える領域に入り、二十パック目からは指先の感覚でリュカオーンの影か否かが判る様になった。
カードゲーマー界隈では良く有る事らしいが、数カートンを予約買いして其の中に在る最高の当たりを探し出す事に、全身全霊を賭ける者も居る程度には、カードゲーマーという生き物は全力であり、そして本気でもある。
「其れ抜きにしても持ってるスコアでかなりの枚数手に入ったし、此れなら複数のデッキは作れるかな?まぁ肝心のリュカオーンデッキのキーカード、夜襲のリュカオーンは出てないんだが…………」
『ザ・ワンの排出率はかなり低いですからねぇ〜。ペッパー様の場合だと、色々なモンスターとの遭遇及び撃破を経験してますから、排出率も其れに比例して更に低くなるんですよ〜』
戯盤には他のプレイヤーも居り、何よりペッパーというプレイヤーのネームバリューは廃人プレイヤーレベルに相当し、そんなプレイヤーが何十カートンクラスのユア・エクスペリエンスを購入すれば、何だ何だと寄って来たり見学したりと人集りは出来る物。
そんな中でペッパーはと言えば、勇魚の言葉から何か含みを含んでいる事、そしてガチャという物に往々にして存在する事柄を踏まえ、鋼鐵の鯨を制御せし乙女に問う。
「……………勇魚さん。ユア・エクスペリエンスって、プレイヤーが遭遇したモンスターをブースターパックとして排出してますよね?」
『えぇ、そうですね』
「ガチャって基本ランダムで排出されますよね?」
『そうですね』
「フィロジェネテック・ジオグリフの『カードの排出率を高めるか弄る方法』が─────────謂わば『ピックアップ機能』が有るんじゃないでしょうか?」
『………………貴方の様な勘の良い開拓者は大好きですよ』
まるで微笑む様に、然してリヴァイアサンを統括する勇魚の口からはラスボスとも言える言葉は放たれ、指パッチンからフィロジオに在るユア・エクスペリエンスの場面が開き、掌が浮かんだ承認マークと複数の空白が存在する『新たな画面』が出現。
そうして勇魚は此の新たな物…………もといフィロジオに関わる全てのプレイヤーに対し、新たなるコンテンツについて説明を始めた。
『此れは『ピックポップシステム』。掌のマークにタッチした開拓者が持つ『戦闘情報』を読み取った上で、モンスターを一覧にしてピックアップし、其の中から『最大五種まで選択する』事により排出率を強化します。フィロジェネテック・ジオグリフに挑んでいる開拓者の皆様に、理解り易く言い換えれば『ピックアップガチャ』というヤツでしょうね』
尤も出る時はあっさり出ますが、出ない時は底無し沼の如く出ませんがと、あまりにもザックリと言い切った勇魚にペッパーは納得と言った表情をしていた。
「となるとピックアップで深海三強や裏深海三強をチョイスして、深海キメラや深海三強のデッキを作れる様になりそうだ。シャンフロの蠍だと
「あ、あの〜………ペッパーさん、で合ってます?」
思考を言葉にしつつ、ある『一枚のカード』を手に持って
「えぇ、合ってますよ。どうしました?」
「パックを剥いて、ピックアップ機能を勇魚さんから引き出した事に御礼と、もし良ければですけどダブったカードが有るなら、自分とカード交換しませんか?今現在のフィロジオ環境知ってますので、大体の相場は担保しますよ」
「ふむ………良いですね、やりますかトレード」
「成立ですね、其れでは早速やりますか」
煉牙がインベントリより取り出すは、フィロジオのカードを収めた『分厚いカードバインダー』が複数、其の心持は重要人物との交渉に当たらんとする、まさに仕事人の如く有る中で。
そんな彼の動きを見ながらも、ペッパーもまた剥いたカードをインベントリアに入れ、剥かれたパックの空き袋をゴミ箱へ持って行く中で其のカードを改めて見た後、小さくボソリと呟いた。
「─────────『
其れはコモンにアンコモンでも無ければ、ましてやレアやエクスティンクションでも無く、そしてレジェンダリーやザ・ワンの『何れのレアリティにも当て嵌まらない』、然して間違い無く『自分自身が写ったカード』で。
其のカードには『自分の背景にぼやけた七つ鎧を纏った己のシルエット』が描かれていたのである。
其のカードが意味する事