戦いは続く
レベルキャップ解放の先で習得した三桁スキルにして、剣及び刀武器のモーション感度含めた要素を爆発的に高め、レベル表記を持つ
ジークヴルムとの決戦に備えたスキル育成、武器の数だけのスキルが存在していると知った
「神剣大義の補助+覇神剣顛極・瞬魔光塵咲の居合、そして斬り返しにタチキリワカチの一閃でコレか………。エグいな、うん」
御自慢の一角を半分近く圧し折られ、ブラリと成り掛けの状態にされたコーラルホエールは悲鳴を上げ、其の視線はペッパー唯一人のみを睨み付けるや、恨みと復讐を果たさんばかりの勢いで迫り。
「隙有りだオラァ!!」
「ウォオオオオッ!!」
「白鯨、無視は良く………無いッ!」
斬撃・斬撃・斬撃の三重奏が横っ腹を襲い、吹っ飛んで体勢を崩されたコーラルホエールの視線の先に、
天将王装と海王による合体で機動形態かつ右腕の肘から指先に掛けてスッポリと覆う、グローブ状の巨腕ながらに二つの
「皆!」
「良い一撃だな、ペッパーよぅ。ドラグマちょいと借りてるぜ」
『オマエの望む様に振るえ、サンラクよ。オレもまた其の斬撃に応えよう』
「海中で重量武器を扱うのは、とてもロマンが有る。グローブと爪武器の複合武装『
「友達が力を奮っているならば、俺も負けてはいられん!」
『ネレイス、アラバとイッショ、ガンバる………!』
『クオォオオオオオオッッッ…………!』
「ブレス攻撃だ、散開ッ!」
此迄吸引から周囲へ冷気放出をしていたコーラルホエールが、角を半壊された怒りからか射程重視の冷気放射に切り変わった。回避した先で横目で見れば、先程まで居た場所を息が迸って氷結し、数瞬で深海圧に押し潰されて砕け散る様は、氷属性や凍結耐性を持たない生命を文字通り狩り取る、恐ろしい攻撃と見て取れる。
「あのイッカククジラの冷気を食らったら、多分『水圧耐性が無くなる』気配がする」
「だな。となると…………」
「マクティスシリーズ一式纏った俺が、あの一角氷白鯨相手に囮を担うのが一番だな。任されよ」
「友よ、あまり無茶はするなよ」
「ありがとう、ル・アラバさん達も気を付けて!」
戦術は決まった、他の魚人族やレーザーカジキ、エルドランザとアビス・ベル=ニールに乗ったプレイヤー達が先にアルトランティアに向かった道中、深海で何が起こらないとも限らない、故にこそ迅速に決着を付けなくてはならない。
「行くぞ、一角氷白鯨………!中途半端に折った其の角、今度はキッチリ圧し折ってスッキリさせてやるッッッ!」
海水を吸い込み、冷気を吐き出し、半端に折れた事で揺れた角が、一角白鯨が動く度に攻撃へ不規則性を与える。
放射される息が海中を迸り、氷塊を生み出して一瞬の内に砕け散って、其の合間を縫うが如く戦士達の攻撃が白い身体に傷を刻み込む。
数では優位の戦士達だったが、其の表情は焦りと共に寒さに震えていた。
「どんどん海水が冷えてる…………」
「
「さっぶい………!」
「こ、此程、とは………っ」
『ネレイス、コオっちゃう………』
角の破損or破壊が『地雷行動』だったのか、コーラルホエールを中心に周辺の海水温が此迄以上に下がり続け、熱を放出するアクセサリーや武器の出力でも対処し切れない程の冷寒で、戦士達を凍て付かせ始めていた。
「っ………、此のままじゃ埒が明かない!此処から俺は『賭け』に出る!後詰めは任せた!」
言うが早いか、
同時に暴れ狂うコーラルホエールもまた、ペッパーを倒さんとばかりに泳ぎ迫り、両者の距離が縮まり、冷寒の威吹と尽きぬ熱波がぶつかり合って、彼が進む先に冷暖が拮抗した『一筋の道』が産み出された。
「アラバ、あの道に向かって泳げ!ドラグマ、行けるか!?」
「あぁ、見えたぞ友よ!!」
『無論。奴の冷気を斬り裂き、肉体を断つ為の『適応』は完遂している』
「無駄に出来ない………!」
アラバが渾身の力でサンラクを抱え泳ぎ、ルストもまた海王の出力を最大にして、勝利への道を突き進む。
「食らえ、
まともに受け続ければ身体の隅々まで凍結し、深海の水圧に押し潰されかねない中、ビィラックが作り出したマクティスシリーズ達の性能と、エフュールの拵えた深海三強のアクセサリーを信じ、乾坤一擲の心持ちの元に
流れ行く景色と、迫る一角白鯨の折れた角を紙一重で回避し、アスカロン・リペアの鋒をコーラルホエールの脳天にブッ刺し、其の勢いを使って柄から手を放せば彼の身体は飛んで。
「晴天流…………!
冷気と熱波の激突で出来上がった道をル・アラバが泳ぎ、アスカロン・リペアが突き刺さり、其の熱に脳髄を焼かれながらに悶え苦しむコーラルホエールの、ペッパーによって半分折れ掛けた角に
コーラルホエールの冷気を浴びつつ、其の冷気にすらも適応し、敵の身体を斬りて最も通る波長を帯びた一閃が、一角白鯨の象徴とも言える角を斬り飛ばし。
「此れで…………沈め!!!」
海王との合体で道を泳ぎ、通海という巨大な三爪の右腕を振るい、突き刺さったアスカロン・リペアの柄尻へと、ルストがフィニッシュムーブとも言うべき『人力パイルバンカー』を以て、魚人族の英傑武器の鋒をコーラルホエールの脳髄の更に奥深くまで突き立てる。
『ク、ク……オォオオオ…………─────────』
強烈な一撃により、アスカロン・リペアがミシミシッ!と悲鳴を上げた直後、コーラルホエールを構築するポリゴンがブレ始め、強烈な刺突スキルを叩き込んだ上で吹っ飛んたペッパーが戻って来て。
「一角氷白鯨…………いや、コーラルホエール。其の身から放つ凄まじい冷気、対策無しでは戦う以前の土俵にすら立てるかも解らなかった、深海に息付く強き兵よ。何時かまた相対する時、今度は一人で討ち取ってみせるぞ」
ペッパーがコーラルホエールに向けて礼を述べた瞬間、其の身を構築していたポリゴンは完全に崩壊を遂げ。プレイヤー三人とNPC一人の討伐で、海中に其れなりの数が放出されたコーラルホエールのドロップアイテムと共に、更に深くへと沈むアスカロン・リペアや素材達を回収し、皆の前に持って行く。
「皆、本当に御疲れ様。アスカロンも人力パイルバンカーで耐久が随分減ったから、流石に此れ以上の無茶は出来ないな…………」
「充実、大満足」
「いやー………ホントに疲れた。角ドロップしたから良かったが、メッチャ寒ぃ…………」
「まさか此の手で、海の冬将軍を倒す事になるとは…………」
『とってもサムかった…………』
『ウム、良い戦いが出来た』
耐久値が減った武器防具はアルトランティアに到着して鍛冶師に修繕を依頼するか、共有されていないインベントリアの中に入っている
最終的に圧し折ったサンラクがコーラルホエールの角を手にし、フィニッシャーのルストは一番レアな素材を取り、他の素材をル・アラバも交えて四人で分配し、戦士達は先に進んだ者達を追い掛け、アルトランティアへの行軍を再開したのであった。
決着
コーラルホエール
冥府の深海に出没するマッコウクジラ+イッカクの要素を併せ持つ、深海環境に適応する為にミンククジラ級のサイズまで縮んでいるモンスター。平均レベルは150前後で、魚人族の間では『海の冬将軍』とも呼ばれる。
体内に強力な冷気生成器官を持ち、クジラの捕食行動に見られる海水吸引で深海に潜むモンスターやプランクトンに小魚類を飲み込み、体内で瞬間冷凍から消化する事で腹を満たす習性が有り、自身の周辺水温を最大で10℃近く低下させる程の出力を出す。
またコーラルホエールの放つ冷気は氷属性と同時に、深海生物の生態エネルギーに直接影響を及ぼす特殊属性の『霊気属性』であり、触れれば生体や霊体だろうとダメージが通る他、まともに受ければ『生きる力から作用する
更にコーラルホエールの角は海中水温を測る温度計の役割を持ち、半壊したり破壊されると『体内から放出する冷気で周りの温度がどれくらい下がっているのかが判らなくなる為』、最悪自分自身の
Q、つまりコーラルホエールの冷気に対抗しつつ狩るには?
A、深海三強のアクセサリー全種+海中や水中生のモンスターで氷耐性に秀でた奴から装備製作+水中呼吸の三点の内、最低でも一つは無いと討伐出来るか否かの領域に立てません。
アトランティクス・レプノルカの一式装備マクティスシリーズが有れば、深海三強アクセサリーが無くても何とかなるにはなるが、霊気属性による水圧耐性低下で潰れるのを凌ぐには必須という。
そんなコーラルホエールは深海の中ではアルクトゥス・レガレクスやキリューシャン・スフュール等を余裕で狩れるが、アトランティクス・レプノルカを筆頭とする深海三強連中達には余裕で狩られる。其れくらい奴等は恐ろしいのだ………