VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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いざ征こう




Falling to abyss on the sea

9/22………………今日は遂に魚人族(マーマーン)の里である、海底都市アルトランティアへと向かう日だ。

 

海洋調査クラン:スペリオルアビスやクラン連盟を組むウェポニアが参加を表明したり、サンラクやレーザーカジキにルスト&モルドのコンビが参戦し。

 

プレイヤー達の話を通じて聞いたSF-Zooやライブラリからも、海中生物や魚人族の生活を知りたいとクランメンバーが参加を希望し、魚人族の英雄ル・アラバ達も一度里帰りをする為に案内と称して同行する事が決まって、こうして決行日を迎えるに至る。

 

アイトゥイル・ディアレ・エムル・ノワに、今回の件は確り説明し、付いて来ようとしたのを何とか説得から納得して貰い、心惜しいがラビッツにて御留守番をする事になった。

 

そんな裏話が有りつつも、出立地となっている新大陸前線拠点に向かったペッパーとサンラク、今回の遠征に参加する者達を待ち受けていたのは─────────

 

魚人族(マーマーン)の戦士達が狩ってきた海中のモンスターの素材、更にはエルドランザさんに奉納した魚肉と引き換えに手にした素材を用いて作りし、我等スペリオルアビスの新たなる()()にして、海洋調査を行う為の魔導推進征海船の()()()!!其の名を『アビス・ベル=ニール』、今此処に顕現ッッッ!!!!」

 

驚愕等に彩られたプレイヤー達の視線と、ドヤ顔で胸を張ったスペリオルアビスのクランメンバーに、クランリーダーのヒュクノティム、そして『全長三十メートルの全高二十メートル』は有ろう、外観は『首を畳んだ青竜エルドランザを模した潜水艇』が其処に在り。

 

アビス・ベル=ニールの船首部分にルストが張り付いて、モルドが遠い目をしながら引き剥がさんと必死であり。其の近くの海上には元の大きさまで戻ったエルドランザと、頭の上に乗っかったレーザーカジキが此方に気付いた様で、手を降ってきたので軽く振り返す。

 

「やぁ、ヒュクノティムさん。コレってブリュバスと同じ物ですか?」

「おぉ、ペッパー君にサンラク君!此れはブリュバスと同じ魔導推進征海船を、リヴァイアサンの第五殻層で得た情報を元にして『海中探査カスタム』を施した物!海中に出撃及び格納する為の出入口や、ブリュバスからインスピレーションを受け、機雷や魚雷に格闘用の刃翼と突撃槍等の武装を取り付けた、素晴らしい出来栄えなのだ!」

 

新大陸前線拠点の象徴(シンボル)・装骨天守スカルアヅチや、今現在も構築が続けられて一足先に出来たらしい、海中闘技場にも負けないリソースに出来栄えと解る。

 

「……………………!」

「「「「「「「「「「ヒエッ」」」」」」」」」」

 

其れは突如として『ギュルン』と…………撃破目標(ターゲット)が戦場に到来するのを待ち侘びた、挑戦者(チャレンジャー)の心持ちと同じ熱を孕んだ目で。

 

ペッパーに対してルストが、顔を動かしてコンマ置いて目玉を追い付かせるという、奇天烈極まる宇宙外生物(エイリアン)的な動きと共に視線を向けるや、スペリオルアビスの潜水艇拠点アビス・ベル=ニールの船首から降りて、モルドの静止を聞かぬままに人混みを割く様に向かって歩き寄り。

 

「ペッパー、()()を使わせろ………………!」

 

凄まじいまでの、もっと言えば極みに窮まった『凄み』を宿した目で此方を見上げながら、何時の日にかリヴァイアサンで解放して悠久を誓う天将王装(フォーエヴァー・ウェザリオ)、其の戦術機専用格納空間に加わった水中並びに海中戦対応の試作型戦術機獣(しさくがたせんじゅつきじゅう)海王(カイオウ)】を使いたいと言ってきて。

 

「えっ、あの……………」

「カイオウカイオウカイオウカイオウカイオウカイオウカイオウカイオウカイオカカカカカカォオオオオオオイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイカイオウカイオウカイオウカイオウカイオウカイオウ……………─────────!」

「「ヒエッ」」

「家のルストが、本ッッッッッッッッッッッッ当にすいません……………………!!!」

 

サンラクとペッパーが戦慄(ドン引き)し、モルドが申し訳無さそうに頭を下げる光景は、ペッパーやサンラクの知名度を知る者達からすると、見てはいけない物を見てしまったのでは?と思わざるを得ず。

 

SOHO-ZONEやウェポニア、スペリオルアビスとSF-Zooにライブラリの面々も居り、こんな状況下で此方に期待やらの視線を向けているのを見て相変わらずだと思っていれば、ルストが装備を男物に切り替えと青の聖杯で性別を男に変えた事で、ルストが最早梃でも絶対に動かないとペッパーは確信して。

 

「……………取り敢えずルストは一度ステイ、海王に事情を説明してからね。其れからライブラリの皆さんは、此の事をキョージュさんとセートさんに今回の事を連絡御願いします。後はプレイヤーの皆さんは此れから見た物に関する質問は、旅狼のサブリーダー・ペンシルゴンに御願いします」

 

彷徨(さまよ)大疫青(だいえきせい)討伐時に深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)を使った時と同じ状況になると確信しつつ、格納鍵インベントリアから墓守のウェザエモンがユニークモンスターとなる前の、ウェザエモン・天津気(アマツキ)の時代より使用した悠久を誓う天将王装を取り出し纏えば、プレイヤーやNPC達の視線が一挙に注ぎ込まれるのを感じ。

 

人混みを分け、右手で轟斬型(ゴウザンガタ)太刀式(タチシキ)武装(ブソウ):大天咫(オオテンタ)の鞘を持ち、柄を左手で握り締め、一呼吸の後に抜刀から呼び出す為の合言葉を唱えた。

 

「スゥ…………フゥ……………。─────────質量転送(エクスポート)及び展開(サモンコール)………!試作型戦術機獣(しさくがたせんじゅつきじゅう)海王(カイオウ)】、来たれッッッ!!!」

 

眼前に映る夕陽に染まる海へ鋒を翳せば、頭上に展開されるは蒼色の巨大な六芒星の魔方陣。まるで水中を勢い良く昇り、水面を持ち上げブチ破るが如きエフェクトと共に、全長三メートル級の『ホオジロザメ』が飛び出して海へ着水。

 

此の場に居たプレイヤー達の大多数が唖然、ロボスキー達は目を輝かせ、ロボスキーかつ召喚演出に魔法陣が採用されているのが大好きな派は、目をキラッキラに輝かせながら唾を滝の様に流すという、唯でさえ混沌の状況が更に混沌の状況へとなって。

 

「久し振り、海王。今から此方に居るルストが君の力を借りたいから、協力してあげてね」

 

海面から頭だけ出している海王と呼ばれ、ロボット物では試作型の機体に良く見られる無骨さと、洗練された確かな技術を束ねて形としたと解る、そんな姿をしている戦術機にペッパーは身を屈めて言った所─────────

 

 

 

『………………………ウン

 

 

 

物凄く『シャイな声色』で、病弱キャラに有りがちなコクリという擬音が入る、そんな頷きで返事をした事により、多くのプレイヤー達は『ホオジロザメなのに恥ずかしがり屋な海王のギャップ萌』に心を打たれ、ロボスキー達は『意思を持ってプレイヤーと喋れる戦術機が存在する』という衝撃と、混沌をより加速させて深淵にするが如く、場の空気を一足飛びの勢いで変えて行くのだった…………。

 

 

 






シャイなシャーク


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