VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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魚人族の故郷




海底都市アルトランティア

コーラルホエールを討ち取り、先に進んだ者達を追い掛けた四人は、道中要塞ヤドカリで深海三強が一角のアーコリウム・ハーミットが様々な生態系を殻の上で育てている姿や、成体まで成長したキリューシャン・スフュールが目立たない様にジッとしている姿を遠目に目撃したりしながら、ル・アラバの案内で海を潜り進んで。

 

そうして四人が辿り着いたのは、魚系や海獣系のモンスター達の骨や遠い時代に沈んだと思われる船の残骸が積み重なり、所謂『海の墓場』らしき場所…………しかしよく目を凝らして見れば魚人族(マーマーン)達がそそそっと動き、骨と骨に船の残骸を組み合わせ接合させて居住区を作り、深海の猛者達の目を欺く『里』でも在った。

 

「おぉ…………」

「アレが」

「あぁ。彼処が我等魚人族の故郷、海底都市アルトランティアだ」

「雰囲気が有って良いな」

 

コーラルホエールを足止めしている隙に、先にアルトランティアへ進んだ、海洋調査魔導推進征海潜水艇アビス・ベル=ニールを残骸含めてカモフラージュを済ませている辺り、魚人族の大工職は中々出来るらしい。

 

此れと言って目立つ建物が無いと考えると、逆に目立てば深海三強や深海の猛者達に狙われ、一瞬で里が壊滅すると解っているからであり、おそらくオブジェクトとして在る骨の中に施設や居住が在るのだろう。

 

「アスカロンはコーラルホエールとの戦いで耐久値が減ったし、一回直してからが良いですかね?ル・アラバさん」

「うむ。ル・ザンガ達は腕利きの鍛冶師だ、アスカロンの修繕も請け負ってくれるだろう」

 

仮にも魚人族の英傑が扱った武器であり、同時に失われていた武器でもある為に、万全を期した状態で魚人族の王に見せるのが礼儀だと考えている。

 

「ただちょっと問題が有りそうなんだよね」

「ん?問題?」

「俺とサンラクって、リュカオーンの傷と寵愛が在る訳じゃない?」

「うん」

「俺とサンラクが着けてる装備、アトランティクス・レプノルカの素材から作った物になるんだよ」

「……………あ〜警戒される的な?」

「そういう事」

 

魚人族の間でもアトランティクス・レプノルカは深海の王と呼ばれ、恐れられている存在(モンスター)でもある。そんな強者を討ち果たし、威圧やらを武具に変えたともなれば警戒されるのは当然の事では無いのかと、ペッパーは考えているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────そう思っていたが、どうやら杞憂に終わったらしい。

 

 

 

「ペッパーさん、サンラクさん、ルストさん、ル・アラバさん、無事でしたか!」

『どうやら、あの白鯨を倒したようじゃな』

「よくぞ地上より深海まで来られた、ペッパー・天津気(アマツキ)殿よ」

「先程から水圧で潰れ続けている人達は、御主等の仲間か………?」

 

レーザーカジキとエルドランザを筆頭に、魚人族のNPC達が出迎えて言葉を放つ。色々言いたい事や聞きたい事は有るが、兎にも角にも先ずはアスカロンの修繕からだ。

 

インベントリアを操作、コーラルホエールとの戦闘で耐久が減っているアスカロン・リペアとコーラルホエールの素材を取り出し見せれば、魚人族達の視線が一気に自分へと注がれる。

 

「すいません、ル・ザンガさん達の居る鍛冶場に案内して頂けますか?此処に来る途中、コーラルホエールという海の冬将軍なる呼び名を持つモンスターと戦い、アスカロン・リペアの耐久が消耗してしまったので」

「うむ、俺も身体が凍える程の凄まじい相手だった」

「あ、僕が案内しますよ」

『付いて来ると良い』

 

物的証拠も示した事も有り、魚人族の皆々様があんぐりと口を開きっ放しになっている。ル・アラバが其時の状況を魚人族に語り始めたので、ル・アラバ達とは一旦分かれてレーザーカジキとエルドランザ、一部の魚人族に案内されて移動を開始。

 

彼等の話を聞けば、深海の水圧に耐えられずアビス・ベル=ニールへ逃げ込んだ者達は現在、ル・ザンガやル・トノオを始めとする魚人族の腕利き鍛冶師達が『水中呼吸と水圧耐性を高めて活動を可能にする装備』を大至急製作しており、潜水艇乗り込み組は暫く缶詰め状態だと言う。

 

(此れはインベントリアの中に在る旅兎王装で直すのが一番かなぁ…………)

 

水圧耐性が無いので表に出した瞬間ペシャンコ、というマヌケな考えは思い付いても絶対にやりたくは無い。

 

其れをすれば絶対にヴァイスアッシュから何を言われるか、何を仕出かされるか目に見えている地雷だからこそ、ペッパーは『其れを行うという選択肢』を頭の中から即座に抹消したのであった。

 

 

「おい、おいオマエ!!()()を何処で手にしたんだ!!」

 

 

と、そんな時に響いた声が一つ。視線の先の頭上の海から下り降り、一人の魚人がペッパー達一行の前に立ち塞がる。

 

其の見た目は『紅い体皮をした細身で、かつ真鯛を女体化させた様なキャラデザ』と、身に着け纏う衣装は『ルルイアスでのクターニッドとの戦いで性別反転を食らい、女体化したサンラクの下着の形状と同じ物』。

 

目元はシュッとした鮫の要素を宿した女魚人と見え、其の者が見つめる視線はペッパーが持つアスカロン・リペアに注がれ、数瞬置いてペッパーに対し敵意を全開にしていた。

 

「えっと………何方様ですか?」

「質問を質問で返すな!其れを…………!我が遠き()()にして、我等魚人族が英雄『ゲネテレ』の唯一つの無二とない得物、アスカロン!!何故オマエが持っているんだ!?!」

「っうか、俺とペッパーにビビってねぇ辺り、あのマダイ女は中々ガッツが有るな」

「落ち着け『ジニシィ』。彼は我等が英雄ル・アラバと、()()ルルイアスから生きて脱出を果たし、深淵の盟主に認められたという『ペッパー其の人』なのだ」

「──────何………?」

 

ペッパーはアトランティクス・レプノルカの素材で作ったマクティスシリーズ一式装備+リュカオーンの愛呪による威圧、サンラクはリュカオーンの刻傷が有るにも関わらず一切怯まずに物申す此の女魚人族のNPC。

 

他の魚人族によって『ジニシィ』という名前が判明し、彼女自身の告発も有って『アスカロンの持ち主であったゲネテレの子孫』という情報も得られたが、敵意を未だ向けられている事から『色々なイベントが起きる気配が漂う』。

 

レトロゲームではプレイヤーの選択によって、シャンフロの様なVRMMOではプレイヤーの一言一句により、其の時(チャプター内)のNPCに発生するイベントや戦闘中の行動変化を与え、最終的に戦績(リザルト)に直結する事が多い。

 

ましてや深海三強や其れに比肩する怪物がウヨウヨ居る海底エリア、下手を打てばジニシィ含めた魚人族全体の危機は愚か、シャンフロ運営からして『魚人族絶滅イベント発生』という最悪の結末(バッドエンド)すら用意している可能性も有るので、気を引き締めて臨む。

 

アスカロンの修繕含めた今後のコンテンツ解放の為にも、決して引けない戦いが…………始まる。

 

 

 






一悶着は唐突に


※ゲネテレの子孫・ジニシィの見た目は『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』に登場する、ゾーラ族の英傑『ミファー』にゲルド族の英傑『ウルボザ』の姉御肌を追加した様な存在です

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