VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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混沌は冷め止まず




潜水は押し出す水羊羹の如く

「ペッパーさん!アレってウェザエモンのパワードスーツなんですか!?」

「そうだね、ウェザエモンのパワードスーツだね。さっき見たく戦術機を呼び出せるが、詳しく知りたい方はアーサー・ペンシルゴンに御一報を御願いしますね」

 

ルストが悠久を誓う天将王装(フォーエヴァー・ウェザリオ)を纏い、試作型戦術機獣(しさくがたせんじゅつきじゅう)海王(カイオウ)】と合体。水中海中の機動力に秀でた人魚形態(マーメイドモード)で感極まる奇声を上げ、海中を泳いで海上でジャンプする光景を横目にしつつ、他のプレイヤー達からの質問に上手い事答える。

 

装備を深海の王ことアトランティクス・レプノルカの素材を使ったマクティスシリーズ一式、脚には水中と海中の機動力を支える為の深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)、三種全てをアクセサリースロットへ装備する事で超重水圧耐性を獲得し、深海の更に下の領域の深海深層に向かう事が出来る、冥王鯱の護鏡(レプノルカ・ミラー)女帝鮟鱇の秀玉(スレーギウン・ジュエル)要塞寄居虫の結剣(アーコリウム・ソード)で構成される三種の神器、深海に行く程に暗くなる状況から光源となる霊角の残影を装着。

 

サンラクもマクティスシリーズの頭と腰装備、三種の神器と霊角の残影を一つ付け、脚にはキャリアングラーの鰭から作ったと思しきダイビングフィンを履き、両手には紅蓮海の拳帯(レガレクス・セスタス)を装着して準備完了とした所で、プレイヤー達がワチャワチャと彼の方にやって来るが、当然ながら此方にもプレイヤーはやって来た。

 

説明は解り易く、答えられる部分に関してはちゃんと答え、隠す部分はキッチリ隠すスタンスを以て応じていれば、ヒュクノティム達が出航準備を完遂したらしく、いよいよ出立の時が訪れる。

 

『ペッパーよ、良いか』

 

そんな折、インベントリアから聞こえた声に耳を傾け、取り出すは霊角の残影を概念形成(コトナリ)により物質とし、覇龍の煌角とした物を黄金のマグマと共に用い、世界を知り得し旅兎王装(モポルシィーヴ・リフトゥルー)権能(チカラ)で形とした覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)で。

 

「どうしたんだ、龍神楽?」

『此れから海とやらに潜るらしいな、オマエ達は。であれば、オレも海とやらを体験してみたいのだ』

 

ペッパーの左手に握られながらに彼と会話をする光景は、パペットを使った腹話術と操り手によるコントの様に見えながら、一目見るだけでは龍神楽がジークヴルムにしか見えない為に、詳細を知らない者からすると『ジークヴルムが武器になってる…………!?』と混乱し。

 

「良いけど、どんな感じで体験するの?」

『全身を海の中に沈めよ』

「…………其れだと息出来なくない…………?」

『問題無い』

「えっと…………じゃあ、行きますよ?」

『ウム』

 

えいっと言わんばかりに、見るからに業物で意思を宿す異質なる武器を、海の中に浸たす暴挙に打って出たペッパーに全員が驚愕し。

 

数十秒後、左手に持つ柄が小刻みに震えた事で引き上げれば、海水を滴らせた状態から思いっ切り身震いして水滴を飛ばした龍神楽が言う。

 

『悪く無い。海という空間に在るマナ、オレは其れをオレ自身の産み出すマナと結び付け、今此の瞬間に()()した。此れで海中でもオレは戦う事が出来る』

「………………わぁお」

 

ジークヴルムに次ぐマナ・キラーたる鍛龍(タンリュウ)に匹敵する龍神楽、マナ粒子其の物であり変質の特性を振るい、始源存在と戦った黄金龍王にも負けない力を、此の覇刀は宿している様だ。

 

ライブラリとウェポニアのクランメンバー…………特にSOHO-ZONEの視線が龍神楽と自分に突き刺さり、声を出すよりも早く此方の前まで歩み寄って。

 

「初めまして龍神楽さん。私はSOHO-ZONE、此の世界に産み出された様々な武器や防具を紐解き、秘密を解き明かさんとする者。光栄な事に皆さんからは武器狂いという二つ名を頂いております故、以後御見知り置きを」

『フム、ソーゾーン?と言うのか』

「はい。早速ですが、御手に取らせて貰ってもよろしいでしょうか……………?」

 

彼の表情からして『かなりの邪念を抑えている』のが解る上、龍神楽自身もSOHO-ZONEに対して『試すかの様な視線』を送っているのを感じる。

 

「良いけど…………SOHO-ZONEさんの身に何が起きても、此方は責任を取れないよ?」

「問題無い!寧ろ呪いの武器で死ぬならば、武器の性能を知る事が出来て本望だ!」

「アッハイ」

『ペッパーよ、ソーゾーンは変わり者だな』

「まぁね…………」

 

スッ………と、SOHO-ZONEの目の前に翳せば、武器狂いと呼ばれて内に秘める狂気でプレイヤーを戦慄(ドン引き)させる男は、戴冠式にて国王から権威の象徴を受け取るが如く、片膝を付いて頭を垂れながらに両手で龍神楽を取り。

 

直後、ペッパーの時とは違って龍神楽の重量が『突発的に激増するや』、武器狂いの目の前の地面に垂直に突き刺さった上で、ペッパーに対して行なった『問い』を彼へと投げ掛けて来たのだ。

 

 

 

『問おう、ソーゾーン。オレを手にして、オマエは何を成す』

 

 

 

突然始まった、龍神楽による質問。ある者は驚愕の、ある者は困惑の、またある者は『まさか、まさかコレは…………噂に聞きし、伝説のドラグマ面接ッ…………?!』という、耳を疑う言葉が聞こえて。

 

「……………自分は此の世界に在る、在りと汎ゆる武器と装備の全てを解き明かしたい!そして何時か、自分の手で最高の武器をデザインしたい!果て無き道を進み、終わり無き先の果ての果てまで…………自分は進みたいのだっ!!!」

 

ある種の猟奇的な、其れで居てあの頃から変わる事も、揺らぐ事も無い意志と共に龍神楽へとSOHO-ZONEが答えを示せば、意志を宿せし覇刀は此の様な答えを返す。

 

『フム…………。成程、果て無き道、か…………『面白い』。ソーゾーン、オマエはペッパーとも異なる『揺るぎ無い意志を持つ者』の様だ。であればオレを其の手に握り、振るってみよ』

「ははーっ!!!」

 

仮称:ドラグマ面接に一発合格を果たし、地面に刺さった龍神楽を利き手で引き抜いたSOHO-ZONEが、もう片方の手で赤子を抱き上げる様に扱い、両目をキラッキラに光らせては刃先や刃文に形状を見定める。

 

「素晴らしい…………!何と、何と言う…………!刃文の美しさ、刃先と鋒の角度!龍王を想わせる装飾と意匠の数々ッ!刀で有りながら剣とも違う、だが確かに神の鍛冶師の情熱が!想いが!願いが!力が!細部にまで組み込まれ、究極にして至高なる領域たる業物だと!!私に告げているッッッッッッ!!!先ず刀は切断力に特化するが故に、刀や剣による打ち合いでは欠けやすい部分は有れど、龍神楽はサーベルに見られる湾曲を取り入れる事で耐久性を持たせつつ、材料に用いたジークヴルムの角が持っているマナ粒子制御で、斬撃を当てた物体のマナ粒子に干渉して、元々刀武器最大の強みたる切れ味を更に高め、破壊力を格段に向上している!其れから─────────」

 

放っておけば数時間は確実に喋り続け、色々と喋らなくても良い事まで喋りそうな勢いで暴走の兆候が見られたSOHO-ZONEを、サンラクが背中にドロップキックを叩き込んで海にブッ飛ばして落ち着かせ、ペッパーは万が一の時に使わせてあげるから我慢してと言い、龍神楽を手に持って。

 

魚人族達が、ウェポニアの潜水艇たるアビス・ベル=ニールが、ルスト達が先に潜水して行くのを追う様に、ペッパー達もまた海中へと潜って行くのだった……………。

 

 

 






海の中へレッツゴー


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