VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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VS 一角鯨




水雲の中に浸る様に

サンラクの身体に付くリュカオーンの刻傷に怯まず襲い掛かって来た一角鯨、レベル147より上の此のモンスターはどうやら『コーラルホエール』という名前らしい。

 

現実世界(リアル)に居るマッコウクジラをベースに、イッカクの特徴的な長く鋭い角を加えつつ、其のサイズは深海の環境へ対応する為にミンククジラ級のサイズまで縮んでいる。

 

そんなコーラルホエールの攻撃パターンなのだが、御自慢の角による薙ぎ払いや刺突に、鰭や尾びれを用いたビンタに叩き付け、巨体を生かした突進等のバリエーションに富んでいる訳だが、ル・アラバによるとコーラルホエールは『普通に戦っていても厄介な存在』であるらしい。

 

『クォオオオオオオ……………!!!』

「吸い込み来たぞ!」

「兎に角一旦退避!奴が身体から吐き出す『冷気』に触れたら不味い!」

 

海中戦を十八番とするル・アラバに抱えられたサンラクと、天将王装並びに海王(カイオウ)と合体したルスト、そして深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)による海中連続パリングジャンプで離れるペッパーの前で、コーラルホエールが口を開くや海水を一気に吸い込む。

 

周りのプランクトンやら小魚が飲み込まれ、ブラックホールの如く暗闇が満ちる口の中へと入って消えるや、まるで永遠に出る事を許さぬ鉄格子の檻が閉じられ鍵を掛ける様に、ガッチリと口は閉じられて。

 

其れから僅か数秒後、コーラルホエールを中心に『半径五百メートル内』が真っ白に染まり、同時に唯でさえ寒い深海で有りながら『更に水温が下げられて』、空間は『体感で五度は低下したかの様な感覚』に襲われたのだ。

 

「くっそ寒ィッ!?」

「奴は吸い込んだ魚や獲物で腹を満たす為、体内で『一気に冷やし固める習性が有る』が、其の際に『残った冷気を体外に放出して同じ行動を繰り返す』!もし周辺の水温が一気に冷えたら、奴が現れる合図でも有る!」

「マクティスシリーズの御陰で此方は大丈夫だが、流石に長引けば耐氷属性:極持ちでも影響が現れかねない………!ルストは!?」

「此方は問題無い。一式装備中の天将王装の御陰で、アバターの動きに影響は起きていない」

 

高頻度で海水吸引と冷気放出、深海環境でフィールドに影響を与える程の出力持ち、吸い込みに合わせて接近したとしても、放出された冷気で凍らされてしまえば其処で終わりな()が付き纏う。

 

(此れは…………『あの武器』の出番か)

 

海中を冷却するタイプの敵、見た目で判断するならばそう見える敵に、果たして『コレ』が効くか否かは実際にやってみなくては判らない物。

 

「ドラグマ交代だ、ちょっと武器変えて奴を殴る!」

『良いだろう』

 

インベントリア操作、覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)より切り替えて取り出すは、端から見れば赫の刃と蒼の峰を持つ、波長の如く畝り曲がった片手の剣───────されど其の剣は在りし日に魚人族の英傑ゲネテレが命を預け振るった、嘗ての戦いにて喪失したとされし、大いなる英傑武器(グレイトフル)が一工。

 

「さて………海中戦の本懐を遂げようか、アスカロン・リペア!アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角(プロモスピア)"を倒す前のウォーミングアップで、コーラルホエールをブッ飛ばす!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスカロン・リペア……………其れはル・アラバによれば、魚人族(マーマーン)の英雄でザトウクジラの魚人たるゲネテレが、生涯で唯一振るい続けたとされる(エモノ)であり、荒ぶる深海の王で不世出個体『アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"』相手に魚人族の精鋭達と共に戦い、命を引き換えに退けた際に喪失したとされた武器(モノ)

 

遠い遠い昔の戦いから幾星霜、英傑の武器たる剣は食物連鎖の中で様々な海中で生きるモンスターに取り込まれ、長い年月の中で彷徨う旅路の先で力を失い、反転都市ルルイアスにて討ち取ったアトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"の中から、朽ち果てた状態でペッパー達に見付かり。

 

栄古斉衰(えいこせいすい)死火口湖(しかこうこ)の底に居た『◯✕君』こと右方始源眷族、正式名称を『(にらが)大赤翅(だいせきし)』の超高熱の熱波によって灯り、此の場所よりも更に深い深海の冷気を帯びて照らされ、そして炎水剛岩(ブルレットロック)をふんだんに使って修繕(リペア)された武器(存在)

 

深海の中に有りながら赫色に燃え上がり炎と熱を吐き出す剣刃と、相対する様に凍て付き刺さる冷気を吐き出す蒼の峰が、永き時を越えて嘗てに海の猛者を屠った威容を示すが如く、其の剣身を武者震いの様に震わせて。

 

其れがトリガーとなったのか、コーラルホエールの視線がペッパー唯一人に向けられた瞬間、一角を振るって襲い掛かった事で此の場にいた戦士達は、彼が持つアスカロン・リペアには『魚系のモンスターの注目(ヘイト)を掻っ攫うパッシブ効果か何かが搭載されているのでは?』と疑問を抱き。

 

そしてターゲットにされたペッパーだが、本人は落ち着いた様子でアスカロン・リペアの柄を握り、其の体勢は剣術を扱う者が用いる『居合斬り』の如く、そして其の持ち方は『逆手』で。

 

「─────────覇神剣顛極(アマトノシンギ)…………」

 

激突するまで残り僅か、深海の水圧下で有るにも関わらず『ペッパーの左腕が超高速で動き』、其の身がカッ飛んで。

 

 

 

『クォオオオオオオン!?!?!?!』

 

 

 

直後コーラルホエールの一角から『二度の轟音』が響き渡り、角の中芯部が()()したかの様に半分程折れた事で、コーラルホエールが悲鳴を上げた。

 

 

 

「─────────瞬魔光塵咲(マタタクマニヒラキ)

 

 

アスカロン・リペアが赫と蒼の鏡面を輝かせ、マクティス・ヘルムの内にて光る二色のオッドアイが、冷気を放つ一角鯨へと向けられたのだった。

 

 

 






抜・剣・逸・閃





覇神剣顛極(アマトノシンギ)

剣系統の武器を使い熟してきたプレイヤーが習得する傾向を持つ三桁スキルで、剣や刀系の武器を用いる際のモーションに強化を加える『神剣大義(フツヌシノギ)』をレベルMAXにまで育てた状態でレベルアップを行うと、九つ存在するスキルの中から習得プレイヤーの行動ログ・剣武器や刀武器の各種習熟度・隠しステータス等を参照とし、一つが選出・習得されるスキル。

覇神剣顛極は特徴として『臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前』に準え、其の全てが『高出力の攻撃スキル』と成っており、剣士系上位職:剣豪や其の剣豪から派生する隠し最上位職の『剣神(けんしん)』は、覇神剣顛極の九種全てを取り揃えた上で神剣大義をベースとする合成スキルをある程度固めた場合、剣と刀を用いた単純な戦闘力に置いては『前衛職内で最強格』の戦闘力を獲得出来る。








覇神剣顛極(アマトノシンギ)瞬魔光塵咲(マタタクマニヒラキ)

覇神剣顛極の『臨』に属するスキルであり、モーションとして『居合の姿勢から超速の抜刀及び抜剣による防御を行い、続いて斬り降ろしの攻撃』を行いながらに、習得者が『最も得意としている構えの状態に移行する』というスキル。

武器を用いての防御やカウンターを主軸にするタイプのプレイヤーが、覇神剣顛極の中で一番最初に習得する傾向が強く、此のスキルは『瞬発的な防御→反撃→更なる行動へ即座に繋ぐ為の技』である。

最大の特徴として此等一連のモーション全てを『一瞬』で行う事から、晴天流【風】第一奥義「断風(たちかぜ)」の様に『一瞬で抜刀・一瞬で斬り・一瞬で納刀』をするのと似ており、断風と違って『スタミナの全消費を引き換えにしたガード不可能力は掛からない』物の、抜刀及び抜剣から続け様に斬り下ろす為、相手の『食いしばりを発動させた上で斬って、其れでも倒れなければ更なる追撃へと繋ぐ事』に比重が置かれている。

特に致命(ヴォーパル)剣術(けんじゅつ)半月(はんげつ)()ち】や、其の進化系の致命(ヴォーパル)秘奥(ひおう)【タチキリワカチ】との相性は絶大で、抜・防・即・攻のモーションの都合から火力が更にブーストされる。


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