VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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今こそ約束を果たす時




壺には蛸が住み、烏賊は頭蓋の中に住む(当社比)

アスカロン・リペアの入手経緯の話をジニシィや他の魚人族(マーマーン)達に話し、世界を知り得し旅兎王装(モポルシィーヴ・リフトゥルー)でアスカロン・リペアの修繕と焔将軍(ほむらしょうぐん)両刃長剣(ロングソード)を真化させてログアウトしてから約半日。

 

インベントリアに設置したセーブテントで目を覚まし、旅兎王装からマクティスシリーズに装備チェンジとアクセサリースロットに深海三強関連が有るかを確認から、現実空間へと移動すればジニシィとアラバ、他魚人族を中心にサンラク・ルスト・レーザーカジキ、魚人族の鍛冶師達が作った装備で身形を整えたモルド・ヒュクノティム・SOHO-ZONEが待っていた。

 

「友よ、来たか」

「はい、来ました」

「では早速だが、我等魚人族の王との謁見に向かう。くれぐれも粗相の無い様にな」

 

魚人族の総合組合(マーマーン・ギルド)を設置している頭蓋の建物から、骨やらで作られた道を泳ぎつつ移動する。行く先で魚人族の視線がアラバやジニシィ、そして何よりもアスカロン・リペアに注がれている事をして、魚人族の英傑ゲネテレの存在が何れ程の大きさなのかを知るに、充分な要素でも有る。

 

「にしても随分注目してるね、魚人族の人達………」

「よく解らないけど、何かビビってる気がする」

「……………ずっと気になっていたのですが、ペッパー君とサンラク君が着けている其の装備に、レーザーカジキ君が着けている装備は!!まさかとは思いますが、其れ単体で『水中呼吸』が出来る品では有りませんか!?」

「水中呼吸装備………!本当なので!?どうなのですか!?」

 

片や海洋調査クランのヘッド、片や武器狂いと呼ばれるプレイヤー、ハッスルし始めて面倒な雰囲気が漂う中でレーザーカジキが口火を切って。

 

「えっと…………僕の場合は、レベリングに付き合ったエルドランザさんからの御礼で貰った素材を、鍛冶師に頼んで使って作ったので」

『ウム、妾が群青の海に覇を唱えし王となる為に力を貸したレーザーカジキへ送った牙や鱗、此奴は其れを使って鍛冶師に鎧を作る様に頼んだ。御主等も妾に力を貸せば、何れ作れるやも知れぬぞ?』

「俺とペッパーが着けてんのはマクティスシリーズって奴で、二属性戦艦鯱の………あー、アトナンテックペパノルカ?の奴の素材を、防具にしてる。俺はリュカオーンのせいで頭と腰にしか装備出来ねぇけど、頭装備単体で水中呼吸可能」

「サンラク、アトランティクス・レプノルカね。因みに一式全て装備すると、水圧耐性:極に火・水・氷・雷の四属性に対する耐性も極を獲得出来て、一部位毎に八千の耐久値を得る」

 

尤もペッパーの場合は、反転都市ルルイアスと海中でアトランティクス・レプノルカを討伐し、其の素材で武器や防具の新調に生産、或いは武器の進化や真化を行なったりしたが、アトランティクス・レプノルカを討伐したという事実は、どうやらジニシィや道行く魚人族達の注目を更に集める要素だったらしい。

 

ヒュクノティムとSOHO-ZONEがワイワイガヤガヤしている内に、先往くル・アラバとジニシィを追い掛け進んで前へ泳ぎ。そして辿り着いたのは一際大きな魚介系モンスターの頭骨と、口に当たる場所に造られた大きな門で。

 

「片側の地より出でて地に生きる、波濤を越えし者達よ」

 

ジニシィの声が響く。此処からはイベントだ、魚人族との友好やらに関わる開拓者としての責務とも言える、そんなイベントが始まるのだと。

 

「此れより諸君等は、我等が魚人族の王『ルルクヌス20世』と『波濤を越えし者達の代表として謁見する』。今一度言うが、()()()()()。粗相が無い様にな」

 

ジニシィの言葉に何か含みを感じずには居られず、おそらく一番色々な意味で『サンラク』が大変になる気がするも、其の時は此方でアクションを起こせば良いだけだ。

 

身形は整え、アスカロン・リペアの耐久値回復も済ませてある。やるべき事を成し遂げる為、いざ行かん…………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王城(頭蓋骨製)の門を潜り、ル・アラバとジニシィ含めて開拓者である自分達は王城在籍の兵士に抜打身形チェックを行われた後、謁見室にて数分待機からルルクヌス20世との謁見の為、王の間へと案内される。

 

王城の兵士達の見た目だが、アンモナイトによく見られる巻貝の兜に魚系のモンスターで造られた鎧一式で統一から、手持ちの三叉槍(トライデント)円盾(バックラー)、腰には剣入りの鞘を共通で吊るし、目付きの鋭さもまた魚人族の王権を護りし者という自覚に溢れた、此の里の選び抜かれた精鋭達と解る姿だった。

 

当然ながら、()()深海の王アトランティクス・レプノルカを防具にしたと解る頭と腰装備を纏い、脚にダイビング・フィンを付け、半裸で深海三強に関わる三種の神器を揺らすサンラクに対する視線は一際強く。

 

そして其れは全身を同じ防具一式と三種の神器で固め、ジニシィの祖先で自分達が誇りし魚人族の英傑ゲネテレが振るい、時代の中で失われていたとされたアスカロン・リペアを持つペッパーに対しても、同様に注がれていた。

 

(警戒…………はされてるが、大多数からは尊敬の念を感じる気がするな)

 

アスカロン・リペアの現在の所有者、というだけでは説明が付かない気もしなくは無いが、今の段階で答えを考察するだけの情報を持ち合わせていないので、頭の片隅にそっと置いておく事に決め。

 

「着いたぞ。此の先に我等が魚人族の王が居る」

「我が友達よ、いよいよだぞ…………!」

 

ジニシィとル・アラバが止まり、扉は開かれ。其の先に青白い仄かな光を発する石が敷かれた、巨大な空間と一つの王座が有る場所で。

 

「王よ。ジニシィとル・アラバ、我等が英傑ゲネテレが振るいし唯一の得物アスカロンを拾いし、波濤の先より来たりし地に生きる者と、其の仲間の僅かな一員を連れて参りました」

 

王に仕えし騎士が、王を前に片膝を付きて忠義を示す様に。魚人族の中でも名が知れ渡る者が率先して行動を起こした事で、ペッパー達もまた同じく行動を共にし。

 

「……………うむ、良く来てくれた…………波濤の先より来たりし者達よ。そして、ペッパー・天津気(アマツキ)…………御主の事は、深淵の盟主が座する地ルルイアスより帰還した、ル・アラバから聞いておる。そして…………唯一つの身で、水面より深き海の底まで至りてアスカロンを直している事も、海を流れる水達の声が私に語り掛けてくれた…………」

 

彼等彼女等が見る先に、利き手たる右手に『年代物の三叉槍』を握り、頭に『アトランティクス・レプノルカの鰭水晶と思われる王冠』を乗せた、ダイオウイカを擬人化した様な一人の魚人族が─────────ルルクヌス20世が王座に座っていたのである。

 

 

 






魚人族の王


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