VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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進む、進む、進め




(おう)(おう)(おう)の饗宴 〜其の四〜

ジニシィが示したマウアナ海窟への海道をなぞる様に、岩肌や暗闇を利用しつつペッパーを先頭に、一行は目的地を目指して進んで行く。

 

海道中、遠くを泳ぐアルクトゥス・レガレクスやコーラルホエールの他にもに様々な、まだ見ぬ深海の猛者達が移ろい泳いで往来する様を見ながらも、前へ前へと泳いで進む。

 

そうして今現在の時刻はおよそ午後十時、深海都市アルトランティアから約二時間掛けて目的地近辺に到達し、一行が目撃したのは……………

 

 

 

 

「アトランティクス・レプノルカ………ですよねアレ」

「アトランティクス・レプノルカだな」

「二属性戦艦鯱なんて言うけど、やっぱデカい………」

「オマケに角が付いてるから"覇頭衝角(プロモスピア)"個体で確定」

「大きい…………」

「やっぱデカいな、二属性鯱…………」

『さて、どう調理してやろうかのぉ………』

「エルドランザさん、一回落ち着きましょう」

『事を急いで仕損じては話にならん』

「雷と炎の両立はロマンを感じる」

 

 

 

 

アスカロン・リペアを再生成(リバース)派生に持って行く為に必要な、アトランティクス・レプノルカの不世出個体(エグゾーディナリー)たる"覇頭衝角"がマウアナ海窟近辺を根城にグルグルと泳ぎ。

 

此の近辺の海中に漂うプランクトンやら小魚やらを、自身が纏った蒼炎と覇()の穂先の光で集め、鰭から放った蒼雷で麻痺に追い込んで捕食し、時折少し離れて同じ事をして戻って来るという、ある種の規定行動(ルーティン)を行っている光景だった。

 

「アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"があの付近に居る以上は、戦闘の余波で海窟が潰れる危険性が常に寄り付いているし、何より他の海中モンスターも近くに居るからこそ、ヘイトが次から次に入れ替わってフルスクランブルから大災害に成り兼ねない…………」

「「「「「つまり?」」」」」

「戦力を覇頭衝角を引っ張る生き餌(デコイ)、マウアナ海窟に潜入と水熱源石(ブレイズストーン)を掘り出しから、アルトランティアへ迅速帰還の二班に分けます。囮もとい生き餌は勿論『俺がやる』ので御安心を」

「ちょっ、ペッパーさん!?」

『レーザーカジキよ、妾達は状況を見て深海の王を狙うぞ』

「エルドランザさん!?」

「エルドランザの言う通りだ、あの皇帝をブチのめすにしても機を見るぞ」

「不本意だけど、今回はサンラクとエルドランザに同意」

「サンラクさんまで!?」

「ルスト!?」

 

言うが早いか即断とばかりに、左手の六道極円盾(リクドウキョクエンジュン)天獄(テンゴク)を掲げて覇刀(はとう):龍神楽(ドラグマ)とアスカロン・リペアを握った巨剛触手(きょごうしょくしゅ)を振るい、残り六手の蛸足と両脚の深厳戟響脚(アンピィ・トゥルリテ)で海を空の如く飛び、アトランティクス・レプノルカの前に躍り出て。

 

同時に彼の前に示されるは、深海貫く覇槍掲げし刹那を生きる帝王の輝きと、アスカロン・リペアが嘗てル・ゲネテレと共に在り敗れた、仇敵の対峙に奮起するが如く熱と冷気を吐き、龍神楽も負けじと金色の光を纏い放つ光景。

 

「さて……………アスカロン、幾年幾歳以来のリベンジ戦だ!」

『魂が滾り、刃が澄まされるッ…………!』

 

 

『モンスター不世出の発見(ディスカバー·エクゾーディナリー)!』

『討伐対象:アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角(プロモスピア)"』

『エクゾーディナリーモンスターとの戦闘が開始されます』

 

 

アスカロン・リペアが放つ気配が、アトランティクス・レプノルカ"覇頭衝角"の、周りを泳ぐ魚系モンスター達の注目(ヘイト)を一挙に集め、ペッパーは他プレイヤー達が水熱源石を掘り出しアルトランティアに持ち帰れる様に、単騎で深海の猛者達相手に業物たる武器達を握り、振るいて挑むのであった……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペッパーが不世出のアトランティクス・レプノルカを相手に単身生き餌を担ってマウアナ海窟から引き離し始め、サンラク・レーザーカジキ・エルドランザ・ルスト・モルドが状況を見守りつつも機を伺う其の隙に、ヒュクノティム・SOHO-ZONEを中心としたプレイヤー達がマウアナ海窟に潜入。

 

そうして突入したプレイヤー達は、其処から探索・採掘・回収・運搬の四班に分担し、坑木の変わりに魚系モンスターの骨を用いて支えた海窟内を捜索、嘗て魚人族が使っていた坑道内の地図を見つけ出し、考古学者やトレジャーハンターを持つプレイヤーが解読から探索を加速させる。

 

「鉱脈見付けた!」

「でかした!」

「いけいけ、掘りまくれー!!」

 

青く熱と光が亀裂より漏れる場所に、海中仕様の耐水圧に富み秀でたツルハシを取り出しては、青い光と熱を帯びる鉱脈に次から次へと鋭利な鋒を叩き付け、砕いてコロリと零れ落ちる青く炎熱を放つ石がプレイヤー達の前に現れる。

 

「コレが…………っ?!」

「あっつ!?あッッッつ!?!アチチチチ!?!」

「熱のスリップダメージが痛い!!」

「水の中で燃えるって、コレ相当不思議な性質じゃないですか!?」

「地上で言う石炭や石油の立ち位置がコレなのかもね………」

「海中で振るえる炎属性武器に一役買いそう!」

「ル・ザナガ氏達鍛冶師の皆さんが喜んでくれる筈だ」

「ペッパーさん、タンク適正がバチクソ高いけど何時まで持つかは解らないから、此方も水熱源石を迅速に掘り出してアルトランティアに帰るよ!」

『『『おーッ!!!』』』

 

ガツガツガンガンと、坑道に久方振りの活気を報せる音が鳴り、地上より勇者と共に海底へ来たりし者達が、魚人に其の身を転じし者達へと変わり、魚人の鍛冶を今再び蘇らせるべく鶴嘴を振るうのだ。

 

「あっつい!?!あっつい!?!思った以上にあっつい!!!」

「コレ、水温が低い程に火力が出るとか有りませんか!?」

「フレーバーテキストにそう書かれてる………と言うか、水温がどんどん上がってるわ!!?」

「ヤバい、水が蒸してきた………」

「海水替えてかないと、水の中で煮沸される!!?」

「レーザーカジキ君とエルドランザさんに連絡だ!!コレは流石に水温対策必須じゃないと此方が参ってしまうぞ………!!」

「俺、レーザーカジキ君達呼んできます!!」

「なるたけ速く頼む!」

 

問題発生から迅速に対処案を繰り出し、事態収束を成すべく一人一人が自分に出来る事を成し遂げんと、其々が行動を起こしていく。

 

其の行動の積み重ねこそが、運命を切り開き変えると信じているのだから…………。

 

 

 






いけ、勇敢なる者達よ


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