VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ダイオウイカの王様





(おう)(おう)(おう)の饗宴 〜其の一〜

ルルクヌス20世…………ダイオウイカの魚人と解る見た目をした当代の魚人族の王(マーマーン・キング)であり、同時に魚人族の里長というのがル・アラバの話で判明している。

 

脚は八本、腕は二本、人間の胴体とイカの矢印形状の頭を持ちながら、其の背丈も下手な巨人族(ギガント)に迫り、王座から立ち上がれば七つの最強種(ユニークモンスター)の一柱・墓守のウェザエモンと同等レベルの長身だった。

 

「御初に御目に掛かります、ルルクヌス20世殿。ジニシィさん、ル・アラバさんより紹介を頂きました、ペッパー・天津気(アマツキ)です。此方に居るのは私の友や仲間、サンラクにルストとモルド、レーザーカジキにエルドランザさん、そしてSOHO-ZONEさんとヒュクノティムさんです」

 

ペッパーの紹介、皆が一礼した後にルルクヌス20世は其々のプレイヤーを見て言った。

 

「サンラク、ルスト、モルド、レーザーカジキ………そなた等の事はペッパー同様、此の海を流れる水達の声を聞いて知っているぞ。ルルイアスの地に足を踏み入れ、踏破し、水面へと帰還した事。そしてSOHO-ZONE………、御主もまたルルイアスの地を踏破し、水面に帰還した者だと知っている」

 

風の噂の海バージョン、魚人族の界隈で言われる其れを聞き、魚人族の王はクターニッドのユニークシナリオEXクリア者を、何らかの方法で見分ける事が出来ると確信する。

 

「して、ペッパー・天津気よ…………我等魚人族の英傑、ゲネテレが振るった唯一の得物アスカロンは…………」

「…………此方になります。朽ち果てから火を灯し、冥府の冷気を取り込み照らされ、そうして今は修繕によって武器として振るう事が出来る状態、アスカロン・リペアになります」

 

インベントリアからアスカロン・リペアを取り出し示せば、ルルクヌス20世の目は大きく開き、其の剣身をまじまじと見詰めている。ジニシィからも熱々(クール)な視線を向けられているが、流石に王の前と解っているからか昨日よりは抑え気味で有るらしい。

 

「…………確かに今のアスカロンは、武器として振るうだけの力を取り戻している様だ。だが『其の先に進む為』には、やらねばならぬ事が有るのを、御主は知っているか?」

「はい。アスカロンを見た鍛冶師から言われた言葉になりますが……………『嘗ての担い手で在ったゲネテレさんが敗北した存在をアスカロンを用いて討ち取る『再生成(リバース)』、もしくはゲネテレさんの最期を知る者から話を聞いて所有者と認めて貰う『再構築(リビルド)』、此の二つの内の何方か一つの道を選べ』…………と」

 

英傑武器の一つで、新大陸に生きる多種多様な亜人種達に物凄い特攻(良い意味で)を持つ、ヴァイスアッシュの旧友にして故人ドルダナが握ったという『アラドヴァル』。

 

修繕(リペア)の段階まで行き着き、二つの内の再構築(リビルド)派生を選び、アムルシディアン・クォーツを五十個用いて『アラドヴァル・リビルド』とし、黄金のマグマを加えて更なる力を付けた現在は『槍焔剣(そうえんけん)アラドヴァル』となり、アスカロンもまたリビルドorリバースの二者択一の分岐路に立っている。

 

そうしてペッパーは自分が此の深海に在る魚人族の里へ来た、其の『真の目的』を魚人族の長へと伝えたのだ。

 

「自分がこうして魚人族の里──────海底都市アルトランティアに来たのは、ルルクヌス20世殿にアスカロンが力を取り戻している事を伝える為と同時に『二つ有り』、一つは『アスカロンを再構築する為に必要な物を聞く事』。もう一つは、ゲネテレさんが最期に敗れた存在である荒ぶる深海の王…………『アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角(プロモスピア)"を討ち倒す為』に此処へ来たのです」

 

SOHO-ZONEの眼差しが此方に突き刺さり、言葉を発さないだけで『リビルドとリバースの両方の派生をやりたい』と訴え、アトランティクス・レプノルカという存在の凄まじさを良く知るル・アラバとジニシィは『コイツは本気でそんな事を言ってるのか』といった、信じ難さと懐疑心を半々にした様な表情で此方を見ており。

 

ルルクヌス20世はペッパーの眼差しが『本気で事を成さん』としていると解ったのか、瞑目を一度の後に口を開いて語り始めた。

 

「良いだろう、ペッパー・天津気よ…………。アスカロンを直す為に必要となる物を教える」

「王よ………!」

「………ジニシィ。御主にとってアスカロンは、遠き祖先の形見だと言うのも良く理解している。だからこそ………ペッパー・天津気がアスカロンを直し、其の先で我々に何を示すのかを『見極めねばならん』………」

(思った以上にアスカロン関係で『ドロドロしそうな予感がする』なぁ………)

 

ジニシィにとってアスカロンはとても大事な物であり、どうにかして自分の元に取り戻したいと考えている気配と、ルルクヌス20世にとってアスカロンの現所持者のペッパーが国益に如何なる損得を齎すか、慎重に見極めんとしている気配が空間を満たし始めている。

 

となれば、だ。此の状況を好転させる為に、自分に出来る選択肢をペッパーは考え、そして最終的に行き着いた答えは─────────

 

 

 

 

 

 

『スペリオルアビスのリーダー・ヒュクノティムがハッスル不可避になろうとも、深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)を纏って、深淵のクターニッドにも其の力を認められているという、敢然たる事実をルルクヌス20世とジニシィに示す事』だった。

 

 

 

 

 

 

 

「………失礼、ルルクヌス20世殿。少し着替えをさせて頂いてもよろしいでしょうか?」

「む、構わぬが………」

 

「ありがとうございます」と一礼、格納空間(インベントリア)に潜ってマクティスシリーズから深淵を見定む蛸極王装にチェンジ、左手に六道極円盾(リクドウキョクエンジュン)天獄(テンゴク)を装備。

 

巨剛触手(きょごうしょくしゅ)の一本にアスカロン・リペアを装備して現実空間に戻ってみせれば、案の定というかヒュクノティム・ジニシィ・ルルクヌス20世・エルドランザは目を丸く見開き、口をあんぐりと開き放しとなって。

 

「深淵を見定む蛸極王装……………此れは深淵のクターニッドさんが反転都市ルルイアスにて、勇者の到来を待ち望み続け、来たるべき時まで守り続けた『兄弟の様な存在』でも有り。そして私を『勇者と認め』、世界の危機への警告と共に託した、遠き神代の賢人達が造り遺せし『大いなる叡智の結晶たる鎧』なのです」

 

見れば見る程、深淵の盟主が此の瞬間に顕れたとしか考えられない状況で、其の盟主より認められ託されたという嘘の様な、然してルスト・モルド・サンラク・レーザーカジキはペッパーの言葉が真実であると知るが故に頷いたのだった。

 

 

 






顕現せし、クターニッドの威光


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